作成日:
2026年1月31日
更新日:
2026年1月29日

うつ病の休職期間はどのくらい?回復のペースや復帰の目安を解説

▼この記事の3つのポイント

  • うつ病の復職では「焦らない・比べない・まず休む」が大切
  • 自己判断せず、主治医と相談しながら復職を目指そう
  • 活用できる支援やサポートは安心して使おう

うつ病で休職したけどどれくらいで復帰できる…?

頭を抱える男性
出典:photoAC

「うつ病」ではメンタルが落ち込み、意欲の低下や不眠などが引き起こされます。うつ病の回復に向けて休職した人にとっては「いつまでこの状態が続くの?」「もう二度と働けないのでは?」と大きな不安を抱いてしまう日もあるでしょう。

ゴールの見えない苦しみは、うつ病の症状をさらに悪化させてしまいがちです。順調な回復や効果的な休息のためには、今の自分の状態を知り、復職へのルートをイメージすることが大切です。

今回は、うつ病を患っている方の休職期間の目安や休職中に取り組みたい習慣などをご紹介します。とはいえ、人には人の、自分には自分のペースの「うつ病との付き合い方」があるものです。本記事の内容はあくまで目安や参考として捉えつつ、あなたにとってベストな休職のスタイルを探していきましょう。

焦りは禁物!復職は医師と相談しながら

病院の問診
出典:photoAC

前提として、うつ病の回復には焦りは禁物です。「早く治さなくては」と焦るほど、理想と現実とのギャップに直面しやすくなり、ますます気持ちが落ち込んでしまいます。できる限り早く復職を目指したいときこそ、自分の状態や適切なペースを把握することから始めましょう。

またうつ病の復職では自己判断はタブーです。自分では「もう元気になった」と思っていても、専門家からすると「一過性の回復に過ぎない」と判断をされることも。復職は主治医と相談しながら、慎重かつ段階的に進めていきましょう。

うつ病の休職期間の目安|平均的な期間はある?

座り込む女性
出典:photoAC

ここでは、うつ病の休職期間の目安についてご紹介します。うつ病と一言で言っても、短期間の自宅休養で快方に向かう状態か、入院が必要な状態かなどにより、適切な休職期間は異なります。自身の状態や環境を加味したうえで、「自分だからこそ必要な休職期間」を見つけていきましょう。

メンタルヘルス不調による休職期間の平均は約3〜6か月

厚生労働省によるデータによると、メンタルヘルスの不調による休職期間の平均は「約3~6か月」です。ただしこの数値は、フルタイムだけではなく短時間勤務を含めた復職日までの日数である点に留意しましょう。

またメンタルヘルスで休業中の人のなかには、地域障害者福祉センターのリワーク事業に参加するケースも少なくありません。その場合も、3か月の通所によって職場復帰を目指す割合が多いというデータがあります。

出典:厚生労働省「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」

回復のペースは人それぞれ──焦らないことが大切

うつ病による休職では「回復するペースは人それぞれ」を念頭に置くことが大切です。とくに休養中の落とし穴のひとつが、他者の「うつ病から回復したエッセイや漫画」を読むこと。もちろん、経験者の言葉によって、回復のヒントを得られることも多いものです。

しかしうつ病のマイナス思考の状態では、すでにうつ病から回復した人と自分を比べることで「やっぱり自分は駄目なんだ」と塞ぎ込んでしまうリスクもあります。他者の体験談はあくまで参考程度に留め、自分と比べない姿勢が大切です。

その人はその人、自分は自分。うつ病になった経緯や性格だけではなく、現在の環境(周りにいる人を含む)や感受性の程度も違うものです。たとえ症状が似ていても、数週間で元気になることもあれば、回復までに数年の月日を要することもあります。

焦らないこと、比べないこと、休むこと。まずはこの3つを最優先事項として捉え、一歩ずつ快方に向かって歩み始めましょう。

休職期間中の過ごし方|回復の段階に合わせたヒント

寝ている女性
出典:photoAC

ここでは、うつ病で休職している期間の過ごし方についてご紹介します。とはいえ「休職中に絶対にこれをしなければいけない」というわけではありません。性質や環境が異なれば、ベストな休み方も当然変わるものです。あくまで傾向に関する情報として捉えつつ、主治医とも相談しながらベストな過ごし方を考えていきましょう。

休養期(休職初期)──とにかく心身を休める時期

休養期は、休職した直後の状態です。「うつ病の症状がもっとも重い時期」であり、休むことに対する焦燥感や罪悪感を抱きやすい時期でもあります。「何かしなければ」と焦りやすいタイミングですが、休養期に優先するべきは文字通りの「休息」です。

ストレス源から距離を置き、怠け者のようにただひたすら「ゆっくりすること」。これが休養期の過ごし方です。今のあなたにとって休息は、怠慢や逃げではありません。心身のエネルギーを回復させるために必要な「前に進むための行動」なのです。周りと比べずに、安心して休息期間を過ごしましょう。

回復期(休職中期)──少しずつ活動を再開する時期

適切な休養期を過ごせれば、少しずつ心身のエネルギーが回復してきます。「休んでばかりいるのも退屈だな」と感じられたら良い兆候です。この時期は回復期と呼ばれ、散歩や読書などの習慣によって心身の体力をつけていく時期に該当します。

とはいえ、ここで頑張りすぎるとすぐに疲労感を抱きやすく、再び気持ちが落ち込んでしまうことも。休養期にスタミナが落ちていますから、無理せずに「自分がイメージする7割程度の行動量」に抑えつつ、体力を回復させていきましょう。

復職準備期(休職後期)──職場復帰に向けて準備する時期

回復期は、人によって数か月~半年程度かかる場合があります。忍耐力をもって過ごすことで訪れるのが、心身のエネルギーが回復した後の「復職準備期」です。復職準備期は、本人が主治医に「そろそろ復職を考えたい」と伝えることから始まります。

復職で求められる体力や思考力を主治医が正しく判断するために、企業側から「復職後の業務内容」を説明してもらえると良いでしょう。また厚生労働省では、メンタルヘルスにおける「職場復帰できるかどうかの判断基準」について記載されています。

出典:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」

復職のタイミングと判断基準について

スーツ姿の男性
出典:photoAC

ここでは、うつ病に悩む人が復職する際のタイミングや判断基準についてご紹介します。前提として、復職判断のためには「主治医の許可」が必要と考えましょう。「働くために必要な心身の体力がともなってきた」「メンタルが安定してきた」と感じたときも、自己判断せずまずは主治医に相談することが大切です。

出典:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」

復職を検討する際の目安はある?

復職の判断基準は、厚生労働省による手引きを参考にします。以下に、判断基準の例を記載します。

  • 労働者が十分な意欲を示している
  • 通勤時間帯に1人で安全に通勤できる
  • 決まった勤務日や時間に就労が継続して可能である
  • 業務に必要な作業ができる
  • 作業による疲労が翌日までに十分回復する
  • 昼間に眠気がない、適切な睡眠覚醒リズムが整っている
  • 業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している など

ただし上記はあくまで目安であり、最終的には主治医による判断が重要です。自身が主治医に復職意思を伝えるための基準としても活用していきましょう。

復職に向けた手順は?

実際に復職する際の流れについて以下に記載します。

1. 【重要】主治医に相談し、復職可能かどうかの判断を仰ぐ
2. 復職が可能と判断されたら、主治医に「復職可能」の診断書を発行してもらう
3. 会社の人事担当者や産業医と面談する
4. 復職の具体的な時期や条件(勤務時間や業務内容など)を相談する

復職の際は、面談のタイミングで無理のないプランを検討することが大切です。時短勤務や業務変更、段階的な復帰などを用いて、再発のリスクを下げましょう。

主治医や会社に自分の体調を客観的に伝えるために、復職準備期から記録(起床時間や就寝時間など)しておく習慣も推奨されます。

また復職した後も、通院やカウンセリングは続きます。主治医やカウンセラーによる定期的な面談を通し、自身の状態を客観的に判断するとともに、必要に応じた働き方の変化も検討しましょう。

休職中に利用できる制度とサポート

ハート
出典:photoAC

ここでは、うつ病に悩む人が休職中に利用できる支援制度やサポートについてご紹介します。支援制度の活用は、決して恥ずかしいことではありません。必要なときに使える制度を選ぶことは、すべての人に平等に与えられている権利なのです。

制度による手当金の給付やプログラムは、あなたの生活や心の状態をより良いものに導きます。利用条件に当てはまる制度があれば、ぜひ勇気を出して申請してみましょう。

傷病手当金|休職中の生活を支える制度

傷病手当金とは、健康保険に加入している人が「病気やけがで働けなくなったときに受け取れるお金」です。うつ病を含む精神疾患も該当し、働ける状態になるまでの日常生活の支えになってくれます。支給期間は、支給日から計算して「通算1年6か月」が上限です。

支給金額は「標準報酬月額÷月日数(30日)×2/3」によって算出されます。つまり「今までの月収の2/3が貰える制度」が傷病手当金です。ただし生活保護や出産手当金など、一部の給付金と重複して受け取ることはできません。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

あわせて読みたい ▼ 傷病手当金について

リワークプログラム|復職に向けたリハビリ支援

リワークプログラム(復職支援プログラム、職場復帰支援プログラム)とは、うつ病を含む精神疾患によって休職している人に対し、「職場復帰に向けたリハビリ」を実施するプログラムです。プログラムに応じて決まった時間に施設に通うことで、復職後の通勤を想定して訓練します。

同時に認知行動療法や疾病教育なども受けられるため、復職後にうつ病が再発するリスクを防げます。リワークには「医療リワーク」「職場リワーク」「職リハリワーク」の3種類があり、自分に合った通い方を選べる点が魅力です。詳しくは、以下の『日本うつ病リワーク協会のホームページ』をご覧ください。

出典:日本うつ病リワーク協会「リワークプログラムとは」

休職期間が長引くことへの不安と向き合うときのポイント

選択肢
出典:photoAC

休職期間が長引くほど、心の不安は大きくなりやすいものです。ここでは「うつ病で休職期間が長引く不安」と向き合う際のポイントをご紹介します。不安を感じているのは、あなたのなかに「今の状態を改善したい」という想いがあるからこそです。あなたが求める生活を実現するために、思考に新しい風を取り入れてみませんか?

焦りは回復の妨げになることもある

うつ病で休職期間が長引くと「早く復帰しなければ」「このままでは取り残されてしまう」と焦りを感じる人が多いものです。しかし実際は、この「焦りの気持ち」自体がうつ病の回復を妨げてしまうケースがあります。

うつ病は、心身のエネルギーが消耗した状態です。焦りを感じたり、無理に元のペースに戻そうとしたりすると、さらに多くのエネルギーを消耗する事態に。その結果、症状の悪化やぶり返しが懸念されます。

休職は怠けではありません。自分の回復リズムを尊重し、社会復帰するための「最大の近道」なのです。「今は治すこと、休むことが最優先」と捉えられれば、結果的に安定した復職につながります。

一人で抱え込まず、周囲のサポートを頼る

うつ病で休職していると「これ以上周りに迷惑をかけたくない」「自分なんかに頼られても迷惑だろう」と塞ぎ込んでしまいがち。しかしうつ病の回復には、主治医を含む周囲のサポートが重要です。

頼る相手を1人に絞る必要はありません。また、自分の悩みのすべてを無理に打ち明ける必要もありません。家族、友達、産業医、人事担当者など「頼れる人に、頼りたい分だけ頼る」姿勢を意識してみましょう。

今の状態を言葉にして伝えるだけで、気持ちが整理されて不安が軽減することもあります。また第三者の視点を通じて「今は休んでもいいんだ」と心から思えれば、休息に対する安心感にもつながるでしょう。

復職後も安定して働き続けるために知っておきたいこと

会社にいる女性
出典:photoAC

ここでは、うつ病に悩む人が、復職後も安定して働くために知っておきたい情報をご紹介します。復職直後は元気に働けている人でも、長期的な就労のなかで再びメンタルダウンするケースは珍しくありません。心と仕事のバランスを取る術を知り、自分の状態をコントロールしていきましょう。

自分のストレスサインを知っておく

復職後も安定して働くためには、自分のストレスサインを知っておくことが大切です。ストレスを感じる原因や環境は千差万別。ほかの人にとっては何ともないことでも、あなたにとっては重圧に感じるケースもあるでしょう。

「ほかの人は大丈夫なのに……」と落ち込む必要はありません。あなたがつらいと感じるのであれば、それがあなたにとっての真実なのです。自身の心や体調の変化に対してアンテナを張り、小さな違和感を見逃さないように心がけましょう。自己理解を深める習慣は、今だけではなく未来のあなたの心も守ります。

無理のない働き方を職場と相談する

働くなかで苦しさやストレスを感じた際は、無理のない働き方を職場と相談することをおすすめします。たとえば「電話対応が少ない部署に移りたい」「リモートワークができる業務を担当したい」など、自身の状態や性質に応じたリクエストを検討しましょう。

もちろんすべてのリクエストが100%実現するとは限りませんが、企業としても従業員が苦しみながら働いている状態は本意ではありません。個人のニーズと企業のリソースが合致すれば、すんなりと要望がかなうケースもあります。最初から諦めずに、まずは相談してみる姿勢が大切です。

あわせて読みたい ▼ うつ病の再就職について

回復のペースは人それぞれ。自分を大切に進めていこう

スーツ姿の男女
出典:photoAC

今回は、うつ病の休職期間や、心と向き合うためのヒントについてご紹介しました。

うつ病を患っていると思考がネガティブになりやすく、正常に判断できない場合があります。ときには「自分なんかが支援制度を使うなんて」「休んでいるだけで罪悪感を抱いてしまう」と、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。

そんなときに「客観的かつ冷静に状況を判断してくれる存在」が、主治医やカウンセラーです。効果的な休息や円滑な復職のためにも、継続的な通院が重要なのです。

回復のペースは人によって異なります。自分の心を大切にしながら、主治医と二人三脚で、マイペースに復職を目指していきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。

[ライター]山口 愛未

2017年にWebライターとして活動を開始し、数多くのメディアでライターとして活動。年間1,000本以上記事を制作する専門ライター。子ども教育やメンタルヘルス関連のメディアでの活動実績が多い。

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