作成日:
2025年5月28日
更新日:
2025年10月17日

ADHD当事者に向いてる仕事は?職業一覧や無理なく仕事を続ける方法

[監修者]北川 庄治

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)

東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学

通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施

▼この記事の3つのポイント

  • ADHD(注意欠如・多動症)の特性(注意の散漫さ・衝動性・多動性)は困りごとにもなりますが、向いている仕事では強みに変わります
  • 集中力・発想力・行動力などを生かせる職業や働き方を知ることで、無理のない就労が目指せます
  • 自分に合った仕事を見つけるには、特性理解と環境選び、支援サービスの活用が大切です

ADHD(注意欠如・多動症)を抱えているけど、働きづらい…

出典:photo AC

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴によって、集中力が続かなかったり、指示通りに仕事が進まなかったりすると、働きづらさを感じるかもしれません。

ADHDの特徴を深く理解し、その特徴を生かせる仕事を見つけることが大切です。そもそもADHDとはどんな特徴があるのか、ADHDの方に向いている職業とは何か、詳しく紹介します。

そもそも、ADHD(注意欠如・多動症)とは

出典:photo AC

ADHD(注意欠如・多動症)とは、発達障害のひとつです。注意力散漫になりやすかったり、じっとしていられなかったりするなどの特徴があります。ADHDは大きく3つのタイプに分けられます。

タイプ特徴
不注意優勢型集中することが苦手
物忘れが多い
物をなくしやすい忘れっぽい
多動・衝動優勢型そわそわ身体を動かしてしまう
静かにする場所で話し続ける
会話の流れを気にせず自分の話したいことを話す
順番を待つのが苦手
混合型不注意、多動の両面がある
忘れ物が多く、じっとしていられない
順番を守るのが苦手で、衝動的に行動する

ADHDでも人によって現れる特徴が異なります。自分はどのタイプに当てはまるのか確認してみましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)の特性と仕事への影響

出典:photo AC

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴が仕事に影響を及ぼす場面があります。具体的な場面を交えて紹介します。

不注意

不注意とは、集中力が続かず、ほかのことに気が散りやすいことを指します。話しかけられても気付かない、約束や提出期限などを忘れる、作業している内容と違うことを考えているなどが特徴です。仕事において不注意の特徴が現れると、次のような影響が出ると考えられます。

  • 提出期限が決まっている書類の作成を忘れる
  • 口頭で指示しているのに他のことを考えていて聞いていない
  • 始業時間に出勤できない
  • 作成した書類の誤字、脱字が多い

自分の好きな作業や物事に集中するあまり、話しかけられても気付かないことがあります。周囲から「無視している」と思われるかもしれません。

多動性・衝動性

多動性・衝動性が強いとは、身体のどこかを常に動かしており、周囲から「落ち着きがない」「そわそわしている」と見られやすい特徴を指します。

多動性・衝動性は、じっとしていることが苦手で、思いついたらすぐに行動する傾向があります。仕事において多動性・衝動性の特徴が見られると、次のような影響があるかもしれません。

  • 座っていても足を動かしたりペンを回したりして周りの集中力も低下しやすい
  • 仕事に集中できず、仕事が終わらない
  • 説明が終わらないうちに作業を始めようとする

興味関心による集中力の差

ADHDは集中力が続かないのが特徴です。一方で集中しすぎることも特徴のひとつとされています。

過度に集中すると、話しかけられても気付かなかったり、ほかの作業に取り組めなかったり、切り替えが難しかったりします。

興味関心のある物事によって集中力の差が大きいため、関心のある作業は集中して取り組めますが、苦手とする作業は先送りして期限に間に合わなかったなど、仕事に影響すると考えられます。

ADHD(注意欠如・多動症)当事者に向いている仕事の特徴

出典:photo AC

気が散りやすいのは、身の回りのさまざまな物事に興味を示しやすいともいえます。また、興味を持った物事には深く追及したり集中力を発揮したりするなど、ADHD(注意欠如・多動症)の特徴が仕事に活用できる場面があります。

ADHD当事者に向いている仕事の特徴を確認してみましょう。

興味・関心に没頭できる仕事

ADHDは興味・関心のある物事にとことん集中できるのが特徴です。研究職や芸術・クリエイティブ系の仕事に向いている可能性があります。

自分の興味・関心のある物事を仕事にできると強みが生かせるため、働きやすいのかもしれません。

ものづくりなど、創造性を生かせる仕事

いちから新しいものを創り出す仕事も向いている傾向です。ADHDはさまざまな情報が脳内で浮かんでいることが多く、発想力が豊かだといわれています。さまざまな情報をひとつにつなげ、これまで思いつかなかったアイデアが浮かんでくるのです。

専門性が高い仕事

興味・関心のある物事には高い集中力を発揮するため、専門性の高い仕事にも向いています。

例えば、エンジニア職はプログラミングを用いてコンピューターのシステムを構築します。設計書通りにシステムを構築するため、高い集中力が求められるのです。プログラミングに興味があり、集中力を発揮する方は、エンジニアとして活躍できるかもしれません。

ほかにも、研究職も専門性が高く、興味・関心がある場合は向いているでしょう。

自由度が高い仕事

ADHDは提出期限が過ぎてしまったり、約束の時間を忘れてしまったりする傾向があるため、自由度の高い仕事も働きやすいといえます。

例えば、フレックス制を導入している企業は、勤務時間の自由度が高いため、約束の時間を忘れがちな方におすすめです。また、フリーランスは納期を守れれば仕事する時間帯や場所が自由に選べます。

ADHD(注意欠如・多動症)の特性と相性がいい仕事9選

出典:photo AC

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴をふまえ、働きやすい仕事を9種類紹介します。ADHDのなかでも、注意欠如が出やすいのか、多動が出やすいのかなど、傾向に応じて相性のよい仕事は異なるため、自分の傾向を理解して確認してみてください。

デザイナー

デザイナーは、顧客の要望に適したデザインを作成する仕事です。発想力が求められるため、ADHDの特徴に合う職業といえるでしょう。自分の想像しているものを形にしたい、新しいものや技術に興味がある方と相性のよい仕事です。

デザイナーには、次のスキルが必要と考えられます。

  • 共感力:自分がデザインしたものを使用する人の立場になって考えて作成できるか
  • リサーチ力:流行や世間に受け入れられているデザインなどを調べて新しいアイデアに反映できるか
  • 説明力:自分が作成したデザインを顧客や仲間に理解してもらえるように説明できるか

イラストレーター

イラストレーターとは、顧客の要望に応じて雑誌やWebサイトなどに記載するイラストを制作する職業です。

ADHDの方は発想力や表現力が豊かな傾向にあるため、イラストに興味・関心がある方は適職かもしれません。自分が描いたイラストが多くの人に見てもらえることに達成感を得られるでしょう。

イラストレーターには、イラストを描く機材やソフトが使える能力をはじめ、次のようなスキルがあると仕事がスムーズに進むと考えられます。

  • 顧客の要望を聞き、イラストに反映できる
  • さまざまな素材を見て、オリジナルのデザインを制作できる能力

ライター

ライターとは、文章を書く職業です。出版社で書籍や雑誌などの記事を書いたり、広告会社でキャッチコピーを作成したり、WebメディアでSEOを意識した記事を書いたりします。

Webメディアはインターネットとパソコンがあれば、自宅でも作業できるため、フリーランスでライターとして活躍している人が多いようです。ADHDの方は、興味・関心が強い物事に集中できるため、文章を書くことや日本語について関心がある場合はライターが適職かもしれません。

ライターは文章を作成するため、正しい日本語が書ける能力をはじめ、次のようなスキルが必要と考えられます。

  • 編集者や顧客の依頼をくみ取る能力
  • 情報収集能力
  • マーケティング能力

プログラマー

プログラマーとは、プログラミング言語を用いてシステムやソフトを作成する職業です。複雑なコードを入力し、正常に起動するか確認、エラーや不具合が出たら修正のくり返しによって構築します。

ADHDの方は、特定の物事に集中できる傾向にあるため、プログラミングに興味がある場合は、集中して仕事に取り組めるかもしれません。

プログラミングに興味・関心があることをはじめ、次のようなスキルが必要と考えられます。

  • コンピューターに命令する順序を組み立てられる能力
  • エラーや不具合の原因を特定し解決できる能力

Webエンジニア

Webエンジニアとは、Webサイトで使用するシステムを設計・運用する職業です。顧客の要望を基にプログラミング言語を用いてシステムを構築します。Webサイト公開後は、エラーが発生したときの対応や、快適に使用できるように適宜アップデートするなど、仕事内容はさまざまです。

Webエンジニアは、プログラミングに興味があることをはじめ、次のスキルが必要と考えられます。

  • 時代のニーズに合わせてアップデートできる能力
  • ライバルサイトにはないオリジナリティのあるシステムが構築できる能力
  • 新しい技術を習得する意欲

データサイエンティスト

データサイエンティストとは、商品開発や業務内容の改善のために、さまざまなデータを分析する職業です。例えば、商品やサービスなどの売上を分析して仮説を立て、世間のニーズに関する情報を収集し、総合的に見て次に出す商品を検討します。

ADHDという特定の分野に高い集中力を発揮するという強みを生かせば、突き詰めてデータ分析でき、柔軟な発想力で新たな商品やサービスが提案できるかもしれません。

データサイエンティストは情報収集能力や分析力をはじめ、次のようなスキルが必要と考えられます。

  • 分析結果をわかりやすく説明する能力
  • 新しい情報や技術を習得する意欲

研究職

研究職とは、企業や大学、公的機関などで研究に携わる職業です。例えば、企業では研究で得られた情報を基に、製品やサービスの開発につなげる役割を担います。

特定の分野に強い興味や関心を示す傾向を生かして、自分の関心のある研究に集中できるかもしれません。

研究職には、次のようなスキルが必要と考えられます。

  • 研究対象に対して「なぜそうなるのか」など探求しながら研究に取り組める
  • 試行錯誤を繰り返し、粘り強く取り組める
  • 仮説の立証に失敗してもポジティブに受け止められる

営業職

営業職とは、自社の商品やサービスを顧客に提案し、販売を促進する職業です。顧客のニーズを理解し、必要な商品やサービスを提供することが大切です。

ADHDには、思い立ったらすぐに行動できる傾向があり、行動力やスピード感が求められる場面で活躍できる可能性があります。また、初対面でも話しやすい傾向があり、顧客との関係を構築しやすいかもしれません。

営業職には、次のようなスキルが必要と考えられます。

  • 顧客の悩みや問題を明確にして解決方法が考えられる能力
  • 顧客と対人関係を築く能力
  • 自社の商品やサービスを深く知る意欲

カメラマン

カメラマンは、雑誌やWebサイトなどで掲載する映像を、カメラで撮影する職業です。企業や顧客から依頼された写真や動画を撮影することが仕事であり、細かく専門性が分かれています。ポスターや広告などの商業写真を撮影する広告カメラマン、家族写真や記念写真を撮影するスタジオカメラマンなどが挙げられます。

ADHDの豊かな発想力や創造力を生かして、宣伝効果の高い写真や顧客にとって思い出に残る写真を撮影できるかもしれません。

カメラマンには、次のスキルが必要と考えられます。

  • 顧客の意図をくみ取って撮影できる能力
  • 顧客や被写体と対人関係を築く能力
  • 自分の成果を相手に伝えられる能力

自分にマッチした仕事を見つける方法

出典:photo AC

ADHDの特徴を強みとして、自分に合った仕事を見つける方法は次の通りです。

仕事を見つける方法特徴
就職サイトの利用求人情報がWebサイトで掲載されている
企業の情報量が多い
職場の写真が掲載されているものもあり、仕事環境をイメージしやすい
会員登録が必要なサイトもある
企業の採用サイトの利用企業が直接応募できるように設置されている
企業の社風や理念、求める人物像などの詳細が確認できる
ハローワークを利用全国各地に設置されている
障害者雇用の求人数が多い
窓口の担当者と相談しながら就活できる

就職サイトは自宅にいながら求人を探すことができます。

ディーキャリア」では、やりがいを感じられる仕事や働き方ができる求人探しをサポートします。就活のほか、以下の内容もサポートしているため、就職後も安定して働くことが可能です。

  • 自分自身の発達特性を理解するサポート
  • 苦手への対処法
  • 入社後のフォロー

障害特性にあった仕事を見つけて、生き生きと働こう!

出典:photo AC

ADHD(注意欠如・多動症)は、忘れ物が多い、人の話を聞かないなど、社会生活を送るうえで困難を感じる特徴があります。「就職したが、うまくいかずに辞めてしまった」「自分は社会に適応できないのではないか」と感じることもあるかもしれません。

しかし、豊かな発想力や特定の物事に対する集中力の高さは強みです。自分の障害特性を理解して、それを生かせる仕事を見つけると、安定して働くことができます。

就活の際は、ハローワークや就活サイトなどを利用すると、さまざまなサポートを受けながら就活が進められるためおすすめです。自分に適した仕事を探してみましょう。

[ライター]木村 美穂(看護師)
2008年に正看護師免許取得。一般内科、消化器外科、回復期などの病院・外来で実務。息子それぞれがASD・ADHD、次男はADHDと診断されたことをきっかけに、特性に合わせて生活できるように看護師を退職。現在は医療・福祉ジャンルを中心に執筆活動を行うWebライターです。

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