特例子会社とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
▼この記事の3つのポイント
- 特例子会社とは、障害者の就労を前提とした企業
- 設備・制度の充実や支援員の常駐など、障害者が働きやすい環境が整っている
- 特定子会社のメリット・デメリットを把握したうえで、自分に合った職場を見つけよう
特例子会社ってどんな会社?一般企業とどう違うの…?

「特例子会社」とは、障害のある方の雇用をサポートするために作られた会社のことです。
一般の企業と比べて、特例子会社は障害への理解や「合理的配慮」(働きやすくなるための工夫)に関する知識・経験が豊富なのが特徴です。
障害のある方が能力を発揮しやすいよう環境を整えており、一般企業の障害者雇用枠と並んで、「障害のある方が社会とつながるための大切な架け橋」となっています。
今回は、特例子会社の仕組みや、働く上でのメリットや、知っておきたいポイントをご紹介します。 一見すると「安心できそう」と感じる特例子会社ですが、収入面や仕事内容など、事前に知っておきたい注意点もあります。
仕組みや特徴をしっかり理解して、ご自身が納得できる働き方を見つけていきましょう。
そもそも特例子会社とは?仕組みをわかりやすく解説

まずは、特例子会社の基本的な仕組みから解説します。 特例子会社とは、「障害のある方の雇用に特別な配慮をするために、親会社が設立した子会社」のことです。障害のある方の雇用を増やし、安定して働き続けてもらうことを目的としています。
大きなポイントは、特例子会社で雇用された障害のある方は、法律上「親会社(グループ全体)が雇用した」とみなされる点です。
これにより、親会社は障害者雇用率(※)を満たしやすくなります。 つまり特例子会社は、障害のある方(働きやすい環境)と親会社(雇用率の達成)の双方にメリットがある仕組みです。
※企業が法律で定められた割合以上の障害者を雇用する制度
一般企業の障害者雇用枠との違い

一般企業の障害者雇用枠と比べ、特例子会社は障害のある方を雇用することを前提に作られています。
そのため、設備や制度が障害特性に合わせて整えられているのが特徴です。また、従業員全体のうち障害のある方が占める割合も、一般企業に比べて非常に高い傾向にあります。
業務内容は、親会社から依頼された事務作業や清掃など、手順が決まった定型業務が多く、個人よりもチームで分担して取り組むスタイルが目立ちます。
一般企業の採用と比べて、求められるスキルや経験が幅広く設定されているケースも多く、採用のハードルが比較的緩やかな場合があること、そして定着率(長く働き続ける人の割合)が高いことも特徴です。
特例子会社に就職する5つのメリット

ここでは、特例子会社で働くことの主なメリットを5つご紹介します。特例子会社は、障害のある方が無理なく、安心して働くことをサポートする仕組みです。
どんなメリットがあるか見ていきましょう。
障害への理解と配慮がある環境で働けるケースが多い
大きなメリットの一つが、職場の障害への理解が深いことです。特例子会社は障害のある方が働くことを前提に設立されているため、さまざまな障害特性に配慮した設備や体制が整っています。
たとえば、身体障害のある方への配慮として、最寄り駅からの送迎バスや、バリアフリー設計(段差解消、広い通路など)が代表的です。
また、時差出勤(ラッシュを避ける)や短時間勤務制度など、障害の内容や体調に合わせた柔軟な働き方ができる仕組みが備えられていることも多くあります。
現在の体調だけでなく、将来的な変化や突発的な体調不良などにも対応してもらいやすい柔軟さが、特例子会社の魅力です。
自分に合った仕事内容や勤務時間に調整してもらえる可能性が高い
ご自身の障害特性や体調に合わせて、仕事内容や勤務時間を調整してもらいやすい点もメリットです。
たとえば「複数の作業を同時に行う(マルチタスク)が苦手」という特性がある場合、一つの作業に集中できる業務を優先的に任せてもらえる、といった配慮が期待できます。
特例子会社は親会社本体とは異なる労働条件を設定できるため、柔軟な働き方を実現しやすいのです。
フレックスタイムや半休制度など、障害に応じた労働時間の調整がしやすいため、無理のない形で社会とつながり、結果として長く働き続けやすい環境といえます。
専門の支援スタッフが常駐している場合が多い
特例子会社の多くには、障害のある従業員をサポートする専門の支援員が常駐しています。 支援員の仕事は、皆さんが仕事をしやすくなるよう業務のフォローをしたり、相談に乗ったりすることです。
また、完了した業務のチェックや日報の確認なども行います。
必要があれば業務に同行し、見守りながらサポートしてくれることもあります。「すべての従業員が、それぞれの強みを活かして活躍するためのサポーター」が支援員です。
職場によっては、支援員が業務指導や育成なども担当するため、安心して仕事に集中しやすい環境が整っています。
安定した雇用とキャリアを築きやすい
特例子会社では、安定した雇用とキャリアを築きやすい点もメリットといえるでしょう。親会社(グループ)の安定した経営基盤や、さまざまな福利厚生や支援員のサポートがあるため、長期的な就労を実現しやすい環境です。
通院休暇などの制度が整っていることも多く、服薬や通院についても理解や配慮が得やすいため、会社のルールの中で気兼ねなく自分の体調管理を優先できます。
もちろん、長期的に特例子会社で働くことを通じて、リーダー職になるなどのキャリアアップも目指せます。
将来的に転職を考える場合でも、「特例子会社で一定期間、安定して働けた」という事実は、自信や実績につながるでしょう。
同じ立場の仲間がいる安心感がある
特例子会社で働く人の多くは、何らかの障害のある方々です。 一般企業では、ご自身の障害に引け目を感じたり、「周りに気を遣わせているかも」と不安になったりすることがあるかもしれません。
しかし特例子会社であれば、自分と同じような事情や悩みを抱えた仲間と一緒に働けます。
「同じ立場の仲間がいる」という感覚は安心感を生むだけでなく、チームワークや仕事へのモチベーションにも良い影響を与えます。
お互いに助け合いながら成長も期待できるため、自分らしさや自己肯定感を保ちながら働きやすい環境です。
知っておきたい特例子会社のデメリット・注意点

メリットが多い一方で、知っておくべきデメリット(注意点)もあります。
状況によっては「自分には合わないかも」と感じる可能性もあるため、自分の理想や希望と照らし合わせて考えてみましょう。
給与水準が親会社より低い場合がある
特例子会社は、親会社の社員(一般枠)と比べると、給与の水準がやや低めに設定されている傾向があります。
これには理由があります。 例えば、障害のある方が安心して働けるよう、支援員の配置や設備の充実にコストをかけていること。また、利益を追求すること(利益第一)よりも、「安定した雇用を長く守ること」を大切にしている会社も多いためです。
そのため、「高い給与よりも、まずは安定して働ける環境がほしい」と考える方には合理的ですが、「どんどん働いて収入を上げたい」と考える方にとっては、少し物足りなく感じるかもしれません。
仕事内容が限定的・定型的になりやすい
仕事内容が、マニュアル化された定型業務(決まった手順の作業)が中心になりやすい点も、知っておきたいポイントです。
これは、「心身への負担が少なく、誰でも落ち着いて仕事に取り組みやすい」という大きなメリットの裏返しでもあります。
もし、自分が「色々な仕事に挑戦して、どんどんスキルアップしたい」と考えるタイプなら、仕事が単調で「少し退屈だな」と感じてしまう可能性も。
ご自身が仕事に「安心感」と「やりがい」のどちらをより重視するかで、この特徴がメリットにもデメリットにもなるでしょう。
キャリアアップの道筋が見えにくい
一般企業と比べると、キャリアアップの道筋がゆっくりだったり、少し見えにくかったりする場合があります。
特例子会社の業務は、親会社から委託された範囲内で行われることが多いため、企画や新規事業といった裁量の大きな仕事に挑戦できるチャンスは、一般枠に比べると少ないかもしれません。
そのため、「成果を出して、早く昇進したい!」というイメージで入社すると、ギャップを感じる可能性があります。 もちろん、チームリーダーなどへのステップアップ制度がある会社も多いですが、どのようなキャリアプランが描けるかは会社によって異なります。
気になる場合は、面接などで「将来どのような役割(キャリア)がありますか?」と質問してみるのも良いでしょう。
「守られた環境」から抜け出しにくい
特例子会社は、経営基盤が安定しており、配慮も手厚いため、「非常に安心して働ける環境」です。
それは大きな魅力である反面、居心地が良いからこそ、「少し不満があっても、この安定を手放してまで新しい場所に挑戦するのは不安だ」と感じ、環境を変えるきっかけを掴み(つかみ)にくくなる側面もあります。
また、定型業務が中心の場合、他社や他業種でも通用する新しいスキルを身につけるチャンスが限られてしまい、将来転職を考えたときに不安を感じるかもしれません。
もし将来的に一般枠での就労を目指したいと考えている方は、特例子会社で働きながら資格の勉強をするなど、ご自身でスキルアップの機会を作る工夫も必要になる場合があります。
【比較表で解説】他の働き方とどう違う?

特例子会社以外にも、障害のある方にはいくつかの働き方の選択肢があります。 ここでは、特例子会社・一般枠(オープン・クローズ)・就労継続支援(福祉サービス)の主な違いを表にまとめました。
ご自身が「何を一番大切にしたいか」を考えるための参考にしてみてください。
| 配慮 | 給与 | 仕事内容 | 安定性 | |
|---|---|---|---|---|
| 特例子会社 | ・障害の特性に合わせた業務設計 ・支援員の配置 ・体調や勤務時間への柔軟な対応 | ・親会社よりやや低めに設定される 傾向 ・昇給や賞与制度は企業ごとに異なる | ・親会社の事務作業 ・清掃 ・データ入力 ・定型業務が中心的 | ・親会社の支援により経営基盤が安定 ・業績変動の影響を受けにくい ・定着率が高い |
| 一般枠(オープン) | ・障害を開示したうえで、配慮を受けながら勤務できる ・必要な支援を会社と相談しながら整える | ・一般社員と同条件の給与水準 ・実績や評価によってキャリアアップのチャンスあり | ・ほかの社員と同じ業務内容 ・能力や適性に応じた配置 | ・企業の業績や評価によって変動あり ・契約更新や異動のリスクあり |
| 一般枠(クローズ) | ・障害を非公表で就労するため配慮はほぼない ・体調や特性への理解が得にくい可能性がある | ・一般社員と同等 ・能力次第で昇進や昇給のチャンスあり | ・一般社員と同様の業務 ・高いパフォーマンスや生産性の高さを求められる | ・成果次第でキャリアアップが可能 ・会社の評価制度の影響を受けやすい |
| 就労継続支援 | ・支援員がつねにサポート ・作業環境やペースを個々に合わせて調整 | ・A型は、最低賃金以上の給与あり ・B型は、工賃として支給され、収入は少ない | ・軽作業・製品組立・清掃・農作業など ・個人の体力や特性に応じた作業を実施 | ・支援機関による手厚いフォローあり ・体調に合わせて継続しやすい ・一般企業へのステップアップを目標にする |
※これはあくまで一般的な傾向です。企業や事業所によって条件は異なります。
特例子会社で働くのに向いている人の特徴は?

では、特例子会社はどのような方に向いているのでしょうか。 これまでのメリットや注意点を踏まえて、ご自身の希望と照らし合わせてみましょう。
安定した環境で長く働きたい人
特例子会社は、親会社の支援で運営されており、経営基盤が安定していることが大きな魅力です。
「お給料がすごく高いことよりも、まずは安心して長く働ける環境がほしい」と、生活の安定を重視する人にとっては、とてもおすすめな選択肢になります。
配慮のある職場で安心して働きたい人
「障害のことを理解してもらえないかも」「体調のことを言い出しにくい」といった不安を感じながら働くのはつらいものです。
特例子会社は、障害のある方が働くことが前提のため、通院や体調不良などへの理解が得やすく、安心して相談できる環境が整っています。気兼ねすることなく、自分らしく働きたい人に向いています。
一般枠での就労に不安を感じている人
一般枠の仕事では、スピードや成果を求められることも多く、体調面などで不安を感じる方もいるでしょう。
特例子会社では、そうした不安に配慮し、働くペースや業務内容を調整してもらいやすいのが特徴です。「まずは『働くこと』自体に慣れたい」「焦らずに自分のペースで経験を積みたい」と考えている方にもおすすめです。
どこで見つける?特例子会社の求人の探し方

特例子会社の求人を探すための、具体的な方法をご紹介します。スマートフォンやご自宅のパソコンからでも探すことができますよ。
ハローワーク(障害者専門窓口)
お近くのハローワークには、障害のある方の就職を専門にサポートする窓口(専門援助部門)があります。
求職登録をして希望を伝えれば、特例子会社の求人情報を提供してくれたり、応募書類の添削や面接の練習を手伝ってくれたりします。
障害者専門の求人サイト・転職エージェント
障害者雇用に特化した求人サイトや転職サービス(転職エージェント、マッチングサービスなど)も積極的に活用しましょう。
基本的に無料で利用でき、一般企業の障害者雇用枠や特例子会社の求人を探すことができます。サービスによって特徴があり、転職エージェントはキャリア相談や面接対策までサポートしてくれます。
一方、求人サイトやマッチングサービスは、自分のペースで情報を比較検討したり、企業からのスカウトを受け取ったりできるメリットがあります。
就労移行支援事業所からの紹介
現在、就労移行支援事業所に通っている方は、そこのスタッフに相談してみましょう。 就労移行支援は、就職の準備(ビジネスマナーや職業訓練)から、職場探し、就職後の定着までをサポートしてくれる福祉サービスです。
訓練を通じてわかった、あなたの適性や強みに合った職場を紹介してもらえる可能性があります。
親会社の採用ページ
もし興味のある大企業などがあれば、その企業の公式採用ホームページをチェックしてみるのも良いでしょう。
「関連会社一覧」「サステナビリティ(CSR)」「障害者雇用情報」といったページに、特例子会社の求人が掲載されている場合があります。
ただし、募集内容や勤務地などは会社ごとに異なるため、ご自身の希望に合っているか、よく確認することが大切です。
特例子会社の仕事を探すなら、デコボコエージェント!

今回は、特例子会社のメリット・デメリットや、求人の探し方などをご紹介しました。 特例子会社の仕事を探すべきか、それとも一般枠のほうが良いか…もし迷っているなら、『デコボコエージェント』のような障害者雇用専門のマッチングサービスを活用してみるのも一つの方法です。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。

2017年にWebライターとして活動を開始し、数多くのメディアでライターとして活動。年間1,000本以上記事を制作する専門ライター。子ども教育やメンタルヘルス関連のメディアでの活動実績が多い。


