作成日:
2025年6月24日
更新日:
2026年2月11日

適応障害になりやすい人の特徴はある?顔つきが変わるって本当?

[監修者]北川 庄治

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)

東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学

通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施

▼この記事の3つのポイント

  • 適応障害とは、環境の変化やストレスにうまく適応できず、心や体に不調があらわれる状態です
  • 適応障害になりやすい人は、慎重で真面目、完璧を求めるほどストレスを抱えやすい傾向です。
  • 顔つきや雰囲気が変わるのもサインのひとつ。早めに気づき、セルフケアや相談で回復を目指しましょう

もしかすると、適応障害かもしれない……

出典:photoAC

「気持ちが沈んで仕事に行くのがつらい」

「もしかするとそれは“適応障害”なのかな……?」

この記事では、適応障害とはどんな状態なのか、なりやすい人の傾向や、顔つきの変化といった意外なサイン、そして日常生活でできる小さなセルフケアについてお伝えします。この記事が、あなた自身の「気づき」や「こころが少し軽くなるきっかけ」になれば幸いです。

適応障害になりやすい人の特徴とは?

出典:photoAC

適応障害は、誰にでも起こる可能性のある精神障害です。適応障害になりやすい人の特徴として、真面目で責任感が強い人や自分の気持ちを後回しにしがちな人などが挙げられます。ただし、これらの特徴があっても必ず適応障害になるわけではありません。

ここでは、適応障害について詳しく解説します。

そもそも適応障害とは?

適応障害とは、環境の変化やストレスにうまく対応できず、心や体に不調が現れてしまう状態のことです。医学的には、DSM-5という診断基準で「心的外傷およびストレス因関連障害群」の一つとして分類されています。

適応障害の主な症状は次の通りです。

  • 気分の落ち込み
  • 不安感
  • イライラしやすくなる
  • 涙もろくなる
  • 何もやる気が出ない
  • 自分を責める気持ちが強くなる

これらの症状が、特定のストレス(仕事での異動や人間関係の変化など)がきっかけで始まり、日常生活に支障が出ているときは、適応障害の可能性があります。ストレスの原因がなくなったり和らいだりすると、症状も次第に良くなっていくのが特徴です。

出典:医療法人 池澤クリニック「適応障害」

なりやすい人に共通する性格の傾向・特徴はある?

適応障害は誰にでも起こりうる精神障害ですが、以下のような特徴がある人は、ストレスに対する対処がうまくできず、適応障害を起こしてしまう可能性があります。

  • 真面目で責任感が強い人:仕事や頼まれたことに一生懸命取り組むあまり、つい自分を追い込んでしまうことがあります
  • 完璧主義な傾向がある人:「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちが強く、ストレスを溜め込みやすいです
  • 周りの期待に応えたい人:人の期待に応えようと、無理をしがちです
  • 気配り上手な人:他の人のことを考えて、自分の気持ちを後回しにしてしまいます
  • 周りの目が気になる人:「どう思われているかな?」と人からの評価を過度に気にしてしまいます
  • お願いを断るのが苦手な人:「NO」と言えずに、自分の限界を超えても引き受けてしまいます
  • 変化が苦手な人:新しい環境に慣れるのに時間がかかります

適応障害になりやすい人は、知らず知らずのうちに心の負担がたまり、自分でも気付かないうちに限界を迎えている可能性があります。

適応障害は弱いからなる病気ではない

適応障害は、職場や学校、家庭などでのストレスに加えて、生まれ持った性格や体質、これまでの人生経験などが重なることで起こりやすくなると言われています。

適応障害は決して「心が弱いから」なるものではありません。適応障害の原因は、あなた自身ではなく周りの環境にあります。

どんなに強い人でも、ストレスがあまりにも大きければ、適応障害になってしまうことがあります。「自分が弱いから……」と自分を責めたり、無理をしたりせず、まずは医療機関や専門家に相談しましょう。

顔つきが変わる?適応障害による身体や心の変化

出典:photoAC

適応障害のストレスによって、表情や雰囲気が変化することがあります。笑顔が減ったり目の輝きがなくなったりすると、周囲から「以前と違う」と見られることも。本人が気づかないうちに、表情が固くなってしまうことも少なくありません。

出典:湘南心療ベース辻堂クリニック「適応障害になりやすい人 (適応障害になると顔つきが変わる?)」

適応障害になると顔つきが変化する?

適応障害になると、心のストレスが体にも影響を与えます。ストレスによって自律神経が乱れ、顔の筋肉(表情筋)がこわばりやすくなるため、その結果、笑顔が減ったり表情が動かなくなったりして、全体的に暗い印象になってしまいます。

これが「顔つきが変わった」と感じられる理由です。表情が乏しくなることで、他人から「疲れている?」「元気ないね」といわれることもあるでしょう。

さらに、目元や口元の動きが少なくなったり、無意識のうちに、感情を顔に出さないよう抑えていたりするケースも少なくありません。

周囲が気づきやすいサイン

顔つき以外にも、適応障害のサインとしてさまざまな変化が見られます。次のような変化は、本人よりも周囲の人が先に気づくことが多く、早期発見のきっかけとなります。

  • 笑顔が減る
  • 目がうつろになる
  • 会話が少なくなる
  • 身だしなみに気を遣えなくなる など

不眠などの症状のために十分な睡眠が取れず、目の下にクマができたり顔色がすぐれなかったりすることも。適応障害になりやすい人は、無理してしまう傾向にあります。もし周囲に上記の内容について何か言われたら、少し立ち止まって自分が無理していないか見つめ直してみましょう。

適応障害の診断とそのプロセス

出典:photoAC

適応障害は、医師の問診やカウンセリングを通して診断されます。診断には、現在の症状と生活状況、ストレスの原因などの聞き取りが大切です。気になる症状がある場合は、早めに心療内科や精神科を受診しましょう。

1. 診断の基準とは?

適応障害は、世界的に用いられている診断基準に基づいて診断されます。主にアメリカ精神医学会が定めた「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」や、WHO(世界保健機関)が定めた「ICD-11(国際疾病分類)」という基準が使用されます。

▼診断基準の内容

  • 明らかに認識しているストレス原因があり、そのストレスに晒されて3ヶ月以内に症状が出現すること
  • 精神的な苦痛感や精神症状、行動上の問題が非常に大きく、仕事、学業、家庭生活などに支障を来たすレベルであること
  • 他の精神疾患ではないこと。死別反応(愛する人を亡くした際に経験する心理的・身体的な反応)でもないこと
  • ストレス原因がなくなると症状は改善し、6ヶ月以内には消失すること

医療機関では、心療内科や精神科の専門医が、本人の状態やストレスの原因について詳しく聞き取ります。問診やカウンセリングを通じて、症状が適応障害に当てはまるかどうかを総合的に判断するのが一般的です。

医師は症状の程度や持続期間、生活に与える影響などのストレス因子を、診断基準と照らし合わせながら慎重に診断します。必要に応じて心理検査を実施したり、ほかの病気との違いを見極めたりすることも。

専門的な視点から診断を受けることで、自分の状態を正しく理解でき、安心して治療に進むことができるでしょう。

出典:第113回日本精神神経学会学術総会「適応障害の診断と治療」p516

2. どのような症状が対象になる?

適応障害の症状は人によって様々ですが、精神症状、身体症状、行動にあらわれる症状の3つに分けられます。

精神的な症状

  • 気分の落ち込み
  • 焦りや不安
  • 涙もろくなる
  • 意欲の低下
  • 憂鬱感(ゆううつかん)や絶望感
  • 神経過敏 など

身体的な症状

  • 不眠や過眠
  • 食欲の変化
  • めまい、動悸
  • 吐き気、頭痛
  • 肩こり、腹痛
  • 倦怠感(けんたいかん)や疲労感 など

行動面の症状

  • 学校や仕事の無断欠席
  • 自暴自棄になった行動
  • 危険な運転やけんかなど攻撃的な行動 など

ストレスを受けた出来事から3ヶ月以内に現れるのが適応障害の特徴だと言われています。「いつも通りにできない」「前は平気だったのに苦しい」と感じたら、それは適応障害のサインかもしれません。

症状は人によって違いがあり、体の不調として出ることもあります。早めに気づき、専門家に相談することが大切です。

3. 受診・診断の流れ

診断までの流れは、以下の通りです。

  1. 医療機関に相談する:心療内科や精神科を受診しましょう。
  2. 問診・診察:医師が詳しく症状や生活状況について聞き取りを行います。初診では1時間程度かけて話を聞くことも。
  3. 鑑別診断:他の疾患(うつ病や不安障害)との違いを見分けるための診察や検査があります。
  4. 診断・治療方針の決定:診断基準に基づいて総合的に判断し、治療方針を決定します。

早期に受診することで、適切なサポートにつながります。気分や体調の変化が長く続く場合は、早めの相談が回復への近道です。「あれ?おかしいな」と気づいたときに動くようにしましょう。

受診をためらわず「今の自分の状態を知る」ことから始めてみてくださいね。

​​出典:国立精神・神経医療研究センター「精神疾患の診断と治療」

適応障害は再発しやすい。再発を予防するには?

出典:photoAC

適応障害は比較的再発率が高い精神障害として知られています。厚生労働省の調査によると、適応障害を経験した患者の約半数は1年以内に再発し、約70%が2年以内に再発を経験していることが報告されています。

出典:厚生労働省「〜メンタルヘルス対策における職場復帰支援〜 改訂」

適応障害の再発を防ぐには、日々のセルフケアや環境調整が欠かせません。セルフケアや環境調整で気にしたいポイントをしぼって解説します。どのようなことに注意したらいいのかを知り、再発の予防に役立ててみてください。

再発予防に役立つセルフケア

適応障害は、一度回復しても再発することがあります。日常の中でストレスをためない工夫が必要です。具体例をみてみましょう。

  • 毎日少しでもリラックスする時間をつくる
  • 自分の気持ちを紙に書き出す
  • 感情を押し込めずに言葉にする 

適応障害になりやすい人は、頑張りすぎる傾向があるためちょっとした「疲れたな」「つらいな」という感覚を無視しないことも大切です。 心のエネルギーをため直す時間を意識的に持つようにしましょう。 生活の中で、自分が落ち着ける時間や場所を見つけることが再発予防につながります。

環境を整えよう

職場や家庭で無理しすぎず、自分にとって安心できる環境を整えることも大事です。信頼できる人と気持ちを共有するのは、適応障害の再発を防ぐために役立ちます。

「自分にとって何が負担になっているのか」を明確にすることで、ストレスの原因に気づけることもあるでしょう。 上司や家族に「こうしてもらえると助かる」と具体的に伝えるだけでも、状況は少しずつ変わります。 ひとりで抱え込まず、小さなことでも話せる関係を築くことが大切です。

生活リズムを整えよう

心と体のバランスを整えるために、次のようなライフスタイルの見直しが大切です。

  • 規則正しい睡眠をとる
  • 栄養バランスのよい食事を心がける
  • 軽い運動を取り入れる

睡眠が整うだけでも、気分の落ち込みがやわらぐことがあります。眠る前に深呼吸したり、スマートフォンやタブレットのブルーライトを避けたりして、体がリラックスしやすい環境を作ってあげましょう。

体を動かすことで気分転換にもなり、自律神経の安定にもつながります。無理に頑張る必要はなく、できることから少しずつ始めるのがポイントです。

不調のサインに気づけるように

適応障害の再発を予防するためには、次のような自分自身の変化に敏感になることが重要です。

  • 食欲や睡眠の変化
  • 「楽しい」と感じなくなる
  • 頭がぼーっとする 

「なんとなく変だな」と感じる小さな違和感こそ、見過ごしてはいけないサインです。 日記をつけたり、体調や気分を記録したりするアプリを使うのもおすすめ。

自分の変化に気づいたら、早めに仕事を休んだり相談したりすることを心がけましょう。

周囲にSOSを出すことも大切

出典:photoAC

適応障害は「甘え」ではありません。信頼できる人に「今つらい」と伝えることは、回復への第一歩です。周囲と気持ちを共有するだけでも、心が軽くなる可能性があります。

「言わなくてもわかってほしい」と思うかもしれませんが、言葉にすることで相手もどう関わればいいかがわかります。「話を聞いてくれるだけで助かる」と伝えるだけでも十分です。ひとりで抱え込まず、頼れる人を少しずつ増やしていきましょう。

適応障害かもしれないと感じたら医療機関へ相談しよう

出典:photoAC

適応障害は、誰にでも起こりうる心と体の不調です。特にまじめで責任感が強く、人の期待に応えようと頑張りすぎる人は、自分でも気づかないうちに無理していることがあります。

「なんだか最近つらい」「顔つきが変わったと言われた」と感じるのは、心が疲れているサインかもしれません。まずは自分の気持ちを認め、しっかりと休むことを大切にしましょう。

早めに気づき、セルフケアや周囲のサポートを受けることで、少しずつ回復に向かうはずです。ひとりで抱え込まず、話せる相手を見つけ、自分のペースで歩んでいきましょう。

[ライター]コニーリー 麻弥(看護師 / 保健師)

看護師・保健師資格保有。大学卒業後、大学病院集中治療室で7年勤務し、新生児から老年期まで幅広い患者の急性期ケアを経験。保健師として活動し、看護大学非常勤講師も務める。その後、高齢者施設や看護小規模多機能施設に従事し、老年期医療に携わる。急性期から慢性期まで、幅広い年齢層の患者ケアに携わる。現在は臨床経験を活かし、認知症や介護に関する記事、クリニックのコラムなど医療情報の執筆活動も行っている。

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