パニック障害の症状とは|パニック発作が出る原因や診断後の治し方を解説

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)
東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施
▼この記事の3つのポイント
- パニック障害は突然の動悸やめまい、強い不安や恐怖などの症状が出現する
- パニック障害の治療方法には薬物療法や心理療法がある
- パニック障害は家族や友人にサポートをお願いすることも大切である
私って、もしかしてパニック障害……?
「突然胸が苦しくなる」「息苦しくなって怖くなる」など、突然起こる症状に驚きや不安を感じたことがある方は、パニック障害かもしれません。
パニック障害は、場所や時間に関係なく突然動悸やめまいなどの症状が現れ、強い不安や恐怖を感じる疾患です。
ここでは、パニック障害の症状や治療方法、日常生活で気を付けたいポイントを紹介します。
パニック障害とは?まずは症状をチェック
パニック障害とは、突然動悸や息苦しさを感じ、恐怖や不安を強く感じる疾患です。このような症状が突然起こるため、発作が生じた場所を避けたり、いつ起こるかわからないパニック発作に怯えたりするなど、日常生活に支障をきたします。
ここでは、パニック障害の特徴的な症状をみていきましょう。
パニック障害(パニック症)の特徴的な症状とは
パニック障害の特徴的な症状は、次の通りです。
- 動悸
- 手のひらに汗をかく
- 息苦しさや息が詰まりそうな感覚
- 吐き気
- 強い不安感や恐怖感
- 手足のしびれ
上記の症状はパニック発作と呼ばれており、発生してから数分でおさまるのが特徴です。
パニック発作の頻度は人によってさまざまであり、毎日起こる方もいれば、発作のない時期と起こる時期が交互に発生する方もいます。
パニック障害は、発作を起こした状況を避ける行動も特徴のひとつです。例えば、電車内でパニック発作を起こした場合は電車に乗るのを避けたり、人ごみで起こした場合は人の多い場所を避けたりします。
参考:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター「パニック障害」
内田クリニック「パニック症/パニック障害」
公益社団法人 日本精神神経学会「塩入俊樹先生に「パニック障害/パニック症」を訊く」
こんな症状があるときは気軽に相談してみませんか
パニック障害かもしれないと心配になったとき、以下のような症状があれば、一人で悩まずにメンタルクリニックなどに相談してみることをおすすめします。メンタルクリニックは決して特別な場所ではなく、心の健康について気軽に相談できる身近な存在です。
- 電車やエレベーター、人ごみなどで息苦しさや恐怖を感じる
- 胸が苦しくなったり、動悸を感じたりする
- めまいがしたり、汗をかいたりする
- 吐き気や胃の不快感がある
- 自分をコントロールできず、気が狂うのではと不安になる
- 死んでしまうのではないかと恐怖を感じる
これらの症状に当てはまるものがあっても、必要以上に心配する必要はありません。適切な治療やサポートを受けることで、症状は改善していきます。メンタルクリニックを受診する際は、上記の症状について「いつ頃から」「どのような状況で」「どの程度の頻度で」起こるかを医師に伝えると、より適切な診断や治療につながります。
メンタルクリニックは、風邪で内科を受診するのと同じように、心の不調について専門的なアドバイスを受けられる場所です。一人で抱え込まず、気になる症状があるときは気軽に相談してみてください。
パニック発作が起こる原因と診断の流れ

パニック発作が起こる原因は、ストレスや遺伝的要因などが挙げられます。またストレスの原因には、日常生活や過去のトラウマなどがあります。そのため、パニック発作を起こす原因として考えられるストレスは人によってさまざまです。
ここでは、パニック発作を起こす要因や診断の流れについて、詳しく紹介します。
パニック発作を引き起こす要因
パニック発作を引き起こすおもな要因は、次の通りです。
- ストレスによる神経の過剰な興奮
- 過去のトラウマ など
ストレスを感じると交感神経が刺激され、神経が過剰に興奮します。神経の興奮に対して防衛反応が起こり、動悸や息切れを引き起こすとされています。
専門家による診断プロセス
精神科医は、アメリカ精神医学会が発表している診断基準をもとにパニック障害を診断しています。診断基準は、次の通りです。
- 予期しないパニック発作を繰り返し経験している
- 1ヶ月以上、次の発作が起こるのではという不安を感じている
- 薬や身体的な病気による症状ではない
精神科医による問診で上記を確認し、さらにうつ病や双極性障害などを併発してないかを確認します。また、身体的な病気によるものと区別するために、心電図検査や血液検査を実施する場合があります。
参考:内田クリニック「パニック症/パニック障害」
公益社団法人 日本精神神経学会「塩入俊樹先生に「パニック障害/パニック症」を訊く」
MSDマニュアル プロフェッショナル版「パニック発作およびパニック症」
パニック障害(パニック症)の治し方について
パニック障害は薬の使用や日常での対処法を知ったうえで、治療を実践していきます。具体的な内容を確認していきましょう。
1. 薬物療法
パニック障害の薬物治療で、第一選択として使われるのは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。
SSRIとは、セロトニンの再取り込みを阻害し、脳内のセロトニン濃度をあげることで不安感やうつ状態を軽減する効果を持つ薬です。不安感やうつ状態を改善する効果がある一方で、次の副作用に注意が必要です。
- 消化器症状(吐き気・嘔吐・下痢・便秘など)
- 眠気
- めまい
- 頭痛
また、薬を1回でも飲み忘れると、頭痛やめまい、倦怠感などの離脱症状が出る可能性があるため、飲み忘れないことも大切です。
SSRIは、飲み始めてから効果が出るまで2〜4週間程度かかるといわれています。パニック発作の程度や強度によって、早く症状を和らげる必要があると判断された場合は、抗不安薬を併用することもあります。抗不安薬は服用後すぐに効果が出るため、パニック発作が出現しそうなときに頓服として処方される場合が多いようです。
参考:オンライン診療サービス curon「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とは」
公益社団法人 日本精神神経学会「塩入俊樹先生に「パニック障害/パニック症」を訊く」
2. 認知行動療法(CBT)の有効性
パニック障害の治療方法として、認知行動療法も大切です。認知行動療法とは、思考の偏りを修正し、柔軟な思考や行動ができるようにサポートする心理療法を指します。
パニック障害の場合【「発作が起こったらどうしよう」という不安を感じる→動悸や息苦しさが出現する→「このまま死んでしまうのではないか」とさらに不安や恐怖が増強する】という悪循環を起こします。この流れを修正することで、不安や恐怖の増強を回避し、パニック発作の出現を抑える効果が期待できるでしょう。
認知行動療法は以下のような方法で受けることができます。
- メンタルクリニックでの個人療法:医師や臨床心理士との1対1のカウンセリング
- グループ療法:同じ悩みを持つ人たちと一緒に受ける集団療法
- オンラインカウンセリング:自宅から気軽に受けられる遠隔療法
多くのメンタルクリニックで認知行動療法を受けることができ、保険適用されるケースも多いです。まずは気軽にクリニックに相談して、自分に合った治療方法を見つけてみましょう。認知行動療法は技術なので、練習すれば誰でも身につけることができます。
参考:厚生労働省「パニック障害(パニック症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」
3. 日常的にできるセルフケア方法
パニック障害は、薬物治療や認知行動療法とあわせて、日常的にできるセルフケア方法を知っておくことも大切です。パニック発作を起こさないための具体的な方法を確認してみましょう。
- 心の中で「パニック発作が起こっても大丈夫。すぐにおさまる。お守りの薬もあるから大丈夫」と発作をポジティブに捉える
- ゆっくり深呼吸してリラックスする
- カフェインを控えたり適度な運動を取り入れたりするなど生活習慣を見直す
また、パニック発作が出現した場合のセルフケア方法も知っておくことで、慌てずに対処できるでしょう。
- いすなどに腰かけて深呼吸する
- 発作から意識をそらす(冷たいものを飲む、壁や床に触れて感触を確認するなど)
- 家族や友人の声を聞く
参考:ひだまりこころクリニック「突然の不安に負けない!パニック発作を和らげるセルフケア術」
4. 専門機関や周囲のサポートを受ける大切さ
パニック障害は専門機関をはじめ、家族や友人など周囲のサポートを受けることで症状の緩和が期待できるでしょう。専門機関を活用することで、適切な薬の使用や心理療法で思考を修正でき、パニック発作そのものの改善に有効です。
一人では交通機関が利用できなくても、家族や友人に付き添ってもらえば利用できるかもしれません。一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用することが大切です。
日常生活で気をつけたいポイントと周囲のサポート
パニック障害は薬物療法や認知行動療法などの治療とあわせて、日常生活で気を付けたい点があります。日常生活でのポイントを確認して実践していきましょう。
1. 生活リズムの整え方
睡眠不足や食生活の偏りは、自律神経の乱れにつながり、パニック発作を起こしやすくなるといわれています。生活リズムを整えることは、発作そのものの出現を予防するのに大切です。
例えば、毎日同じ時間に起きて朝日を浴びると生活リズムが整います。日中は適度に活動することでストレス解消や心地よい疲労感が得られ、夜は自然と眠れるようになるかもしれません。
規則正しく食事するように心がけ、糖質や脂質などのバランスも意識するのがおすすめです。血糖値の急激な変化は、心身に影響を及ぼす可能性があるためです。
2. ストレスマネジメントの方法
パニック障害はストレスが原因で発症することが多いため、ストレスと上手に付き合っていくのも大切です。
まずは、自分がどんなときにストレスを感じるのか、ストレスを感じたときにどんな感情や症状が出るのかを理解しておく必要があります。ストレスを感じる場面や症状を理解しておくことで、ストレスが蓄積する前に対処できるようになるでしょう。
次に、ストレスに対して具体的な対策を立て実践していくと、心身のリラックスにつながり、ストレス解消が可能です。具体的なストレス解消方法として、ヨガや瞑想などで深呼吸を意識する、趣味に没頭する、睡眠を充分にとるなどがあります。
3. 家族や友人へサポートをお願いする
パニック障害は、家族や友人にサポートをお願いすることで、日常生活が送りやすくなったり、不安や恐怖が軽減されたりする可能性があります。
「自分がパニック障害であることを打ち明けるのは不安」と思う方もいるかもしれません。パニック発作を起こさないように、人ごみや交通機関の利用を避けることで、周囲に「人付き合いが悪い」という印象を与える可能性があります。パニック障害を打ち明けるかどうかは人それぞれですが、打ち明けないことで孤独感を生みやすいといえるでしょう。
また、周囲にパニック障害を打ち明ける際は、率直に伝えるようにしましょう。どんな場面で発作が起こりやすいのか、発作が起こるとどんな症状が出るのか、発作が出たときはどうしてほしいのかなどを明確にすると、打ち明けられた相手も理解しやすいでしょう。
パニック障害と向き合うために知っておきたい関連情報
パニック障害と向き合うために、知っておきたい情報を紹介します。
1. 似た症状との違い
パニック障害と似た症状が出る心の不調は、不安障害やうつ病、心的外傷後ストレス障害などが挙げられます。
パニック障害との違いを確認してみましょう。
| 病名 | 症状 |
|---|---|
| パニック障害 | ・強い不安や恐怖を感じる ・めまい ・息苦しさ ・動悸 ・予期不安 ・恐怖や動悸などの発作が起こるが、身体の異常はなく数分でおさまることが多い |
| うつ病 | ・気分が落ち込む ・気力が湧かない ・身体が動かない ・食欲がない |
| 不安障害 | ・他者から注目を集めるような場面に極度の不安や恐怖を感じる ・公共の場所や広い空間などに恐怖や不安を感じる ・あらゆる物事に恐怖や不安を感じる |
| 心的外傷後ストレス障害 | ・過去のトラウマが蘇り、動悸や発汗などを起こす ・悪夢を見る ・警戒心が強い |
2. 再発予防の心がけ
パニック障害は、薬物療法や心理療法を受けることで、症状の緩和を目指します。パニック発作がなくなり、過剰な恐怖や不安が軽減されると完治したと思いがちです。しかし、何かのきっかけで再び発作を起こし、パニック障害が再発する可能性があります。
再発リスクを防ぐためには、専門医と相談しながら治療を続けていくことや、ストレスの少ない生活習慣を意識することが大切です。
症状がなくなって楽になったからといって、自己判断で治療を中止したり、生活習慣が乱れたりすることがないように注意しましょう。
3. 社会資源や公的支援の活用
パニック障害で通院している方や、就業が困難な方が利用できる公的支援があります。
| 支援制度名 | 対象となる病名 | 受けられるサービス |
|---|---|---|
| 自立支援医療(精神通院医療) | ・統合失調症 ・うつ病、躁うつ病 ・薬物による急性中毒や依存症 ・PTSD、パニック障害 ・知的障害 ・アルツハイマー型認知症など | ・精神病院の医療費の軽減 ※入院による治療や医療保険適用外の治療、精神障害以外の通院は対象外 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | ・統合失調症 ・うつ病、躁うつ病 ・薬物による急性中毒や依存症 ・PTSD、パニック障害 ・発達障害 ・高次脳機能障害など | ・所得税や住民税などの減免 ・障害者職場適応訓練の実施 ・公共料金の割引 ・公営住宅の優先入居など |
参考:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」
精神疾患専門 横浜障害年金申請相談室「精神障害者の方への各種公的支援制度について」
4. 最新の研究動向と将来展望
パニック障害は、おもに薬物療法と心理療法で治療しますが、近年TMS治療が注目されています。TMS治療とは、特殊な磁気を利用して脳に電気刺激を与える治療です。電気刺激を与えることで脳の神経伝達物質が活発となり、脳の働きを正常に戻すことで症状が緩和されます。
今まではうつ病や強迫障害に対する治療方法とされてきましたが、パニック障害にも効果が期待できるのではと研究が進められています。
薬物治療では、副作用や効果が出るまでに時間がかかることがデメリットでした。TMS治療は軽い頭痛や吐き気など、薬物療法よりも副作用が少ないことが特徴です。また、治療効果が早く出やすいこともメリットです。
参考:東京横浜TMSクリニック「TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)とは?」
パニック障害について改めて理解しよう
パニック障害は、突然めまいや息苦しさ、動悸などが起こり、強い恐怖や不安を感じる病気です。パニック発作を起こした場面を避けたり、発作を恐れて外出がままならなかったりするなど、日常生活に支障をきたします。
しかし、薬物療法や心理療法を受けることで発作の頻度を減らしたり、恐怖や不安を軽減したりするのを目指します。
パニック障害と上手に付き合いながら日常生活が送れるように、病気の特徴や対処法を理解していきましょう。



