作成日:
2025年12月12日
更新日:
2025年12月16日

障害者雇用の給料と年収|障害者枠の平均賃金や給料が上がるヒントを解説

▼この記事の3つのポイント

  • 障害者雇用の給料が低い理由には、時短勤務が大きく関連している
  • 障害者雇用でも行動次第で給料をアップできる
  • 体調を第一に考えつつ、スキルアップやキャリアアップを狙おう

障害者雇用での就職を考えているけど、給料って低いの…?

頭を抱える女性
出典:photoAC

障害者雇用とは、一定規模の企業に対して障害者の雇用が義務付けられている制度です。一般就労が難しい障害者であっても、障害者雇用制度を利用することで安定した就労が目指せます。

しかし障害者雇用は一般就労と比べ、給与や職集が限定されていることも少なくありません。今回は、障害者雇用における給与の実情や障害者雇用で給料を上げるヒントなどをご紹介します。給与以外の制度も賢く利用しつつ、不安の少ない生活の実現を目指しましょう。

出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」

障害者雇用の給料・賃金はどれくらい?

お金
出典:photoAC

ここでは、障害者雇用における給料・賃金についてのデータをご紹介します。結論からいうと「障害者雇用=低賃金」というわけではありません。しかし障害やスキルによっては仕事内容が限定されるため、結果的に一般就労よりも給与が低くなる可能性があります。

【障害種別】障害者雇用の平均月収データ

以下に、各障害種別(身体、知的、精神、発達)の平均月収データを表でまとめました(データの内容は令和5年度版です)。

障害の種類1カ月の平均賃金超過勤務手当を除く
所定内給与額
平成30年度の
1カ月の平均賃金
身体障害者23万5,000円22万3,000円21万5,000円
知的障害者13万7,000円13万3,000円11万7,000円
精神障害者14万9,000円14 万6,000円12万5,000円
発達障害者13万円12 万8,000円12万7,000円

上記の数値はあくまで平均であるため、一概にすべての障害者の給与が定められているわけではありません。そのうえで結果として、障害者全体のなかでは身体障害者がもっとも高い給与を得やすいといえます。

しかしサラリーマン全体の平均月収は約38万円であることから、障害者全体の平均給与は日本人の平均以下です。

出典:厚生労働省「平成 30 年度障害者雇用実態調査結果」
   国税庁「標本調査結果」

【労働時間別】フルタイムと短時間勤務で給料はどう変わる?

以下では、労働時間別の障害者雇用の平均給与をまとめました。

障害の種類通常
(30時間以上)
20時間以上
30時間未満
10時間以上
20時間未満
10時間未満
身体障害者約26万8,000円約16万2,000円約10万7,000円約6万7,000円
知的障害者約15万7,000円約11万1,000円約7万9,000円約4万3,000円
精神障害者約19万3,000円約12万1,000円約7万1,000円約1万6,000円
発達障害者約15万5,000円約10万7,000円約6万6,000円約2万1,000円

前項の平均額と照らし合わせると、どの障害においても、フルタイムで働いている方は当然ながら平均額より多く稼いでいます。障害者雇用の平均給与額を落としている理由には、時短勤務者の割合が関係しているといえるでしょう。

なぜ障害者雇用の給料は低くなりやすいの?

考える人々
出典:photoAC

ここでは、障害者雇用の給与が低くなりやすい理由をご紹介します。一般雇用と比べて、大きく下回る障害者雇用の平均給与。すべての障害者が薄給ではないまでも、なぜ平均値に大きな差が生まれてしまうのでしょうか?

短時間勤務が多い

障害者雇用の給与が低い理由として、短時間勤務の割合が多いことが挙げられます。前項の表を参考にすると、週30時間以上(フルタイム)で働いている方の割合は、以下のとおりです。

  • 身体障害者……約75.1%
  • 知的障害者……約64.2%
  • 精神障害者……約56.2%
  • 発達障害者……約60.7%

もっともフルタイム労働者が多い身体障害者でも、全体の約4分の1が時短勤務です。とくに精神障害者は時短勤務の割合が多く、平均給与の低さに影響を与えていることがわかります。

非正規雇用の割合が高い

非正規雇用の労働者が多いことも、障害者雇用の給与が低い理由の一つです。以下に、厚生労働省による障害別の正社員雇用の割合を記載します。

  • 身体障害者……約59.3%
  • 知的障害者……約20.3%
  • 精神障害者……約32.7%
  • 発達障害者……約36.6%

上記の通り、半数以上が正社員として働いているのは身体障害者のみ。精神障害者や発達障害者の正社員雇用は約3人に1人、知的障害者は5人に1人しかいません。

担当する業務内容が限定されやすい

障害者雇用では、障害の種類や程度に応じて業務内容が限定される傾向にあります。ただし障害を理由とする差別的な取り扱いは法律(障害者雇用促進法)では禁止されているため、障害があるだけで廃止が不利になるわけではありません。

しかし実際には障害特性や体調の波、得意・不得意を考慮するため「安定して継続できる業務」を割り当てる必要があります。その結果、定型作業や事務補助など内容が固定されやすい業務に配置されるケースが多く、幅広い業務経験を積みにくいのです。

障害者雇用で給料を上げる5つのヒント

電話をする人
出典:photoAC

ここでは、障害者雇用で給与を上げるためのヒントをご紹介します。もっとも大切にしたいのは自身の心身の体調です。働きながら「自分のコンディション」と「仕事のパフォーマンス」を維持できる術を探しつつ、報酬アップを目指していきましょう。

週の労働時間を増やす・フルタイムを目指す

障害者雇用で収入を増やすためには、フルタイムを目指した労働時間の増加を狙います。障害者雇用では体調を考慮し、短時間勤務からスタートするケースも少なくありません。業務に慣れて安定して働けるようになったら、少しずつ週の労働時間を増やしていきましょう。

時給制であれば労働時間に応じて収入がアップし、月給制であればフルタイム移行で基本給の増加が期待できます。ただし無理はせず、上司や主治医、支援員と相談しながら、段階的に検討することが大切です。

正社員登用制度のある企業を選ぶ

契約社員やパートで障害者雇用枠を利用している場合、正社員登用を狙いましょう。または経験や体調を考慮し、最初から正社員登用のある企業を選ぶのも一つの手段です。

正社員のメリットは福利厚生の充実だけではありません。職場における役割や責任が明確になり、評価基準が整うことも大きな魅力です。求職の際は「登用実績あり」と表記されている求人票のなかから、実際に登用された人数や条件を調べつつ応募しましょう。

スキルアップ・資格取得で市場価値を高める

障害者雇用でも一般雇用でも、給料を上げるためには「できることを増やす取り組み」が重要です。業務に関連するスキルや資格を身につければ職場での評価が高まり、昇給や職務手当につながるケースがあります。

たとえばパソコンスキルや簿記、IT系の資格、語学系の資格などは、昇給につながりやすい領域です。スキルを上げれば市場価値も高まり、より良い条件の企業への転職もしやすくなります。

手当・福利厚生を確認する

自身の昇給を考えることももちろん大切ですが、企業の手当や福利厚生を正しく使えているかどうかも確認しましょう。

障害者雇用では、一般雇用とは異なる手当が支給される場合があります。また医療費補助やカウンセリング制度などの福利厚生も要チェックです。支出を手当で補うことで、結果的に生活に余裕が生まれる場合もあります。

キャリアアップ可能な企業への転職を検討する

障害者雇用で給与を上げるためには、キャリアアップ可能な企業への転職を検討することも推奨されます。転職の際は、障害者雇用に特化した人材サービスの利用がおすすめです。

たとえば『デコボコエージェント』では、求職中・転職中の障害者に向けたダイレクトリクルーティングを実施しています。自分のペースで企業を探せるだけではなく、経験やスキルに興味を持った企業からスカウトが届くことも。「配慮と収入のバランスを取りながら、納得できる企業を選びたい」と思っている方は、ぜひこの機会にご活用ください。

給料だけじゃない!生活を支える制度を知ろう

笑顔の女性
出典:photoAC

ここでは、障害者が利用できる制度についてご紹介します。障害者の生活を支えるのは、企業からの給与だけではありません。国や自治体が発信する情報を細かくチェックしながら、自分が利用できるサービスや制度を調べていきましょう。

障害年金|働きながら受給できる収入の柱

障害年金とは、病気や障害によって生活・仕事が制限される際に受給できる、公的年金制度です。高齢になってから受け取る老齢年金とは異なり、障害の状態になった場合に支給されます。

受給のためには、障害の状態が障害認定日に「障害等級表に定める1級か2級」に該当している必要があります。障害認定日の定義やそのほかの条件については、日本年金機構の公式サイトからご確認ください。

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

グループホーム|家賃を抑えながら支援を受けられる選択肢

障害者向けのグループホームでは、障害のある方が必要な支援を受けながら共同生活をおくれます。障害者が自立した生活をおくるための「移住型福祉サービス」であり、必要に応じて食事や入浴、排泄、掃除などのサポートも受けられます。

昨今では重度の障害がある方だけでなく「グレーゾーン」と呼ばれる層でもグループホームを利用するケースが増加傾向です。生活が苦しくなった際の選択肢の一つとして知っておくことが大切です。

参考:横浜市「障害者グループホーム」

その他の支援制度

以下に、そのほかの支援制度の代表例を記載します。とはいえ自身の疾患や状況に応じて使える制度は異なります。必要に応じて役所で相談しつつ、利用可能な制度を把握しましょう。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援
  • 就労定着支援
  • 自立訓練
  • 自立生活援助
  • 地域移行支援
  • 地域定着支援
  • 障害者相談支援
  • 住居入居等支援
  • 自立支援医療
  • 生活福祉資金貸付制度
  • 更生医療 など

「配慮」と「収入」のバランスをどう考える?

楽しそうな職場
出典:photoAC

障害者雇用で収入アップを狙う際「配慮を求める以上、給料が低くても仕方ないのでは?」と悩む方は少なくありません。

前提として、体調や特性への配慮は「働き続けるために必要な土台」です。労働者が遠慮すべきものではありません。一方で、配慮の内容や働き方によっては業務範囲や労働時間が限られ、結果として収入が低くなってしまうこともあるでしょう。

「どこまでの配慮を重視し、どこから収入やキャリアを優先するか」に明確な正解はありません。安定を最優先する選択も段階的に収入アップを目指す選択も、どちらも尊重されるべきです。

大切なのは、自分の体調を客観的に把握し「今の自分にとって何を優先するか」を判断すること。納得感のある選択をするためにも、自分の心を深掘りしつつ、目指したい生活のビジョンを具体的に描いてみましょう。

情報を味方につけて、前向きな一歩を踏み出そう

楽しそうな職場
出典:photoAC

今回は、障害者雇用における給与の実態や、報酬を上げる手段などをご紹介しました。

障害の有無にかかわらず、収入をアップさせるためには情報収集が大切です。自身が収入を上げられるスキルや立場を持っていても、肝心の方法を知らなければ行動に移せません。

まずは「調べること」が収入アップの第一歩。障害者が利用できる制度やサポートは年々変化していきます。企業・国・自治体の最新情報をリサーチしつつ、より安定感のある暮らしを目指しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。

[ライター]山口 愛未

2017年にWebライターとして活動を開始し、数多くのメディアでライターとして活動。年間1,000本以上記事を制作する専門ライター。子ども教育やメンタルヘルス関連のメディアでの活動実績が多い。

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