障害者の就労支援とは?就労移行支援、就労継続支援の違いも解説!

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)
東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施
▼この記事の3つのポイント
- 就労支援とは、働くための準備から職場への定着までを一人ひとりに合わせてサポートしてくれる制度です
- 「就労移行支援」「就労継続支援A型・B型」「就労定着支援」など、それぞれの状態や目標に応じた支援があります
- 支援を受けることでスキルや自信が身につき、障害と向き合いながら自分らしい働き方を見つけることができます
就労支援って何?どんな支援が受けられるの?

「就労支援」とは、就労を希望する人に仕事を紹介するだけではありません。就労支援とは、働くために必要な知識や技能の習得、社会参加などを支援する仕組みを指します。
就労支援を主導しているのは、各都道府県の自治体です。地域によって民間事業と連携している場合や、業務委託している場合などさまざまあります。民間企業とは、営利を目的として経済活動する企業です。自治体と民間企業が連携して、就労をサポートしているのです。
主な支援内容は次のとおりです。
- 就労準備支援プログラムの作成(個人それぞれの課題を把握し支援の方針を決める)
- 日常生活、社会生活、就労などの自立に向けた支援
| 支援内容 | 具体例 |
|---|---|
| 日常生活自立に向けた支援 | ・規則正しい生活の確立に向けた支援 ・電話や訪問などで起床を促す ・バランスのとれた食事に関する指導や助言 ・適切な身だしなみに関する助言や指導 |
| 社会生活自立に向けた支援 | ・挨拶の励行 ・地域の事業所へ職場見学に行く ・地域の清掃ボランティア |
| 就労自立に向けた支援 | ・就労支援事業者が運営するお店や地域の協力事業所などでの就労体験 ・面接の練習 ・履歴書の書き方の指導 ・ビジネスマナー講習 ・基礎技能、基礎能力の習得に必要な訓練 |
障害者に対する就労支援とは

障害者に対する就労支援とは、就労を希望する障害のある方(身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病がある)を対象に支援する仕組みのことです。
「障害者手帳」は医師の診断が必ずしも必要であるとは限りませんが、障害者手帳を持っていることで受けられる支援がいくつかあります。障害者手帳とは、身体障害・知的障害・精神障害のある人が、公的な機関から状態を認定された際に交付されるものです。
日常生活や社会生活を送ることに困難を感じる人は、障害者就業・生活支援センターに相談してみましょう。
就労支援の種類は?

就労支援には、次の4種類があります。
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労定着支援
それぞれについて、詳しく紹介します。
就労移行支援
「就労移行支援」とは、通常の事業所への雇用が可能と判断された人を対象に、次のような支援を受けられます。
| 詳細 | ・通常の事業所への就労に向けたスキルの習得 ・個別支援計画に応じて職場で実習 |
| 対象者 | ・障害や難病があるが、一般企業への就労が可能と判断された人 ・一般企業への就労を希望している人 |
| 年齢制限 | 原則18歳~65歳(要件を満たせば65歳以上でも利用可能) |
| 支援期間 | 2年(最大1年延長可能) |
たとえば、うつ病や適応障害で休職中の場合、働くことに不安がある人に通所や心理カウンセリングなどを通して、心身をサポートしています。
就労継続支援A型
「就労継続支援A型」とは、一般企業での労働は困難ですが、適切な支援を受けることで雇用契約の内容に沿って就労が可能な障害者を対象にした支援制度です。雇用契約とは、労働者が雇用主の指示のもとで労働し、対価として賃金を得ることを約束することを指します。
| 対象者 | ・身体障害、精神障害、発達障害、知的障害、難病がある ・就労経験はあるが、現在は離職している ・就労支援サービスを利用して就職活動したが、雇用につながらなかった ・特別支援学校を卒業後、就職活動したが雇用につながらなかった |
| サービス内容 | ・通所により雇用契約の機会を提供する ・就労継続支援A型の事業所と雇用契約を結び、働くことで賃金を得られる |
| 年齢制限 | 原則18歳~65歳 |
| 支援期間 | 制限なし |
就労継続支援A型を利用する前に、働ける体調かどうかを主治医と相談するのがおすすめです。主治医から就労可能と判断されてからA型事業所を探すようにしましょう。
A型事業所の募集は、市区町村の障害福祉窓口やハローワークなどで探せます。応募前に事業所内を見学できるところもあるため、事前に問い合わせてみると就労時のイメージがしやすいものです。
就労継続支援B型
「就労継続支援B型」とは、障害や難病により、一般就労や就労継続支援A型の事業での就労が困難な人を対象に、就労を支援する仕組みです。
| 対象者 | ・身体障害、精神障害、発達障害、知的障害、難病がある ・就労経験はあるが、年齢や体力面で一般就労が困難になった ・50歳以上または障害基礎年金1級受給者 ・就労移行支援事業者などの評価で、就労面の課題が明確になっている |
| サービス内容 | ・雇用契約はしない ・簡易的な作業内容の事業所が多い |
| 年齢制限 | なし |
| 支援期間 | 制限なし |
就労継続支援B型は、雇用契約をしないのが大きな特徴です。出勤日数や労働時間などの決まり事が利用契約の条件にはなっていないため、自分の体調に合わせて就労しやすいのです。
仕事内容の一例としては、清掃作業や袋詰め、ラベル貼りなどが挙げられます。
就労定着支援
「就労定着支援」とは、障害者が長く働き続けられるために支援する仕組みを指します。就職後に感じた悩みやトラブルに対し、支援員が障害者と雇用先の代表者の仲介役として相談にのったり助言したりするのです。
| 対象者 | ・身体障害、精神障害、発達障害、知的障害、難病がある ・就労移行支援、就労継続支援、生活保護、自立訓練などを経て一般就労へ移行した障害のある方 ・一般就労後6カ月を経過している |
| サービス内容 | ・障害者の悩みやトラブルを確認し、企業や関係機関との連絡調整 ・月1回以上は障害者と面談相当の支援 ・月1回以上の企業訪問 |
| 年齢制限 | なし |
| 支援期間 | 3年 |
一般就労したものの、従業員とのコミュニケーションがうまく図れなかったり、仕事が覚えられなかったりするなどの悩みを抱える可能性も考えられます。
そのとき、就労定着支援を利用することで悩みを共有し、支援員から企業に事情を説明してもらうことで、職場環境の調整を依頼することが可能です。
就労支援を受けるメリット

就労支援を受けると、次のようなメリットがあります。
- スキルアップの機会となる
- 就職活動のサポートを得られる
- 障害を踏まえた個別支援を受けられる
- 就職後も長期的に支援が受けられる
働くことに対する不安や悩みを解消できたり、軽減できたりする支援のため、障害によって働くことが困難に感じている人は、ご確認ください。
スキルアップの機会となる
就労支援には、働くために必要な知識や技術を習得できるサポートがあります。具体的な内容は次のとおりです。
- ビジネスマナー
- パソコンの入力作業
- 事務作業
スキルアップの内容は、障害者一人ひとりの希望や事業所によって異なります。就労支援を活用して新たなスキルを身につけると、就労先の幅が広がります。
就職活動のサポートを得られる
就労支援は、ハローワークや就労支援事業所などと連携し、障害者が就労できるように支援してくれます。障害の程度や得意・不得意分野などを把握し、それぞれに適した仕事内容を提案してくれるため、就職活動が円滑に進む可能性が高まるのです。
また、職場見学や体験などを積極的に取り入れている事業所もあります。就労前に職場の雰囲気や仕事内容を知ることで、働くイメージがしやすいのもメリットです。
障害を踏まえた個別支援を受けられる
就労支援に取り組んでいる支援員は、どのような障害があり、苦手な場面や得意なことなどを把握して、個別に支援計画を立てます。
就労を希望する障害者が、就労するまでのサポートから就職活動、就職後のフォローまで支援を受けられるのです。
就職後も長期的に支援が得られる
就職した後に困りごとが発生した場合でも、就労支援で悩みや困りごとを相談できます。事業所の職員が、障害者と職場の仲介役となり、困っていることを解決できるようにサポートしてくれます。
就労前から就労後まで、長期間にわたってさまざまなかたちでサポートしてくれる制度です。
就労支援を受けるデメリット

就労支援のデメリットは、次のとおりです。
- 無収入の期間が生じる
- 利用期間に制限がある
- サービスによっては利用料金がかかる場合もある
- 事業所ごとに設定されているプログラムの参加が必要となる
経済的なデメリットも生じるため、デメリットを確認して適切に就労支援を活用しましょう。
無収入の期間が生じる
就労移行支援を利用している間は働くことができないため、無収入となります。就労移行支援を利用する際は、事前に利用中の生計について考えておくことが大切です。
また、市区町村の判断によっては、就労移行支援の利用中でも労働が許可される場合があります。就労支援を利用したいが、経済的な不安がある方は、市区町村に相談してみましょう。
利用期間の制限がある
就労移行支援は2年、就労定着支援は3年と、それぞれ利用期間が決められています。就労移行支援について、2年で就労可能か不安に思う人がいるかもしれません。
2020年に厚生労働省が発表した「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について」によると、就労移行支援事業所を利用した人の、利用期間は「15.9ヵ月」が93.5%でした。
90%以上の人が、1年3ヵ月程で就労できていることになります。
利用期間に制限があると、焦ったり不安になったりするかもしれませんが、上の統計を見ると2年以内に就労できる人が多いため、利用期間内でサポートを活用して就労を目指しましょう。
出典:厚生労働省「就労移行支援・就労定着支援に係る報酬・基準について(2020年)」
サービスによっては利用料金がかかる場合もある
就労支援を受ける際は、前年の所得に応じて次のように利用料金が発生します。
| 世帯の収入状況 | 負担上限額(月額) |
|---|---|
| 生活保護 | 0円 |
| 市町村民税非課税世帯 (3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、年収が300万円以下の世帯) | 0円 |
| 市町村民税課税世帯(年収670万円以下の世帯) ※20歳以上で施設に入所している方、グループホームを利用している方は除外 | 9,300円 |
| 上記以外 ※20歳以上で施設に入所している方、グループホームを利用している方はこちらが対象 | 37,200円 |
障害者の総収入をみてみると、年収150万円未満が身体障害者で50%、知的障害・精神障害者で80%に達するとされています。
障害がある人のほとんどが、負担額0円で就労支援が受けられる対象です。
事業所ごとに設定されているプログラムの参加が必要となる
就労支援の内容のひとつに、就労支援プログラムへの参加があります。就労支援プログラムとは、体調管理や障害の理解、コミュニケーションスキルなどさまざまなプログラムへの参加を通して、就労に向けて準備するプロセスです。
プログラムの参加によって、次のようなデメリットを感じる可能性があります。
- プログラム参加のために他の活動に使う時間がない
- プログラムの内容が自分に合っていない
- コミュニケーションが苦手で初対面の人とワークをして疲れる
就労支援プログラムの目的は、就労への意欲を向上させたり、スキルを習得したりすることです。なかには、実際に参加してみて「想像していたよりも疲れる」「自分には合わないかも」と思う方もいるかもしれません。
プログラムの参加に苦痛や不安を感じた場合は、支援員に相談してみましょう。
就労支援を受けるための条件

就労支援を受けるための条件とは、1年を基本に計画的・集中的に支援を受け、一般就労に就くことが可能と判断されていることです。そのうえで、次のような状況により就労が困難な人が就労支援を受けることができます。
- 生活リズムに乱れがあり、改善が必要
- 他者とコミュニケーションが取りにくく、社会参加が困難
- 自尊感情や自己有用感が喪失
- 就労に対する意欲の低下
自己有用感とは、自分が所属する社会や集団のなかで、自分がどれだけ役に立っているのかを自分で認識することを指します。
条件に当てはまる人は、就労支援を受けることで一般就労が可能です。自分が当てはまっているか判断ができない場合は、福祉相談窓口に相談してみましょう。
就労支援を受けて、障害と向き合いながら働こう

障害があると、一般企業で社員として働くのは、体力や精神的な面から難しいところがあるかもしれません。就労支援を受けて自分の強みを発見し、スキルを身につけることで就労できます。
社会に出ることに不安がある人、障害により仕事はできないと思っている人は、市町村の社会福祉窓口に相談してみましょう。
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