作成日:
2025年7月7日
更新日:
2026年2月11日

【情緒不安定】精神状態が不安定な人の特徴や情緒が乱れるときの対処法を解説

[監修者]北川 庄治

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)

東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学

通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施

▼この記事の3つのポイント

  • 情緒不安定は「心が弱いから」ではなく、ホルモンバランスやストレス、環境など複数の要因が重なることで起こるものです
  • 深呼吸やジャーナリング、質の良い睡眠や環境の整理など、自分に合ったセルフケアを少しずつ取り入れることが回復の助けになります
  • 情緒の波や不安定さが続くときは、一人で抱え込まず、信頼できる人や医療機関に相談することが大切です

情緒の波が不安定で自分をコントロールできない……

出典:photoAC

普段は明るく元気に過ごしている人でも、ストレスにさらされると情緒不安定になってしまうものです。小さなことで怒りを感じたり、突然涙が出てきたり……。「こんな状態から早く抜け出したい」と思っていても、自分の意志だけでなかなか切り替えられない人も多いでしょう。

今回は、情緒不安定になってしまう理由や、精神状態を安定させるためのヒントなどをご紹介します。情緒不安定な状態から抜け出すためには、原因を正しく理解することが大切です。

情緒が乱れやすい場面は人によって異なるので、理由を踏まえたうえで自分に合った対処法を考えていきましょう。

情緒不安定とは?

出典:photoAC

「情緒が不安定になる」とは、感情のコントロールが難しくなり、怒りや悲しみなどネガティブな感情が表面化されやすくなっていることを意味します。

たとえば「小さなことですぐ怒ってしまう」「必要以上に悲観的になり涙が出てしまう」なども、情緒不安定の一種です。感情を適切にコントロールできないまま放置すると、心の不安定さが増し、うつ病や不安障害など他の精神疾患のきっかけになることもあります。

情緒が乱れる原因は?

出典:photoAC

情緒が不安定になる原因には、身体的な要因や心理的な要因、環境的な要因など、さまざまな原因があります。それぞれ、どのような原因があるのかを詳しく見ていきましょう。

身体的な原因

女性ホルモンの急激な増減は、情緒が乱れる原因だと言われています。例えば、PMSや産前産後、更年期などで女性ホルモンの状態が乱れることで、イライラや抑うつな状態につながってしまいます。

甲状腺ホルモンの過不足も原因のひとつです。甲状腺ホルモンは交感神経などを刺激すると言われており、不安や焦燥感を高めることがわかっています。

睡眠不足や昼夜逆転など、生活習慣の乱れや、ビタミン B₆ 欠乏などの栄養不足が情緒の乱れを起こすケースもあります。

参考:
厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「うつ」
厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「産後のトラブル」
厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「月経前症候群(PMS)」
厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「更年期障害とは?」
蒲田駅前やまだ内科甲状腺クリニック「甲状腺機能異常がメンタルヘルスに与える影響」
心も体も健康に(監修:古賀良彦)「生活リズムとメンタルヘルス」
国立研究開発法人日本医療研究開発機構「ビタミンB6欠乏はノルアドレナリン神経系の機能亢進を生じ、統合失調症様行動異常を惹起する」

心理的な原因

強いストレスが続くと、感情をコントロールする脳神経の回路が疲れてしまい、ストレス耐性が下がります。同じ出来事でも「もうダメだ」と感じやすくなるのはこのためです。

うつ病や双極性障害では、ホルモンバランスが崩れて情緒が日替わりで大きく乱れることも。また、境界性パーソナリティ障害や PTSD では「見捨てられるかも」という強い不安やフラッシュバックが感情をかき乱します。

発達障害(ADHD/ASD)を抱えている場合は刺激に敏感で、感情が一気に爆発する場合があると言われています。

参考:
厚生労働省「休養・こころの健康」
厚生労働省 こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~「こころの病気について知る」
厚生労働省「発達障害の特性(代表例)」

社会的・環境的な原因

社会的・環境的な変化も、情緒を乱す原因となります。例えば、家庭内の不和や幼少期の虐待は、対人関係の土台となる「安心感」を奪い、情緒が不安定なままになってしまう可能性があります。

また、失業や経済的な不安、差別などの長期ストレスは、心理的な原因にもつながり、情緒が不安定になりがちです。近年は SNS の長時間利用が孤独感を高め、情緒の安定を妨げることが指摘されています。

さらに騒音や温度差、満員電車などの物理的ストレスも睡眠の質を下げ、イライラを助長します。

参考:
うつ病治療の品川メンタルクリニック「SNSとうつ病の関係とは」
小児保健研究「虐待された子どもの情緒行動問題」
厚生労働省「こころの健康を取り巻く環境とその現状」

その他の原因

その他の原因としては、薬剤の使用や嗜好品によるものが挙げられます。

抗うつ薬やステロイドを自己判断で急にやめると、数日以内に怒りや不安が爆発する「離脱症状」が出ることがあります。

また、お酒やタバコなどの嗜好品は一時的に気分を和らげますが、切れたときに強い不安やイライラが跳ね返ってくることも。コーヒーやエナジードリンクの飲みすぎ、高糖質の食事は血糖値の乱高下で情緒の波を大きくすると言われています。

また、身体的な原因や心理的な原因、社会的な原因などの掛け合わせで、情緒が乱れる場合もあるため、少しでも異変を感じた場合は医師に相談しながら少しずつ生活や服薬を整えていきましょう。

参考:
日本内分泌学会「ステロイド離脱症候群」
COMHBO地域精神保健福祉機構「抗うつ薬の離脱・減薬(医師)」
心療内科 精神科 湘南吉田クリニック「飲酒とこころの問題」
医療法人社団 平成医会「喫煙から起こる心理的な変化」

情緒が乱れるときの特徴や生活への影響

出典:photoAC

ここでは、情緒不安定になるときの特徴やメンタル面への影響についてご紹介します。心と体の状態は密接に関わっているため、メンタルが不安定になることで同時に体が不調になる場合も多々あります。

自分の状態と照らし合わせながら、見ていきましょう。

1. 代表的な症状やサイン

以下に、情緒不安定なときに現れる代表的な症状や、心が不安定なときのサインを記載します。

  • 急に涙が出てくる、泣くべきではないシーンで泣いてしまう
  • 理由もなくイライラする、悲しくなる
  • 集中力の維持が難しい
  • 何事にも無気力で、興味関心が持てない
  • 夜眠れない・朝起きられない
  • 食欲が明らかに増加した・減少した など

上記は一般的なサインの一部ですが、情緒が乱れたときの特徴やサインは人によって大きく異なります。普段の自分の生活リズムや心の状態と比較して、情緒が乱れているサインをキャッチすることが大切です。

2. 日常生活への影響

情緒不安定な状態は、日常生活にもさまざまな影響を与えます。

  • 仕事や家事でのケアレスミスが増える
  • 同時に複数のタスクをこなすことが難しくなる
  • 睡眠の質が下がり、パフォーマンスが落ちる
  • 怒りっぽくなり、人間関係の構築が難しくなる
  • ミスにより自己肯定感が下がり、行動力や主体性が低下する など

情緒不安定を放置すると、いつもできていたことが上手くできなくなったり、生活習慣が大きく乱れたりする場合もあります。日常生活に大きく支障をきたしてしまっている場合は、いち早く医療機関に相談することをおすすめします。

3. 周囲とのコミュニケーションへの影響

人とコミュニケーションを取ることは、心身ともに健康的な生活を送るために必要な要素のひとつです。しかし情緒が不安定な状態が続くと、自分の感情のコントロールが難しくなるため、コミュニケーションでのストレスが増加してしまうケースも。

その結果、相手の何気ない一言に敏感に反応したり、必要以上に悲観的に捉えてしまったりすることが増え、人と関わることそのものがストレスにつながってしまう場合があります。また情緒不安定なときは他者に依存しやすくなると言われており、自分らしさが失われてしまうことも珍しくありません。

参考:Anxious Attachment × Emotional Instability (Besharat et al., 2014)

異変に気づいたら、早めに医療機関へ相談しよう

情緒が不安定な状態が続く、眠れない、食欲がないなど、いつもと違う状態に気づいたら、ひとりで抱え込まず精神科・心療内科やかかりつけ医へ早めに相談しましょう。

とくに落ち込みが2週間以上続いたり、仕事や家事に支障が出たりしている場合は受診することをおすすめします。オンライン診療や自治体の精神保健福祉センター、24時間対応の電話相談など利用しやすい窓口も増えています。

受診は「大げさ」ではなく、自分と周囲を守る大切な第一歩です。

情緒不安定な状態を改善するための対処法〜心のケア編〜

出典:photoAC

まずは情緒不安定な状態を改善するための、心のケア方法をご紹介します。通勤中や自宅で手軽にできる5つのセルフケアなので、ぜひ試してみてください。

1. 深呼吸・マインドフルネス呼吸法

不安やストレスを感じた時、呼吸は浅くなりがちです。ゆっくりと深い呼吸を意識することで、自律神経が整い、心が落ち着きます。マインドフルネス呼吸法は、呼吸に意識を集中させることで、今この瞬間に心を留め、思考のループから抜け出す手助けとなります。

▼マインドフルネス呼吸法については以下のサイトがおすすめ
NHK きょうの健康「命を守る!ストレス徹底対策 心を“今”に向ける」

2. 今の気持ちを紙に書き出す(ジャーナリング)

頭の中を駆け巡る思考や感情を、そのまま紙に書き出す「ジャーナリング」は、心の整理に効果的です。良いことも悪いことも、誰かに見せるためではないので自由に書きなぐりましょう。客観的に自分の感情を見つめることで、問題の根本に気づいたり、気持ちが楽になったりすることがあります。

参考:京都光華女子大学研究紀要 谷本 拓郎「ジャーナリング(書く瞑想)の心理的効果に関する一考察 ー」2023年

3. 自分を責めない「セルフコンパッション」

情緒不安定な時は、自分を責めがちになります。そんな時こそ「セルフコンパッション」、つまり自分への思いやりが大切です。完璧でなくても、今の自分をありのままに受け入れ、友達を励ますように自分自身にも優しい言葉をかけてあげましょう。

自分を許すことで、心の負担が軽減されます。

参考:Self-compassion, Achievement Goals, and Coping with Academic Failure

4. 感情を吐き出せる相手に話す

一人で抱え込まず、信頼できる人に話すことも大切です。家族、友人、パートナー、カウンセラーなど、あなたの感情を否定せずに聞いてくれる相手を見つけましょう。話すことで気持ちが整理されたり、共感してもらうことで安心感を得られたりします。

無理にアドバイスを求めず、ただ聞いてもらうだけでも効果があります。

参考:Frattaroli, J. (2006). Experimental disclosure and its moderators: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 132(6), 823–865.

5. 気分を切り替える「お守り行動」を持つ

「お守り行動」とは、気分が落ち込んだ時や不安になった時に、意識的に行うことで気分転換できる、あなただけのリフレッシュ法です。好きな音楽を聴く、温かい飲み物を飲む、好きな香りを嗅ぐなど、どんな小さなことでも構いません。自分にとって心地よい行動をいくつか見つけておきましょう。

情緒不安定な状態を改善するための対処法〜身体のケア編〜

出典:photoAC

心と身体は密接に繋がっています。身体を労わることは、情緒の安定にも繋がります。ここでは、身体のケアから情緒不安定を改善する方法をご紹介します。

1. 質のいい睡眠をとる

睡眠は心身の健康の基盤です。情緒不安定な時は、睡眠の質が低下しがちですが、十分な睡眠は、心の回復力を高めます。寝る前にカフェインやアルコールを控えたり、寝室の環境を整えたりするなど、質の良い睡眠を意識しましょう。規則正しい睡眠サイクルを作ることも重要です。

参考:厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」

2. 軽い運動・ストレッチをする

適度な運動は、ストレスホルモンを減少させ、幸福感を高めるセロトニンなどの分泌を促します。激しい運動でなくても、ウォーキングや軽いストレッチなど、無理なく続けられるもので構いません。身体を動かすことで気分転換になり、心のモヤモヤが解消されることもあります。

参考:厚生労働省 こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~「体を動かす」

3. 栄養バランスの良い食事を心がける

食生活は、脳の機能や心の状態に大きな影響を与えます。とくに、セロトニンの生成に必要なトリプトファンを含む食品(乳製品、大豆製品、ナッツなど)や、腸内環境を整える発酵食品などを積極的に摂りましょう。

加工食品や糖分の多いものは控えめにし、規則正しい時間にバランスの取れた食事を心がけましょう。

参考:
功刀浩著『心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方』(翔泳社、2019年)
功刀浩、古賀賀恵、小川眞太郎:うつ病患者における栄養学的異常. 日本生物学的精神医学会誌26:54-58, 2015.
厚生労働省「e-ヘルスネット」休養・こころの健康(セロトニン)

4. マッサージやヨガでリラックス

身体の緊張は心の緊張に繋がります。マッサージやヨガは、身体の凝りをほぐし、深いリラックス効果をもたらします。アロマオイルを使ったセルフマッサージや、オンラインのヨガレッスンなども手軽に始められます。身体を緩めることで、心の力みも自然と解けていくでしょう。

参考:厚生労働省eJIM「ストレスに対するリラクゼーション法について知っておくべき5つのこと」

5. 湯船にゆっくり浸かる

温かい湯船に浸かることは、身体を温め、血行を促進し、心身の緊張を和らげる効果があります。好きな入浴剤を入れたり、アロマを焚いたりして、リラックスできる空間を作りましょう。一日の疲れを癒し、心身をリセットする大切な時間となります。

参考:共済フォーラム 2021年12月号掲載「Health&Care(ぬるめのお湯で気持ちもほぐれる 自律神経のバランスを整える入浴法)」

情緒不安定な状態を改善するための対処法〜環境の整理編〜

出典:photoAC

私たちが過ごす環境は、心の状態に大きく影響します。身の回りの環境を整えることで、心の安定をサポートできます。

1. 部屋を整える

散らかった部屋は、心の混乱を招きやすいと言われています。不要なものを片付け、整理整頓された空間にすることで、心も落ち着きを取り戻しやすくなります。まずは目に見える範囲から、少しずつでもいいので片付けを始めてみましょう。きれいな空間は、気持ちを前向きにする効果があります。

参考:Journal of Environmental Psychology Volume 46, June 2016, Pages 32-41

2. 自然光や照明を見直す

光は情緒に大きな影響を与えます。日中はできるだけ自然光を浴び、夜は温かみのある間接照明などを利用して、リラックスできる空間を作りましょう。特に朝の自然光は、体内時計を整え、心の安定に役立ちます。明るすぎる照明や青白い光は、ストレスの原因となることもあるため注意が必要です。

参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」休養・こころの健康(体内時計)

3. 音や香りの環境を整える

耳障りな音や不快な香りは、知らず知らずのうちにストレスを与えていることがあります。リラックスできる音楽を聴いたり、アロマディフューザーで好きな香りを広げたりするなど、心地よい音と香りの環境を整えましょう。自然の音(鳥のさえずり、波の音など)も心を落ち着かせる効果があります。

参考:東邦大学「匂いと脳のストレス応答」

4. デジタル環境をクリーンにする

スマートフォンやSNSは、情報過多や比較から、知らず知らずのうちにストレスを増大させていることがあります。デジタルデトックスの時間を設けたり、不要な通知をオフにしたりして、デジタル環境をクリーンに保ちましょう。情報に触れる時間を減らすことで、心のゆとりが生まれます。

参考:Vol.33 2019年度 環境情報科学研究発表大会「若者のデジタル機器への依存性の把握とデジタルデトックスの可能性の検討」

5. 生活リズムを整える

規則正しい生活リズムは、心身の健康を保つ上で非常に重要です。毎日の起床・就寝時間を一定にしたり、食事の時間を決めたりすることで、体内時計が整い、自律神経のバランスが安定します。ルーティンを作ることで、予測可能な生活は心の安定にも繋がります。

参考:心も体も健康に(監修:古賀良彦)「生活リズムとメンタルヘルス」

情緒の乱れとうまく付き合っていく方法を身につけよう

出典:photoAC

今回は、情緒不安定になってしまう原因や、不安定な情緒を改善するためのヒントなどをご紹介しました。情緒が不安定になると、判断力や思考力も下がりやすくなります。その結果、自分の状態を正しく認識することが難しくなり、背後にある発見や対処が遅れてしまう場合もあります。

安定した精神状態を目指すためには、家族や友達などの声に耳を傾けることも大切です。また感情や思考を文字に起こして視覚化することで、状態を客観的に観測しやすくもなるでしょう。自分に合った対処法を探しながら、無理のないペースで心をケアしてくださいね。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療、予防法を推奨するものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

[ライター]山口 愛未

2017年にWebライターとして活動を開始し、数多くのメディアでライターとして活動。年間1,000本以上記事を制作する専門ライター。子ども教育やメンタルヘルス関連のメディアでの活動実績が多い。

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