人の気持ちがわからないのは障害?病気?特性との向き合い方を解説
人の気持ちがわからない…これって病気?障害……?

「悪気はないのに怒らせてしまう」
「冷たい人と言われたことがある」
そんな経験から、自分は病気なのではないかと不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
人の気持ちがわからないと感じる背景には、ASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害の特性をはじめ、心身の疲労や性格傾向など、さまざまな要因が考えられます。
この記事では、その背景を整理し、相談先や自分に合った働き方の選択肢まで知ることができます。一人で抱え込む前に、まずは背景を一緒に見ていきましょう。
▼この記事の3つのポイント
- 「人の気持ちがわからない」と感じる背景には、ASDなどの発達障害の特性だけでなく、心身の不調や性格、環境など複数の要因が関わっている場合があります
- 大切なのは「障害かどうか」を白黒つけることではなく、自分の困り事に合った向き合い方や相談先を選ぶことです
- 人とのやり取りが少ない仕事や配慮を受けられる働き方など、特性と相性の良い環境を選ぶことで、負担を減らして働きやすくなります
「人の気持ちがわからない」と感じる状況を整理しよう

「人の気持ちがわからない」と一口に言っても、その中身は人によって違います。
相手の気持ちを読み取る場面なのか、自分の気持ちを言葉にする場面なのか、どこでつまずいているかは人それぞれです。
まずは自分の場合はどこに当てはまるのか、状況を分けて見ていきましょう。
相手の表情や声のトーンから気持ちを察するのが難しい
人の気持ちがわからないと感じる方は、表情や声の調子から相手の気持ちを読み取ることが苦手な場合があります。
人は言葉そのものだけでなく、表情や声の調子にも気持ちを込めています。その部分を受け取りにくいと、相手が本当はどう感じているのか気づけません。
例えば、相手が笑いながら「もう大丈夫」と言ったとき、表情がこわばっていれば、本当はまだ困っているサインかもしれません。しかしその変化に気づけず、言葉どおり「大丈夫なんだ」と受け取ってしまうことに。
このように、言葉に出ていない気持ちを受け取りにくい特徴があります。これは努力が足りないからではなく、生まれ持った特性が関係している場合もあります。
気が利かないせいだと、自分を責めなくても大丈夫です。
自分の発言が相手にどう響くか、事前に想像しづらい
自分の発言が相手にどう受け取られるか、口に出す前に想像することが苦手な場合があります。
多くの人は、言葉を発する前に「こう言ったら相手はどう感じるか」を頭の中でとっさに思い描いています。そういった想像が難しいと、思ったことをそのまま口に出しやすくなるのです。
例えば、同僚の資料に気づいた点を伝えるとき「ここ、間違っていますよ」とそのまま言ってしまう。事実を伝えただけのつもりでも、相手は責められたように感じるかもしれません。後から「言いすぎたかな……」と気づくこともあるでしょう。
これは相手を思いやる気持ちがないわけではなく、発言の影響を前もって見通すことが苦手なだけ。すれ違いが重なって自信をなくしてしまう前に、伝え方を工夫する方法がおすすめです。
自分自身の気持ちを言葉にするのが難しい
相手の気持ちだけでなく、自分の気持ちにも気づきにくい場合もあります。
気持ちというのは、いつもはっきりした形で現れるわけではありません。うれしい・悲しい・不安といった感情を細かく分けて捉えることが難しいと、自分が今どう感じているのかをうまくつかめず、なんとなくもやもやした状態が続きます。
例えば、本当は疲れていたり怒っていたりするのに、その自覚が遅れてしまったり、気づかないまま無理を重ねた末に、ある日突然動けなくなったりする場合も。
このように、自分の気持ちを言葉にしにくいのも特徴のひとつです。
人の気持ちがわからないことで生じる困りごと

自分の気持ちや相手の気持ちをつかみにくいと、その影響は日常のさまざまな場面に現れます。とくに人間関係や職場でのやり取りでつまずきやすく、つらさが積み重なると自己否定につながることもあるでしょう。
ここでは、よくある困りごとを場面ごとに見ていきます。
悪気はないのに、なぜか相手を怒らせてしまう
悪気はないのに、気づくと相手を怒らせてしまうことがあります。伝えたいことは同じでも、言い方やタイミングしだいで、相手の受け取り方は変わるためです。
例えば、忙しそうな相手に正論をそのまま伝えて、なぜか不機嫌にさせてしまう。本人には理由がわからず戸惑うばかり、というケースなどが挙げられます。
こうしたすれ違いが重なると、人と話すこと自体に苦手意識を持ちやすくなります。
雑談に入れず、職場で浮いてしまう
雑談の輪にうまく入れず、職場で浮いてしまうことがあります。雑談には明確なルールがなく、テンポや空気で進むため、話に入る間合いや笑いどころが察しづらいと、どう加わればいいか迷ってしまうためです。
例えば、話そうとしたタイミングが少しずれて、結局一言も発せないまま会話が終わってしまうといった場面が続くこともあるでしょう。
関わりたい気持ちはあるのに伝わらず、「とっつきにくい」と見られて距離ができてしまうこともあります。
指示の意図がわからず、見当違いの動きをしてしまう
指示の意図をつかめず、見当違いの動きをしてしまうことがあります。「適当にやっておいて」「いい感じで」といった曖昧な言葉には、言葉に出ていない期待が含まれていて、それを読み取るのが難しいためです。
例えば、言われたとおりに進めたのに「そうじゃない」「常識でわかるでしょ」と叱られてしまう。本人は指示どおり動いただけなので、何が違ったのか理解できず、混乱だけが残ります。
こうした経験が重なると、自己否定につながりやすくなります。
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人間関係が続かず、気づくと一人になっている
最初は親しくなれても、気づくと関係が続かなくなっていることがあります。
共感の反応が少しずれていたり、相手の気持ちの変化に気づけなかったりすると、相手は「大切にされていない」と感じてしまうためです。
例えば、相手が落ち込んでいるサインに気づけず、いつもどおり接してしまう。悪気はなくても、距離を置かれるきっかけになることがあります。
関係を続けたいと願っていても、いつのまにか一人になってしまうといったつらさを抱える方もいるでしょう。
「冷たい」「自己中」と言われ、自分を責めてしまう
人の気持ちがわからない方は、「冷たい」「自己中心的」「思いやりがない」と言われてしまうことがあります。このような言葉を繰り返し言われると、自分の人間性そのものを否定されたように感じてしまうことも。
実際には相手を大切にしたい気持ちがあるのに、それが伝わらず、評価されない状態が続くのはとてもつらいものです。
やがて「自分は人としてダメなのではないか」と感じてしまう方も少なくありません。
人と関わるのが疲れて、心身の不調が出る
人と関わる場面が続くと、心身に不調が現れることがあります。表情を意識して作ったり、相手の反応を必死に読もうとしたりするだけで、多くのエネルギーを使ってしまうためです。
気を張り続けた結果、帰宅後に動けなくなる方もいます。次のような不調として現れることもあるでしょう。
- 不眠や寝つきの悪さ
- 食欲不振や胃の不調
- 頭痛や肩こり
- 気分の落ち込み
こうしたサインが続くと、うつ症状につながる場合もあります。心と体の状態を見逃さないことが、自分を守る手がかりになります。
人の気持ちがわからない状態の背景にある特性や要因

「人の気持ちがわからない」と感じる背景には、いくつかの特性や状態が関わっている可能性があります。ただし、どれか一つに当てはめる必要はありません。
複数の要因が重なっている場合もあるため、いろいろな角度から自分の状態を見つめてみましょう。
ASD(自閉スペクトラム症)
ASD(自閉スペクトラム症)は、対人コミュニケーションや興味の持ち方に特性が現れる発達障害の一つです。
相手の表情や言葉の裏にある意図を読み取ることが苦手だったり、暗黙のルールを理解しづらかったりする傾向があります。
これは生まれ持った脳の特性によるもので、本人の努力不足や育て方の問題ではありません。
社会生活で困りごとがある場合は、医療機関で診断を受けることで、支援につながる選択肢が広がります。
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出典:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「発達障害(神経発達症)」
ADHD(注意欠如・多動性症)
ADHD(注意欠如・多動性症)は、不注意・多動性・衝動性などの特性が現れる発達障害です。社会生活では、次のような傾向が見られることがあります。
- 注意を保ち続けることが難しく、作業でミスが生じやすい
- 落ち着いて待つことが苦手
- 人が話している途中で発言してしまう
こうした特性が積み重なると、会話のやり取りがすれ違い、「人の気持ちがわからない」と受け取られてしまう場面もあるでしょう。
気になる場合は、専門の相談窓口で評価を受けることが、自分の状態を整理する第一歩になります。
出典:政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」
パーソナリティ障害
パーソナリティ障害は、考え方や感じ方、行動のパターンに偏りがあり、本人や周囲が生きづらさを抱える状態をいいます。
いくつかのタイプがあり、感情のコントロールや人との関係づくりに難しさが生じることがあります。
ただし「人の気持ちがわからない」という一つの特徴だけで判断できるものではなく、診断には専門医による丁寧な評価が必要です。
自己判断で当てはめてしまうと、自分への見方が偏ってしまうこともあるため、気になる場合は精神科や心療内科への相談を検討してみてください。
出典:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「パーソナリティ障害」
アレキシサイミア(失感情症)
アレキシサイミア(失感情症)は、自分の感情に気づいたり、それを言葉にしたりすることが苦手な状態を指します。病名ではなく、心理学で使われる概念で、特性や傾向として捉えられています。
喜怒哀楽が乏しいというより、自分のなかで起きている感情をうまく見分けられない点が特徴です。
ASDのある方に見られることもありますが、強いストレスや育ってきた環境が影響している場合もあり、背景はさまざまです。感情に気づく練習を重ねることで、付き合いやすくなることもあるようです。
うつ・不安・疲労が原因になっている可能性も
心身の不調が続いているときも、感情への感度が鈍ったり、人への関心が薄れたりすることがあります。
うつ症状があると、外からの刺激を受け取る余裕が失われ、結果として「人の気持ちに鈍くなった」ように感じることも。
慢性的な睡眠不足や強いストレス、燃え尽きた状態でも、似たような状態になることがあります。もともとの特性ではなく一時的なものであれば、休息や治療によって変化していく可能性もあるでしょう。
出典:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「うつ病」
性格や経験など、障害ではない場合もある
「人の気持ちがわからない」という感覚は、必ずしも障害や病気と結びつくものではありません。背景には、次のようなさまざまな要因が考えられます。
- もともと内向的で、言葉にするのに時間がかかる
- 感情表現が控えめな家庭で育った
- 過去の人間関係で傷つき、無意識に距離を取るようになった
- 繊細で、刺激を受け取りすぎないよう加減している
特性と性格、環境の影響は重なりあっていることが多いため、線引きができないケースもあります。大切なのは「障害かどうか」を白黒つけることではなく、自分の困りごとに合った向き合い方を選ぶことです。
一人で抱え込まないための相談先

人間関係の困りごとを一人で抱え続けると、心の余裕がさらに失われてしまいます。相談先は一つではないため、自分の状況に合った窓口から選んでみてください。
頼れる場所を知っておくだけでも、いざというときの安心につながります。
会社の産業医
心身に不調が出ている場合は、まず社内の産業医に相談するという選択肢があります。
産業医は、働く人の健康を医師の立場から支える存在です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医が労働者の健康管理などを行っています。
産業医には守秘義務があるため、人事や上司に直接話しづらい内容も打ち明けやすい相手です。仕事のストレスや人間関係の悩みについて、医師の立場から相談に乗ってもらえます。
職場との橋渡しを担ってくれることもあるため、一人で抱え込む前に頼ってみてください。
出典:厚生労働省「産業医」
発達障害者支援センターなどの公的窓口
全国の都道府県・政令指定都市には、発達障害者支援センターが設置されています。発達障害に関する相談や情報提供、就労支援などを無料で受けられる公的な窓口です。
診断の有無にかかわらず利用できる場合が多く、家族からの相談にも対応しています。
また、お住まいの自治体の障害福祉課でも、福祉サービスの案内や手続きの相談ができます。「どこに相談すればいいかわからない」というときは、まず市区町村の窓口に連絡してみてください。
出典:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センター・一覧」
医療機関(精神科・心療内科)
継続的な不調や生活への影響が大きい場合は、医療機関の受診を検討してみましょう。
精神科や心療内科では、専門医による問診や検査を通じて、自分の状態を客観的に整理できます。
診断は、自分を縛るためのものではありません。必要な治療や支援制度につながったり、職場や家族に状態を説明しやすくなったりする、自分を守るための情報の一つです。
不安がある場合は自己判断せず受診を検討しよう

気になる状態が続いているなら、専門家の力を借りることが自分を守る選択になります。インターネットの情報だけで自己診断をするのは難しく、かえって不安が大きくなってしまうことも。
一人で結論を出そうとせず、まずは相談するところから考えてみましょう。
受診を考える目安
受診を考える一つの目安は、つらい状態が2週間以上続いているかどうかです。「これくらいで病院に行っていいのかな」と迷ったときは、次のような状態が続いていないか確認してみてください。
- よく眠れない日が続いている
- 食欲がわかない
- 気持ちが沈み込む日が増えている
- 仕事や家事に手がつかない
上記のような状態が2週間以上続き、日常生活に支障が出ている場合は、受診を考えるタイミングです。迷っている段階でも、不安があれば受診をしてみてください。
精神科・心療内科の違いと選び方
精神科・心療内科のどちらを受診するか迷ったときは、それぞれの得意分野を知っておくと選びやすくなります。
精神科も心療内科も、こころの不調を診てくれる点は同じですが、主に扱う範囲が少し違います。
| 項目 | 主な対象 |
|---|---|
| 精神科 | 気分の落ち込みや不安など、心の症状が中心 |
| 心療内科 | ストレスからくる体の不調(不眠・胃の痛みなど)が中心 |
ただし、両方を扱う医療機関も多く、はっきり線引きされているわけではありません。
発達障害の診断を希望する場合は、対応しているかどうかが医療機関によって異なるため、受診の前に電話で確認しておくと安心です。
人の気持ちがわからない状態・特性との向き合い方

受診や相談と並行して、日々の暮らしのなかで自分でも試せる工夫があります。特性そのものをなくすことは難しくても、付き合い方を変えることで、困りごとがやわらいでいく場合も。
ここで紹介する工夫のなかで、気になったものからできる範囲で試してみてください。
困りごとを場面・頻度・相手で書き出してみる
困りごとは、場面・頻度・相手の3つに分けて書き出してみると、整理しやすくなります。漠然と「人付き合いが苦手」と感じていると対策を立てにくいですが、要素を分けると、自分がどこでつまずいているのかが見えてくるためです。
例えば、次のように書き出してみます。
- 場面:上司との一対一の会話、複数人での雑談、メールのやり取り
- 頻度:毎日、週に数回、特定の場面だけ
- 相手:年上、同年代、初対面、特定の人
このように書き出してみると、すべての場面で同じように困っているわけではないと気づけることがあります。
苦手な場面が特定できると、避けたり工夫したりといった対策も立てやすくなるでしょう。
「察する」より「言葉で確認する」を習慣にする
相手の気持ちを察するのが苦手なら、「言葉で確認する」習慣を取り入れる方法があります。察することに頼ると誤解が生まれやすいですが、直接確認すれば、行き違いを未然に防げるためです。
例えば「念のため確認させてください」と一言添えて聞き返すだけで、認識のずれに早めに気づけます。わからないことを聞き直すのは、丁寧で誠実な姿勢として受け取られることも。
わかったふりをせずに確認することが、かえって信頼関係につながっていくでしょう。
自分の感情を言葉にする練習を取り入れる
自分の感情がつかみにくいときは、感情を言葉にする練習を取り入れてみる方法があります。感情に名前をつけることを続けると、自分の心の動きに気づきやすくなるためです。
例えば、一日の終わりに今日感じたことを一言だけメモしてみます。「うれしい」「疲れた」「もやもや」など、短い言葉でかまいません。
自分の感情がわかるようになると、相手の感情にも目を向けやすくなるでしょう。
苦手な場面を避ける・距離を取る選択も持つ
苦手な場面は、無理に克服しようとせず、避けたり、距離を取ったりする選択も持っておくとよいでしょう。頑張って慣れることだけが解決策ではなく、自分を守るために離れることも、対処法のひとつです。
例えば、雑談が苦手なら無理に加わらない、相性の合わない人とは距離を置く、大人数の集まりには参加しないといった選択があります。
エネルギーを使う場面を減らすことで、本当に大切にしたい関係や仕事に、力を注ぎやすくなります。
同じ悩みを持つ人の声に触れる
同じような困りごとを抱える人の声に触れてみると、気持ちが軽くなることがあります。「困っているのは自分だけではない」と知るだけでも、抱えていた孤独感がやわらぐためです。
当事者会やオンラインのコミュニティ、自助グループなどでは、似た経験を持つ人の体験談に触れられます。
発達障害者支援センターでは、地域の当事者会の情報を教えてもらえる場合もあるため、一度問い合わせてみるのもひとつの方法です。
自分の特性に合う働き方を考えるヒント

人の気持ちを察するのが苦手でも、働き方を選ぶことで、自分の強みを活かすことは十分にできます。
大切なのは、苦手をなくすことではなく、特性と相性の良い環境を選ぶことです。ここでは、無理なく続けやすい働き方のヒントを紹介します。
人とのやり取りが少ない仕事・職場環境を選ぶ
コミュニケーションが負担になりやすい場合は、人とのやり取りが少ない仕事を選ぶことがひとつの方法です。対人のやり取りが減れば、その分のエネルギーを作業そのものに向けやすくなるためです。
例えば、
- データ入力
- 事務
- プログラミング
- 研究・分析
- 製造ラインの作業
- Webライティングや校正
などは、対人のやり取りが比較的少ない仕事として挙げられます。
在宅勤務ができる職場や、チャット中心でやり取りする環境であれば、対面の負担をさらに減らせるでしょう。こうした環境では、自分の集中力やスキルを活かしやすくなります。
固定化された業務やマニュアルがある仕事を選ぶ
業務の手順がはっきり決まっている仕事を選ぶことも、ひとつの方法です。やることが明確だと、相手の意図を察して動く場面が少なく、自分のペースで進めやすくなるためです。
例えば、事務や経理、検査・品質管理、IT保守運用、施設管理など、ルールや手順に沿って進められる仕事があります。
マニュアルが整っている職場では、察して行動することを求められる場面が少なく、わからないときも手順に沿って確認しやすい環境が多いでしょう。
型のある仕事を選ぶことで、安定して働き続けやすくなります。
障害者雇用や就労移行支援などの選択肢も
診断を受けている場合や検討している場合は、障害者雇用や就労移行支援も選択肢のひとつ。特性への配慮を受けながら働くことを前向きに選べる仕組みです。
障害者雇用では、企業が障害特性を理解したうえで採用するため、必要に応じて合理的配慮を受けながら働ける環境が整いやすくなります。自分の苦手を隠して無理を続けるのではなく、配慮を前提に力を発揮するという働き方です。
就労移行支援は、一般就労を目指す方のための福祉サービスです。職業訓練や面接対策、職場実習を通じて、段階的に就職へ向けた準備を進められます(標準利用期間は2年)。
あわせて読みたい▼障害者雇用とは?メリットや条件について
働き方に迷ったら専門のサービスを利用するのがおすすめ

働き方を一人で決めるのが難しいときは、障害特性に詳しい転職サービスに相談してみる方法があります。特性を理解したうえで求人を探せるため、自分に合う環境を見つけやすくなるためです。
例えば『デコボコエージェント』は、発達障害や精神障害など、特性のある方に向けたマッチング型の転職サービスです。配慮してほしい条件を細かく設定でき、企業側からのスカウトを受け取りながら、自分のペースで求人を探せます。
在宅・残業なし・時短など、柔軟な働き方の求人もそろっています。登録から入社まで、利用料はすべて無料です。
一人で抱え込まず、まずは情報を集めるところから始めてみてください。
一人で抱え込まず、自分のペースで次の一歩を

「人の気持ちがわからない」と悩んできた時間は、けっして無駄ではありません。これまで自分なりに工夫を重ねてきた経験そのものが、これからの選択肢を広げる土台になります。
背景には、ASDなどの発達障害の特性のほか、心身の不調や性格、環境などさまざまな要因が関わっている可能性があります。背景がわかれば、相談先や働き方の選択肢も見えてくるはずです。
受診や相談、働き方の見直しなど、できそうなところから一つずつ試してみてください。自分のペースで進めることが、何より大切な一歩になります。

看護師として12年間勤務。急性期・リハビリ・外来と幅広い現場を経験しました。現在はWebライターとして活動しています。子どもの就学を機に発達への不安や関わり方と向き合うようになり、当事者として読者と同じ目線に立ちながら記事を執筆しています。


