特例子会社の給料|一般企業の障害者雇用との違いや特徴・実態を解説!
▼この記事の3つのポイント
- 特例子会社では、障害に理解がある環境で働ける
- 特例子会社の給与は、日本人の平均よりも低い傾向にある
- 一般企業の障害者雇用との違いを理解して、自分に合った就労先を選ぶことが大切である
特例子会社の給料ってどのくらいなんだろう?

障害のある人が就労する場合、数ある選択肢の一つとして特例子会社が挙げられます。特例子会社は、障害者の雇用促進・雇用安定を目的に、障害者雇用に対して特別に配慮した子会社です。
「特例子会社制度」では、障害者は安定した就労先を、企業は障害者の雇用率の維持向上を得られるため、双方にとってメリットが多い制度といえるでしょう。
とはいえ求職者にとっては、入社後の報酬や給与も気になるところ。今回は特例子会社の給料の実態についてご紹介します。
一般企業における障害者雇用との違いや「特例子会社は給料が低い」といわれやすい理由についても解説していきますので、就職活動や転職活動の際にぜひお役立てください。
特例子会社とは?まず押さえておきたい基本の仕組み

ここでは、特例子会社の基本的な仕組みについてご紹介します。特例子会社の定義を知れば、障害者の就労に役立つ特例子会社制度への理解も深まります。専門的な配慮以外のメリットや特徴を学びつつ、就労のイメージを広げていきましょう。
特例子会社とは
特定子会社とは、障害者雇用に関する配慮が備えられている子会社(親会社に財務や事業の方針を支配されている会社)を指します。特例子会社を設立するためには、以下の条件が必要です。
- 親会社との人的関係が維持されていること(例:親会社からの役員派遣)
- 親会社に支配されている関係性であること(例:親会社が子会社の議決権の過半数を保有している)
- 5人以上かつ全体の20%以上の障害者雇用率があること
- 雇用される障害者に占める重度身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合が30%以上であること
- 障害者の雇用の促進および安定が確実に達成されると認められること
- 障害者の雇用について適正に管理できること(例:専任の指導員の配置)
上記の条件を満たしたうえで厚生労働大臣の認可を受けた子会社のみが、特例子会社として認められます。
一般企業の障害者雇用枠との違い
特例子会社の大きな特徴として挙げられるのが、障害者雇用率の数値が親会社と同じ事業所として扱われる点です。特例子会社で障害者を雇用すれば、親会社・子会社全体の障害者雇用率を上昇します。
障害者の雇用に積極的な特例子会社は、一般雇用における障害者雇用と混同されることもあります。両者の大きな違いは「環境」です。
一般雇用の障害者雇用では、新しく入社する障害者一人ひとりに合わせた合理的配慮を準備します。しかし特例子会社は障害者雇用を前提に設立されているため、最初から以下のようなサポートが備えられています。
- バリアフリー設備
- 指導員の配置と手厚い対応
- 障害特性に合わせて設計された業務 など
また特例子会社では同僚の多くが障害者であるため、障害のある人でも安心して働きやすい点も魅力です。
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特例子会社で働くために必要な条件はある?

障害のある人が、障害を開示したうえで特例子会社で働くためには、以下のうちいずれかの障害者手帳が必要です。
- 身体障害者手帳
- 療育手帳(地域によって名前が異なる場合があります)
- 精神障害者手帳
特例子会社では健常者も働いているため、極論をいえば障害者手帳がなくても就労は可能です。ただし、さまざまな配慮やサポートを受けるためには、やはり障害者であることを開示したうえでの応募が推奨されます。
特例子会社の求人情報は、以下のような支援機関やサービスで探せます。
- ハローワーク
- 障害がある人向けの就職情報サイトや職業紹介会社
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援 など
また特例子会社の求人は「公開情報」と「非公開情報」に大別されます。とくに障害者就業・生活支援センターや就労移行支援で提供される情報のなかには、サービス利用者しか知ることができない求人も多いようです。
自分の体調や特性に合った仕事を見つけるためにも、ぜひさまざまな支援を活用しましょう。
特例子会社の給料はどのくらい?

ここでは、特例子会社の給料の相場・目安についてご紹介します。とはいえ一般雇用と同じように、特例子会社の給与も千差万別です。
求められるスキルや勤務時間などによっても報酬は大幅に異なります。業務内容や働き方なども加味したうえで、実際の求人要項と見比べながら、ベストな職場を選択することが大切です。
特例子会社の平均年収:約〇〇〇万円
以下に、特例子会社の平均年収の数値をまとめました。
| 平均年収 | 障害の割合 |
|---|---|
| 151~200万円 | 33.8% |
| 201~250万円 | 26.3% |
| 101~150万円 | 19.7% |
| 251~300万円 | 10.6% |
ご覧の通り障害者の割合が多いほど、基本的には平均年収が下がっていることがわかります。
詳しくは後述しますが、障害のある従業員は「勤務時間や日数が少なくなりやすい」や「業務内容が限定されやすい」特徴があるため、給与にも影響があると考えられるでしょう。
出典:野村総合研究所「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査 調査結果」
特例子会社の平均月収:約〇〇万円
上記のデータを月収に換算した場合の目安は、以下の通りです。
| 平均年収 | 障害の割合 |
|---|---|
| 12~17万円 | 33.8% |
| 17~21万円 | 26.3% |
| 8~12万円 | 19.7% |
| 21~25万円 | 10.6% |
また厚生労働省のデータによると、各障害者別の平均年収は以下の通りです。
- 身体障害者:21.5万円
- 知的障害者:11.7万円
- 精神障害者:12.5万円
上記はあくまで目安ではあるものの、日本人の平均月収が男性約41万円、女性約30万円であることを考えると、心もとない数値といえるでしょう。
出典:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査」
国土交通省「全年齢平均給与額(平均月額)」
特例子会社の給料が低めになりやすい3つの理由

ここでは、特例子会社の給料が低めになりやすい理由を3つご紹介します。
「特例子会社」で検索してみると、サジェストには「やめとけ」「生活できない」「安い」などネガティブなワードが目立ち、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。給与の実態から内情をリサーチしつつ、慎重な判断につなげていきましょう。
1. 任される仕事の種類が限られるから
特例子会社の給与が安くなりやすい理由として、任される仕事の種類が限られることが挙げられます。特例子会社では「障害のある従業員が無理なく安定して働けること」を重視しているため、業務内容が固定化されやすいからです。
たとえばデータ入力・軽作業・清掃・書類整理など手順がマニュアル化されている仕事や、心身の負担が比較的少ない仕事が中心です。もちろん専門性が求められる仕事もありますが携わる機会は少なく、評価や賃金水準が上がりにくい点が懸念されます。
2. 短時間勤務や契約社員から始まるケースも多いから
特例子会社は、障害者の体調が安定した状態で働ける環境づくりを大切にしています。取り組みの一環として、入社時は契約社員や短時間勤務(週数日勤務も含む)からスタートするケースも少なくありません。
時短勤務は無理のない働き方を実現できる一方で、業務時間が少なければ支払われる報酬も当然減ってしまいます。契約社員の場合は、正社員に比べて賞与や各種手当が限定的なケースも多いでしょう。
特例子会社では「職場としては良い環境でも給与面では不安が溜まりやすい」リスクも考える必要があります。
3. 会社の成り立ちが「安心して働ける場をつくること」にあるから
障害者の長期的な就労を重視する特例子会社は、一般的な子会社や特定子会社とは異なり、利益の最大化よりも環境づくりが優先される傾向にあります。
そもそも会社の成り立ち自体が障害者の就労環境の構築にあるため、施設や業務の維持にコストがかかってしまうのです。サポート体制や環境整備などにコストをかけた結果、給与として分配できる金銭的なリソースが限られる場合があります。
また特例子会社の業務の多くは親会社から受託しますので、特例子会社が自ら高収益の事業を展開するケースは多くありません。
障害年金と組み合わせれば、生活の見通しは立てやすくなる

障害の種類や程度によっては、障害年金を受給しながら特例子会社で就労することも可能です。
障害年金を受け取るための判断基準として「日常生活能力」が挙げられます。障害年金の考え方において「就労=ただちに日常生活が向上した」とは判断できません。そのため障害年金は、働きながらでも正当なプロセスで受け取れます。
ただし特例子会社で働くなかで障害の状態が改善し、1人でも安定した日常生活が送れるようになったと判断されれば、支給が停止してしまうこともあります。
障害年金は、特例子会社で働く人の生活水準を担保するためにも有用な制度です。支援員や自治体の窓口とも相談しつつ、体調や状況に合わせた対応を進めましょう。
特例子会社で働く魅力はたくさんある!

ここでは、特例子会社で働くメリットについてご紹介します。給与面や福利厚生面などで不安が残る特例子会社ですが、業務環境においては一般雇用とは比べ物にならないほどの魅力が存在しています。メリット・デメリットを加味したうえで、納得感のある選択が重要です。
障害への理解が前提の環境で働ける
特例子会社では多くの障害者が業務に励んでいます。そのため健常者・障害者ともに障害への理解が深く、お互いの体調や取り組みを尊重し合いながら働ける点が魅力です。
治療や通院のための早退や時短勤務、時差出勤などに対しても寛容であり、心も体も安定した状態で働きやすいでしょう。また障害に応じた部署や業務への配属もかなえられます。
働くリズムを安定させやすい
特例子会社で働くことで、働くリズムを安定させやすいようです。特例子会社では体調・特性に応じた勤務体制が整えられるため、無理のないペースで働けるでしょう。
業務内容や業務時間も比較的安定しており、一般的な企業と比べて残業や休日出勤の可能性も低い傾向です。継続的な通勤で経験を積めば体力や自信の回復につながり、長期的な就労の土台づくりとしても役立ちます。
大手企業グループの一員として働ける安心感がある
多くの特例子会社は、大手企業のグループ会社として設立されているのが特徴です。経営基盤が安定しているだけではなく「大手企業グループの一員として働いている」という自覚を持って業務に取り組めます。
特例子会社は、障害者を社会的な孤立や心理的な孤立から守るための仕組みともいえるでしょう。また特例子会社への就労は家族にとっても安心材料となり、将来への不安を軽減しながら働けます。
特例子会社で働きながら収入を上げる方法

ここでは、特例子会社で働きながら収入を上げる方法をご紹介します。特例子会社に入社したからといって、キャリアアップの道が閉ざされたわけではありません。体調と相談しながら、無理のない範囲でスキルやキャリアを育てていきましょう。
契約社員などから正社員登用を目指す
特例子会社で働きながら収入を上げるためには、契約社員やパートから正社員登用を目指す方法が挙げられます。
正社員になると基本給が上がるだけではなく、賞与や各種手当が充実したり昇給制度の対象となったりするため、年収アップにつながります。正社員を目指すためにも、日々の勤怠を安定させつつ、業務への正確さや協調性を示す姿勢が大切です。
勤務時間を段階的に増やす
特例子会社では、短時間勤務からスタートする人が多い傾向です。最初は時短勤務であっても、体調や生活の安定に応じて少しずつ勤務時間を伸ばしていきましょう。
自己判断ではなく、主治医や家族とも相談しながら段階的にステップアップすることが大切です。突然の体調悪化やメンタルダウンを防ぐためにも、少しずつでも着実に働ける時間を増やしましょう。
給与水準の高い特例子会社を選ぶ
特例子会社と一言で言っても、給与水準は大きく異なります。収入を上げるためには、就職活動や転職活動の段階で、複数の企業や特例子会社を比較検討するように努めましょう。
安定して長く働ける環境はもちろん、待遇面や福利厚生、昇給や昇給の条件なども要チェック。また正社員登用の実績がある企業であれば、将来的な収入の見通しも立てやすくなるでしょう。
一般企業の障害者雇用枠での就職を目指す
より多くの収入を得たい場合は、特例子会社よりも、一般企業の障害者枠での就労が適しているケースがあります。とくに大企業では、障害の種類や程度によっては一般社員に近い待遇で採用されることもあるようです。
ただし当然のことながら、狙う給与水準が高いほど、求められる業務レベルや自己管理能力も上がります。最終的に一般企業を目指す場合でも、まずは特例子会社で働きながら経験や実績を積むのも一つの手段です。
自分に合った働き方を見つけよう!

今回は、特例子会社の仕組みやメリット、給与の実態などをご紹介しました。特例子会社では障害への理解がある環境で働けるため、心身のストレスやプレッシャーが少なく、安心して長期的に働ける点が魅力です。
その反面で、報酬やキャリアアップについて不安が残っている点も事実です。とはいえ、特例子会社がキャリアのゴールではありません。
本サイトでは、障害のある人の就労に関する情報を数多く発信しています。ぜひほかの記事も参考にしながら、自分に合ったキャリアや就労先について考えていきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。

2017年にWebライターとして活動を開始し、数多くのメディアでライターとして活動。年間1,000本以上記事を制作する専門ライター。子ども教育やメンタルヘルス関連のメディアでの活動実績が多い。


