知的障害者の就職や将来について|活躍できる仕事と支援制度まとめ
▼この記事の3つのポイント
- 知的障害があっても就職できる可能性は十分にある
- 自分に合った仕事や働き方を知ることで不安が軽くなる
- 支援制度を活用することで安心して働き続けやすくなる
知的障害があっても就職できる?将来が不安……

知的障害があると「自分は働けるのだろうか」「将来はどうなるのだろう」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
過去の失敗や苦手なことがあると、さらに自信を持ちにくくなるものです。しかし、知的障害のある方でも、自分に合った仕事を見つけて働いている人はたくさんいます。まずは正しい情報を知り、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
知的障害がある方も就職して活躍している!

厚生労働省の調査によると、知的障害のある方の就職件数は22,201件で、前年度より増加しています。さらに就職率は59.2%と高く、多くの方が実際に仕事に就いている状況です。
こうしたデータからも、知的障害があっても就職は十分に目指せることがわかります。不安を感じている方も、まずは一歩踏み出してみましょう。
参考文献:厚生労働省「令和5年度 障害者の職業紹介状況」
令和5年度 障害者の職業紹介状況等|厚生労働省
知的障害のある方が活躍している仕事とは?

知的障害のある方は、ルールが決まっている仕事や繰り返し作業が多い仕事で力を発揮しやすいようです。製造や清掃、軽作業など、さまざまな分野で活躍しています。それぞれ詳しくみてみましょう。
製造業・軽作業(部品の組み立て、検品、梱包など)
製造業や軽作業は決まった手順で進める仕事が多く、知的障害のある方に向いている職種です。次のような作業内容はシンプルで覚えやすく、慣れることで安定して働きやすい環境といえます。
- 部品の組み立てやネジ締めなどのライン作業
- 製品にキズや不良がないかを確認する検品作業
- 商品を箱に入れて発送するための梱包作業
繰り返し作業が得意な方にとっては、自分の強みを活かしやすい仕事といえるでしょう。
清掃業・ビルメンテナンス
清掃業やビルメンテナンスも、知的障害のある方が多く活躍している仕事のひとつです。以下のように作業内容がわかりやすく手順が決まっているため、安心して取り組みやすい特徴があります。
- 床の掃き掃除やモップがけなどの日常清掃
- トイレや共用スペースの清掃・消毒作業
- ゴミの回収や分別、運搬作業
ひとりでコツコツ進める場面も多く、自分のペースで働きやすい仕事です。
小売業のバックヤード業務(商品の仕分け・在庫管理など)
小売業のバックヤード業務も、知的障害のある方が活躍しやすい仕事のひとつです。お店の裏側で商品を扱う仕事が中心であるため人と接する機会が少なく、落ち着いて作業に取り組めます。
商品の仕分けや在庫の確認など、決められた手順に沿って進める作業が多いため、慣れることで安定して働きやすい環境といえるでしょう。
事務補助・データ入力など
事務補助やデータ入力の仕事も、知的障害のある方が活躍している分野です。決まったフォーマットに沿って入力する作業や書類の整理などが中心であり、手順を覚えることで取り組みやすくなります。
パソコン操作に慣れる必要はありますが、サポート体制が整っている職場も多く、自分のペースでスキルを身につけながら働ける仕事です。
自分にあった働き方を選ぶ3つの選択肢

働き方にはいくつかの選択肢があります。自分の体調や得意・不得意に合わせて選ぶことが不可欠です。ここでは、代表的な3つの働き方についてわかりやすく紹介します。
一般雇用
一般雇用とは、障害の有無に関わらず同じ条件で採用される働き方です。仕事内容や勤務時間も他の社員と同じ場合が多く、幅広い仕事に挑戦できます。
一方で配慮が少ないこともあるため、自分で困り事を伝える必要があります。サポートが少なくても働ける方やできることを増やしたい方に向いている働き方です。
職場によっては、周囲の理解やフォローを受けられる場合もあります。無理せず、自分に合った環境かどうかを見ながら選ぶことがポイントです。
障害者雇用 / 特例子会社
障害者雇用は、障害のある方が働きやすいように配慮された働き方です。特例子会社では、以下のようなより手厚いサポートを受けながら安心して働ける環境が整っている場合もあります。
- 業務内容や勤務時間を調整してもらいやすい
- 支援スタッフや相談できる体制がある
- 自分の特性に合わせた仕事を任せてもらえる
無理なく働き続けたい方や初めての就職に不安がある方にも選びやすい働き方です。
福祉的就労(就労継続支援A型・B型)
福祉的就労は、体調や特性に合わせて無理なく働ける環境で、就労継続支援A型とB型があります。A型は雇用契約を結び、比較的安定した収入が得られるのが特徴です。
B型は自分のペースで働ける点が魅力で、体調に不安がある方にも向いています。一般就職に向けた練習の場として利用する方も多く、少しずつ働く力を身につけていけます。
最初の一歩から内定まで!就職活動の進め方

就職活動は、順番に進めていけば安心して取り組めます。自分のことを知ることから始め、求人探しや応募へと進みましょう。ここでは基本的な流れをわかりやすく紹介します。
1. 自分の特性や希望を整理する
まずは、自分の特性や希望を整理することから始めましょう。次のような得意なことや苦手なことを知ることで、無理なく働ける仕事が見えてきます。
- できること・得意な作業(例:同じ作業を続けることが得意など)
- 苦手なこと・困りやすい場面(例:急な変更があると混乱しやすいなど)
- 働き方の希望(勤務時間、通勤距離、職場の雰囲気など)
過去の経験を振り返ることも、自分の特性や希望を整理するのに役立ちます。一人で考えるのが難しい場合は、家族や支援員に相談しながら整理してみてください。
2. 求人を探して応募する
次に、自分に合いそうな求人を探して応募します。求人は、ハローワークや就労移行支援、インターネットの求人サイトなどで見つけることができます。仕事内容や勤務時間、通いやすさなどを確認しながら選びましょう。
応募する際は、履歴書の準備や面接対策が必要です。障害について伝えるかどうかは、自分に合った働き方を考えながら決めていくとよいでしょう。支援員と一緒に進めると安心して取り組めるため、不安な方は気軽に相談してみてください。
3. 働き始めてからも必要に応じて支援を受ける
働き始めたあとも、必要に応じて支援を受けながら働くことができます。以下のような困ったときに相談できる環境があることで、安心して仕事を続けられるでしょう。
- 仕事を覚えるのが難しいと感じたとき
- 人間関係やコミュニケーションで悩んだとき
- 体調の変化や疲れを感じたとき
無理せず、早めに周囲へ伝えることが働きやすさを考える上で欠かせません。支援員や職場に相談することで、働き方も調整しやすくなります。
あわせて読みたい ▼ 就職活動・転職活動の全体の流れについて
就職活動で頼れる支援機関・サービス

就職活動を一人で進める必要はありません。困ったときは、専門の支援機関やサービスを利用することで、安心して進めやすくなります。ここで主な支援先をみてみましょう。
ハローワークの障害者専門窓口
ハローワークには、障害のある方に向けた専門窓口があります。担当者が一人ひとりの状況に合わせて、以下のような就職活動をサポートしてくれます。
- 求人の紹介や職業相談を受けられる
- 履歴書の書き方や面接対策についてサポートしてもらえる
- 障害に配慮した求人を提案してもらえる
無料で利用できるため、初めての方でも相談しやすいのが特徴です。まずは気軽に相談して、自分に合った仕事探しのヒントを見つけましょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す方をサポートする施設です。働くためのスキルや生活リズムを整えながら、無理のない形で準備を進められます。
利用は原則2年までで、専門スタッフが一人ひとりに合わせて支援します。職場体験や面接も練習できるため、就職に向けた実践的な力を身につけやすい環境です。
ジョブコーチ・就労定着支援
ジョブコーチや就労定着支援は、働き始めたあとも安心して続けられるようサポートする制度です。職場での困り事や不安について、本人と会社の間に入りながら調整してくれます。
仕事の進め方を一緒に確認したりコミュニケーションの取り方を助言したりすることで、職場に慣れやすくなります。長く安定して働くための心強い支えとなるでしょう。
自分のペースで求人を探せるサービス
自分のペースで求人を探したい方には、インターネットの求人サービスもいいでしょう。スマートフォンやパソコンから好きな時間に仕事を探せるため、焦らず進めやすいのが特徴です。
障害者雇用に特化したサービスもあり、配慮内容や働き方を確認しながら選べます。支援員と一緒に見ながら探すことで、安心して仕事を探せるでしょう。
何か気になることがある方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。
知的障害の方が抱えやすい職場での困り事と対処法

職場では、仕事の覚え方やコミュニケーションで悩むこともあります。ただ、それは特性によるもので、工夫やサポートで改善しやすい場面も多くあります。ここで対処法を紹介するのでご覧ください。
仕事を覚えるのに時間がかかるときの工夫
仕事を覚えるのに時間がかかると感じるのは、誰にでもあります。特に新しい環境では、焦りや不安も重なりやすいものです。しかし、自分に合った方法を取り入れることで、少しずつ覚えやすくなります。
では具体例をみてみましょう。
- 作業手順をメモやチェックリストにして見える形にする
- 写真やイラストを使って手順を視覚的に理解する
- 一度に覚えようとせず、作業を小さく分けて覚える
- わからないときは早めに質問して確認する
無理に早く覚えようとせず、自分のペースで積み重ねていくことがポイントです。
報連相が苦手な場合は「タイミングと内容を決めておく」ことで取り組みやすくなります。何をどの場面で伝えるかがわかると、不安が減り行動しやすくなるはずです。
たとえば「作業が終わったら必ず報告する」「困ったらすぐ相談する」など、自分なりのルールを決めておくと迷いにくくなります。伝える内容をメモにまとめてから話すと、落ち着いて伝えられます。このように工夫を取り入れることで、少しずつ報連相に慣れていくことが重要です。
合理的配慮を求めることも大切
合理的配慮は、働きやすくするために必要なサポートを受ける仕組みです。無理して頑張り続けるよりも、自分に合った環境を整えることが長く働くことにつながります。合理的配慮の具体例をみてみましょう。
- 作業手順を紙やチェックリストで見える形にしてもらう
- 指示をゆっくり・短く区切って伝えてもらう
- 静かな場所で作業できるように調整してもらう
- 一度に多くの仕事を任せず、順番に指示を出してもらう
- 困ったときにすぐ相談できる担当者を決めてもらう
このように、自分に合った工夫を取り入れることで、働きやすさが大きく変わります。
ひとりで抱え込まず職場や支援員に相談しながら進めていくことが、安心して働くためには不可欠です。
将来の暮らしはどうなる?長く安心して暮らすために知っておきたいこと

将来の暮らしについて不安を感じる方も多いかもしれません。しかし働き方や制度を知ることで、安心して生活を続ける選択肢が見えてきます。ここではポイントをわかりやすく紹介します。
障害者雇用で正社員になれば定年まで働くことも可能
障害者雇用でも、正社員として働き続けることは可能です。安定した収入を得ながら、長く同じ職場で経験を積んでいけます。職場によっては、定年まで働く方も少なくありません。
配慮を受けながら働ける環境が整っているため、無理なく続けやすい点も特徴です。仕事に慣れていくことで自信につながり、できることの幅も広がっていきます。
長く働きたいと考えている方にとって、障害者雇用は安心してキャリアを築ける選択肢のひとつです。
障害年金を受けながら働くという選択肢もある
障害年金を受けながら働くという選択肢もあります。収入を補いながら、無理のない働き方を考える際に知っておきたい制度です。以下のように働くことと支援を組み合わせることで、安心して生活を続けやすくなります。
- 障害年金を受給しながら仕事を続けることができる
- 収入だけでは足りない部分を年金で補える
- 体調や状況に合わせて働き方を調整しやすい
自分の状態に合わせて制度を活用し、無理なく働き続けることを目指しましょう。
将来を見据えた第一歩を始めよう

将来のことを考えると、不安を感じることがあるかもしれません。しかし、小さな一歩からでも行動を始めることで、少しずつ選択肢は広がっていきます。
自分に合った働き方や支援を知ることが、安心して働き続けることにつながります。焦らず、自分のペースで進めていきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。
看護師・保健師資格保有。大学卒業後、大学病院集中治療室で7年勤務し、新生児から老年期まで幅広い患者の急性期ケアを経験。保健師として活動し、看護大学非常勤講師も務める。その後、高齢者施設や看護小規模多機能施設に従事し、老年期医療に携わる。急性期から慢性期まで、幅広い年齢層の患者ケアに携わる。現在は臨床経験を活かし、認知症や介護に関する記事、クリニックのコラムなど医療情報の執筆活動も行っている。


