やる気が出ない…やる気がないときの対処法は?考えられる病気はある?

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)
東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施
▼この記事の3つのポイント
- やる気が出ないのは怠けではなく、心や体からの「休みたい」というサインの可能性があります
- ストレス・疲労・生活習慣の乱れ・発達特性・病気など、やる気の低下にはさまざまな原因があります
- 無理せず少しずつできることから始め、必要に応じて医療機関の受診や支援機関の活用を検討しましょう
やる気が出ない…気力がない…なんで…?
「やることがたくさんあるのに、やる気が出ない」「気力がない」と感じ、身体が思うように動かないことはありませんか。実は、身体が休息を求めているサインかもしれません。
ここでは、やる気がないと感じる原因や対処法を紹介します。まずは、やる気が出ないと感じたときに意識しておきたいことを確認してみましょう。
やる気が出ないと感じるとき、まず大切にしてほしいこと
やる気がない、出ないときに「怠けている」「怠惰な人間だ」など、自分を責めるような考えは避けましょう。やる気が出ないのは、自分の気持ちとは関係なく起こることもあるためです。
やる気が出ないときに、まず大切にしてほしいことを紹介します。
「やる気が出ない=怠け」ではない
やる気が出ない状態は、怠けであるとは言い切れません。疲労やストレス、病気などが原因である可能性が考えられるためです。
例えば、学校や職場でトラブルがあって心身ともに疲労を感じている場合や、寝不足、栄養状態の偏りなどが原因となる場合があります。
のため「やる気がない=怠けている」わけではありません。自分に対して「怠けている」とネガティブな感情を抱くと、さらに気持ちが落ち込んでしまうかもしれません。
自分を「怠け者」と責める前に、「今は心や体が休息を求めているのではないか?」「何がストッパーになっているのか?」と、別の可能性を考えてみてください。
何もできない日はあって当たり前
毎日を元気に過ごせれば、充実した日々でしょう。しかし、疲労やストレスを感じない日のほうが少ないのではないでしょうか。
やる気が出なくて身体が動かない日は「今日はそういう日なんだ」「やる気が出ない日があって当たり前」と割り切って、休むことも大切です。
翌日でも支障のない家事や仕事などは無理にやろうとせず、ゆっくり過ごすように心がけてみましょう。
まずは“やる気がなくてもできること”に目を向けよう
やる気が出ないと感じても、どうしてもその日のうちにやらなければならないこともあるでしょう。その場合は「やる気がなくてもできることは何か」を考えて、できることから始めてみるのがおすすめです。
例えば、洗濯・掃除・買い物など、家事が複数ある場合「出かけるのはつらいから、買い物はネットで済ませよう」「作業着や子どもの体操服など必要なものだけ洗濯しよう」など、一部分だけやってみましょう。
仕事や家事のやる気が出なくても、読書や散歩など趣味はできそうと感じる場合は、まずできそうなことから始めてみるのもおすすめです。
やる気が出ないときに考えられる主な原因とは?
やる気が出ないと感じる原因はさまざまです。自分に当てはまりそうな原因があるか確認してみましょう。
心の疲れ・ストレスが溜まっている
心の疲れやストレスは、気力を失う原因です。例えば、人間関係に悩んだり仕事でミスしたりすると、心の疲労を引き起こすでしょう。心が疲れると、自分の身を守ろうとして周囲への興味関心を遮断するといわれています。
また、働き過ぎや過度な運動は肉体的疲労を引き起こし「身体が重い」「全身がだるい」と感じる原因になり得ます。肉体的疲労でも気力の低下につながるため、注意が必要です。仕事中や運動中は疲労を感じにくくなり、無意識のうちに限界を超えていることもあるかもしれません。
生活リズムの乱れや睡眠不足
生活リズムの乱れや睡眠不足は、気力の低下を引き起こします。生活リズムの乱れのおもな例をご確認ください。
- カフェインの摂りすぎ
- スマートフォンなどメディアの長時間使用
- 昼夜逆転
栄養の偏りも、やる気が出ない原因となり得ます。糖質やたんぱく質、脂質などさまざまな栄養素をバランスよく摂取することで、効率よくエネルギーに変換し、活発に行動できるでしょう。栄養が偏ると、エネルギーへの変換がうまくいかず、疲れやすくなるのです。
また、人は睡眠によって疲労やストレスを解消しています。睡眠不足になると、疲労回復が不十分のまま日中を過ごし、さらに疲労が溜まるため、やる気が出なくなる原因となるでしょう。
「なんとなく不調…」は“気力切れ”のサインかも
「どこが悪いか言い表せられないけれど、調子が悪い」「なんとなく調子が悪い」など、具体的に不調を感じる部分はないが、調子が悪いと感じる場合は、気力が低下しているサインかもしれません。
例えば、イライラしたり不安感があったり、好きなことや趣味にも興味が持てなくなったりしている場合は、気力切れの可能性が考えられます。
なんとなく不調な場合、普段とどこが異なるのかを意識してみると具体的な不調が見えてくるかもしれません。
やる気が出ない状態から抜け出すための対処法
やる気が出ない場合は休むことが大切ですが、どうしてもやらなければならないこともあるでしょう。
やる気がない状態から抜け出すには、次に紹介する対処法を試してみてください。
“まず1つだけ”やってみる
仕事や家事など、やることが複数あるとやる気が低下したり、気力が出なかったりすることがあるかもしれません。その場合は「まず1つだけやってみる」という意識で取り組んでみてください。
例えば、掃除する場合「掃除機だけかけよう」「風呂だけなら洗えるかも」など、掃除する場所を1つに絞ってやってみましょう。
やってみる内容は、すぐに終わるものや普段容易にできるものが取り組みやすいためおすすめです。1つできたことで、次の行動につながる可能性があり、少しずつやる気が戻ってくるかもしれません。
タスクを細かく分けて達成感を得る
やることをリストアップして細かく分けることで達成感が得られ、やる気の向上につながる可能性があります。例えば「掃除する」というタスクを細かく分けると次のようになります。
- 掃除機をかける
- 拭き掃除をする
- 浴室を掃除する
- トイレを掃除する
- 出しっぱなしのものをしまう
上のように、細かく分けて取り組むことで「掃除機がかけられた。次は拭き掃除やってみようかな」と、達成感が得られることで次の行動への意欲につながります。
環境をリセットしてみる
やる気が出ないときは、思い切って環境を変えてみるのもおすすめです。環境を変える具体的な例をご確認ください。
- 模様替えをする
- 好きな音楽を流したり照明を変えたりしてみる
- 外出する
- 生活習慣を見直す
模様替えは家の雰囲気が変わり、気持ちを切り替えやすいかもしれません。生活習慣のなかで、短時間の運動や昼寝の時間を取り入れることで、やる気が出てくる可能性があります。
「どうしてもやる気が出ない…」そんな日の過ごし方
やる気が出ない状態を抜け出す対処法を試したとして、それでもやる気が出ない日は、思い切って何もしない日にするのも選択肢のひとつです。ここでは、どうしてもやる気が出ない日の過ごし方を紹介します。
やる気ゼロの日は“完全OFF”
やる気が出ない日は、完全OFFにするのが回復への近道かもしれません。勉強や仕事、家事などは一旦休み、好きなことをして過ごしてみましょう。食事や衛生面でどうしても発生してしまう家事は、次のように工夫してみるのもおすすめです。
- 食事は作らずデリバリーや総菜を活用する
- 食器類は使い捨て容器を使う
- 洗濯や掃除は翌日にまわす
ただし、休むといっても1日中横になって休んでいると、かえって身体が重くなる可能性があります。ストレスを感じない程度に、規則正しい生活を意識しつつ休んでみましょう。
やる気につながるリフレッシュ方法を試してみる
どうしてもやる気が出ないときは、自分なりのリフレッシュ方法を試してみるのがおすすめです。次の例を参考に、リフレッシュ方法を探してみましょう。
- 適度に運動する
- 映画を観る
- 親しい友人と話をする
- 散歩する
- 瞑想する
適度な運動は心身ともにリフレッシュでき、活発になるといわれています。また、ひとりで家にいるとネガティブになりがちな場合は、親しい友人や身近な人と話すことで気分転換になるかもしれません。
自分にとってのリフレッシュ方法を知っておくことが大切です。
誰かに相談してみる
心のなかで「やらなければならないことがたくさんあるのに、やる気が出ない」「自分は怠け者なんだ」など考え込んでいると、ついネガティブな感情を抱きがちです。
自分の考えていることや、どんなことに悩みや不安を感じているのかなどを誰かに話してみることで、解消方法が見つかるかもしれません。
声に出すことで頭の中が整理でき、やる気が出ない原因が見つかったり、リフレッシュできたりするためです。
紙に書き出して気持ちを整理してみる
頭のなかで考えていることや、どんな気持ちなのかを紙に書き出すと整理でき、リフレッシュにつながるかもしれません。
頭のなかに思い浮かんだ感情や出来事を書き出すことで、自分の気持ちや悩みが可視化され、解決方法が浮かんだりストレス発散につながったりします。
書き出す際は、ネガティブやポジティブなど考えず、思いつくままに書き出すことがポイントです。
ルーティンを1つだけ守る
やる気が出ない日でも、1つのルーティンだけは実践するように意識してみましょう。それがきっかけで活動できるかもしれません。ルーティンの例を紹介します。
- 朝起きたらカーテンを開ける
- 机の上にあるゴミをゴミ箱に入れる
- コップを1つだけ洗う
小さなルーティンでも、気持ちを切り替えられたり、行動を起こすきっかけになったりするためおすすめです。すぐできる、ちょっとしたルーティンを決めてみましょう。
やる気が出ないのは病気のサインかも?考えられる主な疾患
気持ちの切り替えやリフレッシュで、やる気が出ないのを解決できない場合は、病気のサインかもしれません。「やる気が出ない」といった症状がみられる疾患を紹介します。自分に当てはまると感じた場合は、受診も検討してみましょう。
うつ病・うつ状態
うつ病とは、気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気持ちになったりする病気です。「やる気が出ない」は、うつ病の代表的な症状のひとつです。そのほか、うつ病の症状の特徴を紹介します。
- 憂鬱な気分が1日中続く
- 趣味や好きなことにも興味がわかない
- 食欲がない
- 疲れやすい
- 自分に価値がないように思える
これらの症状が数週間続く場合は、日常生活に影響を及ぼすため受診を検討するのがおすすめです。
おもな治療方法は、ゆっくり休むことと薬物療法が挙げられます。治療することで症状が軽減されるといわれていますが、再発する可能性があるのもうつ病の特徴です。症状が軽減されても、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが乱れることを指します。交感神経は生命活動を活発にする働きがあり、副交感神経は身体を休ませる働きがあります。各神経がバランスを取りながら、活動したり休息したりして日常生活が送れるのです。
しかし、自律神経が乱れると、身体にさまざまな症状を引き起こし、日常生活に影響が出ます。代表的な症状は、次のとおりです。
- めまいや立ちくらみ
- 息苦しい
- 朝起きると疲労感がある
- 飲み込みにくい、喉の違和感がある
- 気候の変化によって体調が左右されやすい
自律神経失調症の原因はストレスや体質などさまざまです。性格や生活習慣などにあわせて薬物療法やカウンセリングを用いて治療を進めます。
発達障害
発達障害のなかでも「注意欠如・多動性障害(ADHD)」は、やる気が出ない・やるべきことを先延ばしにするという特徴があります。行動の判断や欲求の抑制を司る脳の機能が、うまく働かないことが原因と考えられています。
やる気が出ない症状のほかに、次のような行動が特徴です。
- 計画や段取りを考えるのが苦手
- スケジュール通りに物事を進めるのが苦手
- 行動の切り替えが難しい
- 好きなことや興味があることに過度に集中する
- そわそわして落ち着きがない
発達障害は脳の機能によるものと考えられており、子どもの頃から特徴が出ているとされています。しかし、ADHDの特徴を子どもの個性と捉える場合もあり、大人になるまで気付かれないケースもあります。
やる気が出ないことに加え、上のような特徴に当てはまる場合は、ADHDの可能性も考えられるかもしれません。
HSP
HSPとは、生まれつき繊細で敏感な人を指します。病気というよりも、性質と捉えられるでしょう。HSPの特徴は、次のとおりです。
- その場の空気や相手の気持ちを深く読み取る
- 五感の刺激を受けやすい
- 相手の感情や物語などへ強く感情移入する
- 共感力が強く、自分を見失いやすい
このような性質を持つことで疲れやすくなり、結果「やる気が出ない」状態になるわけです。
その他、自己免疫性の疾患など
自己免疫疾患とは、自分の免疫が自分の細胞を破壊することで身体症状を引き起こす病気を指します。自己免疫疾患でやる気が出ない場合、次の病気が挙げられます。
| 疾患名 | やる気が出ない原因 | 特徴 |
|---|---|---|
| 全身性エリテマトーデス | ・日光に当たる ・関節の痛みや腫れ | ・日光に当たることで症状が悪化しやすい ・頭痛や倦怠感、集中力の低下などがみられる |
| シェーグレン症候群 | ・身体中の乾燥による倦怠感 ・炎症による消耗 | ・涙腺や唾液腺が攻撃される ・目や口の乾燥がみられる |
| 橋本病 | ・全身の新陳代謝が悪くなる | ・甲状腺ホルモンが少ないことで発症する ・寒がる、物忘れが多い、声がかすれるなどの症状がみられる |
| 関節リウマチ | ・関節の炎症 ・痛み ・変形 ・薬の副作用 | ・微熱や倦怠感などがみられる ・痛みや疲労、薬の副作用などでうつ病を併発する場合もある |
やる気が出ない状態とあわせて、それぞれの疾患の特徴に当てはまる項目がないか、確認してみてください。
受診するべきタイミングと診療科
「やる気が出ない」だけで受診してもいいのだろうか、と悩む方もいるかもしれません。なかには、病気になりかけていたり、発症していたりするケースがあるため、次に紹介するタイミングを確認して、当てはまる場合は受診を検討しましょう。
やる気のなさが2週間以上続いているなら受診
「やる気が出ない」状態が2週間以上続いている場合は、受診を検討するのがおすすめです。そのまま様子を見ていると、病気が進行したり慢性化したりする可能性があるためです。日常生活にも影響が出ているかもしれません。
2週間以内でも、不安が強かったりイライラしたり、食欲がなかったりするなどの症状がある場合は、早めに受診するのも選択肢のひとつです。
ちなみに、受診する病院やクリニックによっては、予約が1か月以上先になる可能性もあるため注意しましょう。
どの診療科を選べばいいの?
「やる気が出ない」で悩んでいる方は、合わせて次のような症状があるかによって診療科を検討しましょう。
- 何事にも興味がわかない、不安が強い、強いストレスを感じている:精神科・心療内科
- 微熱、関節の痛み、胸が苦しいなど:内分泌内科
精神的な症状がおもに出ている場合は、心療内科や精神科がおすすめです。問診で詳しく自分の抱える悩みや不安などを聞き取ってくれます。
また、微熱や関節の痛みなどの身体症状がみられる場合は、関節リウマチや甲状腺機能の異常などが考えられるため、内分泌科の受診を検討しましょう。
やる気が出ない自分を責める必要はない
「やる気が出ないのは、自分が怠け者だからだ」「やることがたくさんあるのに、やる気が出なくて焦る」など、やる気が出ないことでネガティブになるかもしれません。
しかし、やる気が出ないのは身体が出しているSOSサインの可能性があります。無理に行動しようとするよりは、ゆっくり過ごすことを心がけたり、気分転換を図ったりするのが改善のきっかけになるかもしれません。
病気や特性によって「やる気が出ない」状態で就職もままならないという方は、デコボコエージェントに相談してみましょう。自分の特性にあう働き方ができる就職先が見つかるかもしれません。



