作成日:
2025年4月28日
更新日:
2026年6月30日

就労支援とは|A型・B型・就労移行支援の違い【診断チャートつき】

[監修者]北川 庄治

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)

東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学

通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施

働きたいけど自信が持てない…就労支援って自分も使えるのかな?

険しい顔の男性

「働きたい気持ちはあるけれど、今の状態で働けるか不安」と感じる方は少なくありません。

就労支援は、障害や体調に不安がある方が自分に合った働き方を考えたり、働く準備を整えたりするための支援です。すぐに一般企業で働くことだけを目指すのではなく、今の状態を整理するところから相談できます。

この記事では、就労支援について詳しく解説します。

▼この記事の3つのポイント

  • 就労支援は5種類あり、雇用契約や賃金の有無で役割が分かれている
  • 「今すぐ働けるか」ではなく、自分の現在地に合わせて入口を選べる
  • 障害者手帳がなくても、診断書などで利用できる場合がある

就労支援とは|障害のある人の“働く”を支える障害福祉サービス

職場の様子

就労支援とは、障害や病気のある方が、自分に合った働き方を見つけるための支援です。

障害者総合支援法に基づく就労系障害福祉サービスには、就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援A型・B型・就労定着支援があります。

就労支援の対象となる人

就労支援は、精神障害・発達障害・身体障害・知的障害・難病などにより、働くことに不安や困り事がある方が対象です。

障害者手帳が必要だと思われがちですが、診断書や医師の意見書などで利用できる場合もあります。

対象になるかは自治体の判断によって異なるため「自分は使えないかも」と決めつけず、市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に確認してみましょう。

参考:厚生労働省「就労準備支援事業の手引き」

就労支援を受けると何ができるの?

就労支援では、以下のような支援を受けることができます。

  • 生活リズムを整える
  • 得意・不得意を知る
  • 職場で必要なスキルを練習する
  • 作業を通して働く感覚を取り戻す 

これらに加え、就職活動のサポートや職場見学、実習、就職後の定着支援などの支援につながる場合もあるでしょう。過去に休職や短期離職を経験した方も、次の働き方を一緒に考える場として利用できます。

2025年10月に改正!就労支援の5種類のサービス

就労支援には5種類のサービスがある

就労系障害福祉サービスには、2025年10月に始まった就労選択支援を含め、5種類のサービスがあります。それぞれ目的や対象、雇用契約の有無、賃金・工賃の扱いが異なるため、まずは全体像を把握しておくことが大切です。

1. 就労選択支援

就労選択支援とは本人の希望や得意なこと、働くうえで必要な配慮などを整理し、自分に合った働き方を考えるためのサービスです。

就労移行支援、A型、B型、一般就労などの選択肢を検討する入り口として活用できます。

\こんな人が利用しています/

  • 自分がどの働き方に合うかわからない人
  • A型、B型、就労移行支援で迷っている人
  • 働けるかどうかを一人で判断するのが不安な人

2. 就労移行支援

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方が、働くための知識やスキルを身につけるサービスです。

ビジネスマナー、応募書類の作成、面接練習、職場実習などを通して、就職に向けた準備を進めます。利用期間は原則として2年以内です。

\こんな人が利用しています/

  • 一般企業への就職を目指したい人
  • 働く前に生活リズムやスキルを整えたい人
  • 就職活動を一人で進めるのが不安な人

3. 就労継続支援A型

就労継続支援A型は、一般企業で働くことに不安がある方が、事業所と雇用契約を結んで働くサービスです。

雇用契約があるため、原則として最低賃金以上の賃金が支払われます。働きながら体調や得意不得意を確認したい方に向いています。

\こんな人が利用しています/

  • 雇用契約を結んで働きたい人
  • 一般企業で働く前に段階を踏みたい人
  • 一定の勤務時間や作業に取り組める人

あわせて読みたい ▼ 就労継続支援A型の詳細

4. 就労継続支援B型

就労継続支援B型は雇用契約を結ばずに、作業や生産活動を通して働く機会を得るサービスです。

体調や生活リズムに合わせて通いやすく、作業に応じて工賃が支払われます。まずは外に出る習慣をつけたい方にも選ばれています。

\こんな人が利用しています/

  • 雇用契約を結んで働くのがまだ不安な人
  • 短時間や少ない日数から始めたい人
  • 作業を通して生活リズムを整えたい人

あわせて読みたい ▼ 就労継続支援B型の詳細

5. 就労定着支援

就労定着支援は、就労移行支援などを利用して一般企業に就職した方が働き続けるために受ける支援です。

職場での悩み、体調管理、人間関係、生活面の困り事などを相談できます。就職後に一人で抱え込まないためのサポートです。

\こんな人が利用しています/

  • 一般企業に就職したあとも相談先がほしい人
  • 職場での困り事を早めに整理したい人
  • 長く働き続けるための支援を受けたい人

5種類のサービスをひと目で比較|対象・期間・賃金の違い

就労支援は、サービスごとに目的が異なります。

「働く準備をする」「雇用契約を結んで働く」「無理のない作業から始める」「就職後に続ける」など、自分の現在地に合うものを選ぶことが大切です。

サービス就労選択支援就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型就労定着支援
対象者自分に合う働き方を整理したい方一般就労を目指す方雇用契約に基づいて働ける方雇用契約による就労が難しい方就労移行支援などを利用して一般就労し、就職後も支援が必要な方
雇用契約なしなしありなし一般就労先と雇用契約あり
賃金・工賃原則なし原則なし賃金工賃就職先の給与
利用期間原則短期間原則2年以内制限なし制限なし最大3年
年齢制限原則65歳未満原則65歳未満原則65歳未満年齢制限なし原則65歳未満

自分に合う就労支援の選び方

自分に合う就労支援の選び方

就労支援を選ぶときは「今すぐ働けるか」だけで判断しなくても大丈夫です。

体調、生活リズム、働いた経験、希望する働き方、必要な配慮を整理しながら、自分に合う選択肢を考えていきましょう。

「働けるか自体に自信がない」なら就労選択支援から

働きたい気持ちはあるものの、A型・B型・就労移行支援のどれが合うかわからない場合は、就労選択支援が入口となります。

自分の得意な作業や苦手な環境、必要な配慮を整理し、次に進むサービスを考える手がかりになるでしょう。

「働く準備をしっかりしてから就職したい」なら就労移行支援

一般企業で働きたい気持ちがあるものの、いきなり就職するのが不安な方には、就労移行支援が合う場合があります。

生活リズム、ビジネスマナー、応募書類、面接対策などを段階的に準備できるため、就職活動に不安がある方にも向いています。

あわせて読みたい ▼ 障害者雇用とは

「働きながら少しずつ慣れたい」なら就労継続支援A型・B型

実際に作業をしながら働く感覚を取り戻したい方は、A型・B型を検討できます。

雇用契約を結んで働ける状態ならA型、体調に合わせて短時間から始めたい場合はB型が候補となります。無理なく続けられる環境を選ぶことが大切です。

迷ったときは専門の機関に相談!

自分だけで判断するのが難しいときは、市区町村の障害福祉窓口、相談支援事業所、障害者就業・生活支援センター、ハローワークなどに相談できます。

「まだ診断を受けたばかり」「手帳がない」「働けるかわからない」という段階でも、相談して問題ありません。最初の相談では、現在の体調や働くうえで不安なことを伝えれば大丈夫です。

就労支援を利用するときに抱えやすい不安と疑問

ビル

就労支援を調べると利用条件や費用、評判などが気になり、不安が大きくなることもあります。ここでは、利用前によくある疑問を整理します。

Q. 障害者手帳がなくても利用できる?

A. 手帳がなくても、診断書や医師の意見書などで利用できる場合があります。

障害福祉サービスは、必ずしも障害者手帳がなければ使えないわけではありません。診断書や医師の意見書で対象と認められるケースもあります。

ただし必要書類や判断基準は自治体によって異なります。まずは市区町村の障害福祉窓口に確認しましょう。

あわせて読みたい ▼ 障害者手帳について

Q. 利用料金や利用中の生活費はどうなるの?

A. 利用料は原則として費用の1割負担で、世帯の所得に応じた月額上限があります。

自己負担には所得に応じた上限が設けられているため、収入が少ない世帯では負担が抑えられる仕組みです。

生活費の面では、A型では賃金、B型では工賃が支払われます。一方、就労移行支援では基本的に給与が発生しないため、利用中の生活費の見通しもあわせて確認しておきましょう。

Q. 「ひどい」「やめとけ」という評判も聞くけど……

A. 評判は事業所ごとの差が大きいため、口コミだけで判断しないことが大切です。

インターネット上には就労支援に対するさまざまな意見があります。ただし、支援内容や雰囲気、作業内容は事業所によって大きく異なります。

評判が自分に当てはまるとは限りません。見学や体験を通して、自分に合う環境かどうかを確かめましょう。

Q. 就労支援を使うと一般雇用には進めない?

A. 就労支援を利用しても、一般雇用への道がふさがれるわけではありません。

就労移行支援は一般企業への就職を目指すサービスです。A型・B型から一般就労に進む方もいます。就労支援は段階を踏むための選択肢であり、一般雇用をあきらめることにはなりません。自分のペースで進む手段として考えましょう。

4つのステップ|就労支援を利用するまでの流れ

談笑する男女

就労支援を利用するには、相談、申請、受給者証の発行、事業所選びという流れがあります。手続きに不安がある場合も、窓口や相談支援事業所に確認しながら進められます。

ステップ1|まずは相談窓口に行く

最初は、市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談します。働きたい気持ち、体調の不安、過去の休職や離職経験、希望する働き方などを伝えましょう。うまく説明できない場合は、メモを持参しても構いません。

ステップ2|申請書類をそろえて自治体に申請する

利用したいサービスの方向性が決まったら、自治体に申請します。必要書類の具体例は次の通りです。

  • 申請書
  • 本人確認書類
  • 障害者手帳
  • 診断書
  • 医師の意見書など

自治体や状況により異なるため、詳しくはお住まいの自治体に確認してみましょう。

ステップ3|自治体の調査を経て受給者証を受け取る

申請後は、自治体による聞き取りやサービス利用計画が作成されます。

その結果、利用が認められると「障害福祉サービス受給者証」が発行されるわけです。受給者証には、利用できるサービスの種類や期間などが記載されます。

ステップ4|事業所を見学・体験してから利用開始

受給者証を受け取ったら、利用する事業所を選びます。

事業所によって雰囲気、作業内容、支援方針、通所日数が異なるため、見学・体験してから決めると安心です。無理なく通える場所かどうかも確認しましょう。

あわせて読みたい ▼ 障害者総合支援法について

就労支援は自分のペースで働くための準備期間

作業空間

就労支援は「すぐに働ける人だけ」が使うものではありません。働きたい気持ちはあるけれど不安がある方、過去の離職経験から次の一歩が怖い方、自分に合う働き方がわからない方も相談できます。

大切なのは、今の状態を否定せず、必要な支援を受けながら選択肢を整理することです。まずは市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談し、自分に合う働き方を一緒に考えていきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。

[ライター]コニーリー 麻弥(看護師 / 保健師)

看護師・保健師資格保有。大学卒業後、大学病院集中治療室で7年勤務し、新生児から老年期まで幅広い患者の急性期ケアを経験。保健師として活動し、看護大学非常勤講師も務める。その後、高齢者施設や看護小規模多機能施設に従事し、老年期医療に携わる。急性期から慢性期まで、幅広い年齢層の患者ケアに携わる。現在は臨床経験を活かし、認知症や介護に関する記事、クリニックのコラムなど医療情報の執筆活動も行っている。

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