大人の発達障害の特徴は?得意・不得意と向き合っていく方法を解説

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)
東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施
▼この記事の3つのポイント
- 発達障害は子どもだけでなく、大人になってから気づくこともあり、特性を理解することが生きやすさにつながります
- 困りごとはあっても、得意なことや集中力・感覚の鋭さなど、特性を活かせる場面もたくさんあります
- 自分の特徴を知り、周囲のサポートや環境の工夫を取り入れることで、無理なく日常や仕事を続けることができます
大人の発達障害って何…?
発達障害は、生まれつき脳の一部の働き方の違いにより、考え方・行動・コミュニケーションなどに影響が出ることです。子どもの頃に発見されやすい一方で、職場での人間関係や仕事のミスがきっかけで、大人になってから初めて診断されるケースも増えています。
このような、大人になって初めて診断された発達障害のことを「大人の発達障害」という場合や、子どものころから症状が続き続けて大人になっても改善されたり対策が取れていない状態のことを「大人の発達障害」という場合があります。
本来、子どもの発達障害や大人の発達障害、と区別されるようなものではなく、あくまでも発達障害の症状の表れ方を世間一般的に表現したものです。
大人の発達障害は特徴を理解し、適切な診断やサポートを受け、日常生活をスムーズに送れる方法を学ぶことが大切です。
大人の発達障害とは?分類を解説
発達障害とは、生まれつきの脳の働きの違いにより、対人関係・仕事・日常生活に困難を感じる状態です。次のように分類されます。
- ADHD(注意欠如・多動症)
- ASD(自閉スペクトラム症)
- SLD(限局性学習症)
それぞれの特徴を詳しくみてみましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDは注意欠如・多動性という特徴があります。次をご覧ください。
| 特徴の分類 | 具体例 |
|---|---|
| 注意欠如(集中力が続かない、忘れやすい) | 話を聞いている途中で別のことが気になる |
| 多動性(じっとしてられない・待てない) | 静かにしないといけない場面で歩きまわる |
行動力や決断力があり、興味のあることに集中力を発揮するという特徴もあります。
ASD(自閉スペクトラム症)
ASD(自閉スペクトラム症)は、社会的なコミュニケーションをとるのが難しかったり、興味や行動に偏りがあったりするのが特徴です。詳しくみてみましょう。
- 会話の文脈や空気を読みとるのが苦手
- 表情やジェスチャーを使ったコミュニケーションが難しい
- こだわりやルーチンを崩されると不安
- 光・音などの感覚が敏感
ASDは対人関係が困難である一方で、特定の分野で才能を発揮するケースもあります。興味のある分野で強い集中力を発揮するのも特徴です。
SLD(限局性学習症)
SLD(限局性学習症)は、知的発達に問題がないにもかかわらず、読み書き・計算・推論など特定の能力を習得するのが難しく、さまざまな困難を感じている状態です。
具体例をみてみましょう。
- 文字を読むのが遅く、文章の理解に時間がかかる
- 数の概念が理解できない
- 事実をもとに結果を予測できない
SLDは、仕事や学習の場面で困難を引き起こしますが、適切な支援やツールを活用すると、影響を軽減できる可能性があります。
発達障害のある大人が抱える、生活の難しさ
発達障害を持つ大人は日常生活でさまざまな難しさを抱えています。ものごとを計画的に進めるのが苦手だったり、重要なことを忘れてしまったりするなどです。
このような課題が原因で、ストレスがたまる恐れもあります。社会生活・職場・人間関係に分けて詳しくみてみましょう。
社会生活での難しさ
大人の発達障害では、社会生活で次のような難しさを感じることが多いのが特徴です。
- 計画や約束を守れない
- スケジュールに沿って動けない
- 複数の用事を同時にこなせない
- 書類の記入を間違える
- 騒音や人混みでストレスを感じる
大人の発達障害では、社会生活での難しさを乗り越えるために、自分に合ったツールやサポートを使い、苦手な場面では周囲にサポートを求められるよう練習することが大切です。
職場における難しさ
大人の発達障害では、職場でさまざまな困難が生じます。具体例をみてみましょう。
- 業務の優先順位がつけられない
- 作業のミスや抜けが多い
- 複数のことを同時に進められない
- 同僚や上司の意図を読み取れない
- 職場の騒音や照明がストレスになる
困難を感じる場面が増えたり、続いたりするのは、ストレスや不安の原因です。自分の特徴を理解して、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
人間関係についての難しさ
大人の発達障害では人間関係の課題があります。相手の気持ちを読みとるのが苦手だったり、相手の話を途中でさえぎったりして、相手を不快にさせる可能性があるからです。
さらに、社会的なルールや暗黙の了解を理解するのが難しいと、適切なタイミングで会話に入れず、職場やプライベートで孤立する恐れがあります。
人間関係についての課題を克服するために、専門家によるサポートや人間関係に関するトレーニングを受けることがおすすめです。
得意・不得意を生かすためには自分を理解しよう!
自分の特徴を理解することで、得意・不得意を仕事や生活で生かせます。自分が楽しいと感じることを書き出してみましょう。
過去に成功した経験やまわりの人から評価されたことを振り返ると、自分の得意分野を見つけるきっかけにつながります。
不得意な部分は、適切な支援を受けたり、サポートする道具を使ったりすることで改善できる可能性があります。
得意なことを生かして仕事するには?
得意なことを生かして仕事するためには、自分の特性にマッチした仕事を見つけることが重要です。職場でどのような支援を受けられると、スムーズに仕事ができそうか考えてみましょう。それぞれの項目について詳しく解説します。
自分の特性にマッチした仕事を見つける
自分の特性にマッチした仕事を見つけるためには、自己分析が大切です。まず自分が得意なことや、興味のある分野を具体的に書き出します。
それと同時に、苦手に感じることやストレスとなる状況についても具体的にリストアップしてみてください。自分が興味のある分野や特徴を生かせる仕事を探してみましょう。
自分の特性にマッチした仕事を見つけるためには、専門家のアドバイスを受けることもおすすめです。かかりつけ医・ハローワーク・障害者就業・生活支援センターなどに問い合わせてみてください。
職場での配慮や支援を受ける
大人の発達障害がある方は、職場での配慮や支援を受け、仕事がスムーズにできるようになることを目指しましょう。
具体例は次のとおりです。
- 指示は細かくしてほしい
- 静かな作業環境がほしい
- 休憩をこまめにとらせてほしい
- 指示は紙に記載してほしい
自分の特徴を周囲に伝えると、仕事のミスが減り、作業がスムーズにできる可能性があります。
人間関係をうまく構築するには?
大人の発達障害の人が人間関係をうまく構築するためには、無理せず自分のペースを守ることが大切です。
さまざまなシチュエーションを想定して、コミュニケーションについて練習したり、信頼できる人を見つけたりすることを目指しましょう。
コミュニケーションの練習をする
大人の発達障害を持つ人にとって、コミュニケーションの練習は人間関係のトラブルを避けるために大切です。
職場での挨拶や同僚との会話など、さまざまなシチュエーションを想定して、どのような言葉を使うか・どのような表情で相手の話を聞くのかを確認します。
相手の話を最後までさえぎらず聞くことも大切です。うなずいたり、あいづちを打ったりしながら、相手が話し終わるまで待つことを心がけてみてください。
無理はせず、信頼できる人を見つける
大人の発達障害を持つ人にとって、自分を理解してくれる信頼できる人を見つけるのは人間関係を築くのに重要です。
すべての人と仲良くなるのではなく、相性がいい人や自分の特性を受け入れてくれる人を見つけると、心の負担も軽減させます。
趣味や興味があることなど自分の特徴にあった環境では、価値観の似た人と出会える可能性があり、関わりやすく感じる可能性があります。
信頼できる人がなかなか見つからない場合には、発達障害の専門家や支援団体のサポートを受けることも考えてみてください。
苦手なことを明確にして対策をすることも大切
大人の発達障害を持つ人は、苦手なことを明確にして対策をすることも大切です。まず自分の課題や苦手なことをリストアップします。自分が苦手なことや課題が明確になったら、対策を考えることが重要です。
相手の話が終わるまでメモをとったり、意図がわかりにくい場合には「どういう意味か教えてもらえますか」と確認したりしてみることで、コミュニケーションのトラブルを減らすことを目指します。
苦手なことを改善するには時間がかかります。そのため、自分のペースで無理なく取り組むことを心がけてみてください。
自分の得意・不得意を理解し、向き合っていこう!
大人の発達障害を持つ人が自分の得意・不得意を理解することは、自分らしく生きるための大切な第一歩です。
はじめに得意なことや楽しいと感じることを思い出してみます。自分の得意分野を明確にすると自分に自信を持って行動しやすくなります。
一方、不得意なことも具体的に把握して、サポートや支援を受けながら無理なく生活できる環境を作ることが大切です。
自分自身の特性を理解し、得意な部分をのばしながら、不得意な部分を補っていきましょう。
看護師・保健師資格保有。大学卒業後、大学病院集中治療室で7年勤務し、新生児から老年期まで幅広い患者の急性期ケアを経験。保健師として活動し、看護大学非常勤講師も務める。その後、高齢者施設や看護小規模多機能施設に従事し、老年期医療に携わる。急性期から慢性期まで、幅広い年齢層の患者ケアに携わる。現在は臨床経験を活かし、認知症や介護に関する記事、クリニックのコラムなど医療情報の執筆活動も行っている。


