【最新】失業手当(失業保険)の受給条件は?対象になる人・もらえる金額・申請の流れ

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)
東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施
仕事を辞めたら、生活費はどうなる…自分は失業手当をもらえるの?

退職や転職を前にして、次の仕事が決まるまでの生活費を思うと、気持ちが落ち着かないこともあります。
失業手当(失業保険)は、その不安をやわらげるための公的な制度です。ただし「仕事がない」だけでは対象になりません。
この記事では、受け取れる条件、金額や期間の考え方、申請の進め方を順に整理します。自分が対象になるかどうかを、読みながら確認できる内容です。
▼この記事の3つのポイント
- 失業手当には3つの受給条件があり、「働く意思と能力があり、求職活動をしていること」が前提になる
- もらえる金額と期間は、退職前の賃金・年齢・退職理由・雇用保険の加入期間で決まる
- 2025年4月の改正で、自己都合退職の給付制限が2か月から1か月に短縮された
失業手当(失業保険)とは

失業手当は、雇用保険に加入していた人が退職したあと、再就職するまでの生活を支えるために支給されるお金です。
正式には「雇用保険の基本手当」と呼ばれます。一般には「失業保険」「失業給付」とも言われますが、本記事では「失業手当(失業保険)」と表記します。
この制度の目的は、求職者が安心して仕事探しに専念できるようにすることです。当面の生活費が確保されることで、焦って条件の合わない仕事を選ばずに済む点が、大きな意味を持ちます。
一方で、受け取るにはいくつかの条件を満たし、自分で申請する必要があります。次の章から、その条件を具体的に見ていきます。
失業手当(失業保険)を受けられる条件

失業手当を受け取るには、3つの条件をすべて満たす必要があります。
「仕事がない」状態だけでは足りません。ここでは、その3つを一つずつ確認します。自分が当てはまるかどうかを、チェックしながら読み進めてみてください。
ハローワークが定める「失業状態」であること
最初の条件は、ハローワークが定める「失業状態」にあることです。
これは、次の3つをすべて満たす状態を指します。働く意思と能力があり、求職活動をしているのに就職できていない、という考え方です。
1. 積極的に働こうとする意思がある
2. いつでも就職できる能力がある
3. 求職活動をしているのに就職できていない
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
雇用保険に一定期間加入していたこと
2つ目は、雇用保険の被保険者期間が一定以上あることです。
原則として、離職日以前の2年間に12か月以上加入していた実績が必要です。会社都合の退職や特定理由離職者など、一定の条件に当てはまる場合は、離職日以前1年間に6か月以上の加入でも認められます。
被保険者期間は、賃金支払いの基礎となる日数が11日以上ある月などで数えます。
ハローワークで求職活動をしていること
3つ目は、ハローワークで求職活動を行うことです。職業相談を受ける、求人を紹介してもらう、実際に応募するといった活動が実績として扱われます。
受給期間中は、原則として4週間ごとにハローワークへ通い、失業の状態と活動実績を確認してもらう必要があります。
自分が対象か迷いやすいケース

「自分は対象から外れるのでは」と不安になりやすいのが、退職の経緯が一般的でない場合です。ここでは、判断に迷いやすい代表的なケースを整理します。当てはまるものがあれば、申請前にハローワークへ相談する材料にしてみてください。
病気やケガですぐに働けないとき
失業手当は「いつでも働ける状態」が前提のため、療養が必要ですぐに働けない場合は、そのままでは対象になりません。
ただし、働ける状態に戻るまで受給期間を最長3年延長できる仕組みがあります。退職後すぐに申請できなくても、回復後に受け取れる可能性が残るため、早めにハローワークへ相談する方法があります。
出典:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
退職の理由で扱いが変わるとき
退職理由は「自己都合」と「会社都合」に大きく分かれ、給付の開始時期や日数が変わります。
さらに、契約満了ややむを得ない事情による退職は「特定理由離職者」、倒産・解雇などは「特定受給資格者」として、手厚く扱われる場合があります。
離職票に記載された理由が実態と違うと感じたときは、ハローワークに申し立てる方法があります。
障害や難病で就職が難しいとき
障害者手帳を持つ人や、難病などで就職が著しく難しいと認められる人は「就職困難者」として、給付日数が長く設定されています。
一般の離職者より手厚い扱いになるため、自分が該当するか確認しておくと安心です。
詳しい条件や受給の流れは、障害のある方向けの記事で具体的に解説しています。
あわせて読みたい ▼ 障害のある方の失業保険について
失業手当はいくらもらえる?

受け取れる金額の見当をつけたい人に向けて、計算の考え方を整理します。
金額は退職前の賃金や年齢で変わるため、正確な額はハローワークで確認するのが確実です。ここでは、おおまかな仕組みをつかみましょう。
金額が決まる仕組み
失業手当の総額は「基本手当日額 × 所定給付日数」で計算します。
基本手当日額は、退職前6か月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、給付率(おおむね50〜80%)をかけて求めます。賃金が低かった人ほど給付率が高く設定される点が特徴です。
ボーナスや退職金は賃金日額の計算には含めません。
金額が決まる仕組み
たとえば、退職前6か月の賃金合計が約240万円であれば、賃金日額は約13,000円です。
これに給付率をかけて基本手当日額を出し、さらに所定給付日数をかけると総額の目安が出ます。
基本手当日額には年齢ごとの上限額があり、毎年見直されます。
最新の数字は厚生労働省の資料でご確認ください。
参考:厚生労働省「基本手当の日額の算定の基礎となる賃金日額(※)の範囲等の引下げ」
失業手当(失業保険)はどれくらいの期間受けられる?

手当を受け取れる日数(所定給付日数)は、退職理由・年齢・雇用保険の加入期間で変わります。自分の退職理由を振り返りながら、目安を確認してみてください。
自己都合で退職した場合
自己都合で退職した一般の離職者は、加入期間に応じて90日から150日が給付日数の目安です。
具体的には、10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日となります。年齢による差は設けられていません。
| 雇用保険の被保険者期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年未満 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合や特定理由で退職した場合
倒産・解雇などの特定受給資格者や、契約満了・やむを得ない事情による特定理由離職者は、年齢と加入期間に応じて90日から330日と、手厚く設定されています。
予期せぬ離職に対応するための仕組みです。自分がどの区分に当たるかは、離職票の離職理由で確認できます。
出典:社会保険労務士法人飯田橋事務所「特定理由離職者ってなに?失業保険の給付日数や必要書類について解説」
| 雇用保険の被保険者期間 | ~29歳 | 30歳~34歳 | 35歳~44歳 | 45歳~59歳 | 60歳~64歳 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
| 20年以上 | ー | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
また上記の年齢は、失業手当の申請時ではなく「離職した時点での年齢」であることに留意しましょう。
就職困難者の場合
障害のある方などの就職困難者は、加入期間1年未満で150日、1年以上では年齢に応じて300日または360日が目安です。
一般の離職者より長く設定されています。最新の日数は、地域のハローワークの公式サイトで確認できます。
| 雇用保険の被保険者期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年未満 | 150日 |
| 1年以上5年未満 | 45歳未満300日、45歳以上65歳未満360日 |
| 5年以上10年未満 | 45歳未満300日、45歳以上65歳未満360日 |
| 10年以上20年未満 | 45歳未満300日、45歳以上65歳未満360日 |
| 20年以上 | 45歳未満300日、45歳以上65歳未満360日 |
失業手当(失業保険)の支給が始まるタイミングは?

申請してすぐに振り込まれるわけではありません。退職理由によって、支給が始まる時期が変わります。ここでは2025年4月の改正を踏まえた最新のルールを整理します。
待機期間と給付制限
申請後、まず7日間の「待機期間」があり、この間は誰でも受給できません。
自己都合で退職した場合は、待機期間に加えて「給付制限」がありました。2025年4月の改正で、この給付制限が2か月から1か月に短縮されています。
これにより、自己都合の人も離職から約1か月半で受給を始められるようになりました。
出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
退職理由による違い
会社都合(特定受給資格者)や特定理由離職者は給付制限がなく、7日間の待機期間後から支給が始まります。
なお、過去5年間に3回以上自己都合で退職している場合は、給付制限が3か月になる点に注意が必要です。
また、離職前1年以内などに一定の教育訓練を受けた場合は、給付制限が解除される仕組みも新たに設けられています。
失業手当(失業保険)の申請方法は?

退職後は心身が疲れていて、事務手続きの負担も大きく感じられるものです。やることを順番に整理しておくと、落ち着いて進められます。ここでは、申請から受給までの流れを5つのステップに分けて紹介します。
1. 必要書類を準備する
まず、申請に必要な書類を用意します。
- マイナンバーカード
- 身元確認書類
- 証明写真(縦3cm×横2.4cm)2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 船員であった方は船員保険失業保険証および船員手帳
マイナンバーカードがない場合は、以下の1と2に該当するものをそれぞれ用意してください。
1. 通知カードもしくは個人番号の記載がある住民票
2. 身元確認書類(運転免許証、官公署が発行した身分証明書・写真付き資格証明書等のうち1種類。
上記がない場合は、公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書などのうち異なる2種類)
2. ハローワークで手続きする
住んでいる地域を管轄するハローワークで、求職の申し込みと書類の提出を行います。
必要書類を提出した日が「受給資格決定日」として認定され、ここから7日間が待機期間になります。再就職の意思を示すためにも、この求職申し込みが出発点になります。
3. 雇用保険説明会に参加する
受給資格が決まると、雇用保険説明会の案内を受けます。
説明会では、受給中の手続きや、失業認定申告書の書き方の説明があります。雇用保険受給資格者証などの書類も、ここで交付されるのが一般的です。失業認定日を確定するための大切なステップです。
4. 失業認定日にハローワークへ行く
指定された失業認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出します。
認定を受けるには、原則として一定回数以上の求職活動の実績が必要です。以降も4週間に1回のペースで、申告と確認を繰り返します。失業の状態を定期的に確認してもらう仕組みです。
5. 失業手当の受給
失業の認定を受けると、通常5営業日ほどで指定口座に手当が振り込まれます。
以降は認定のたびに支給される流れです。まとめると、申請後は「求職活動を続けながら、4週間ごとに認定を受ける」という工程を繰り返すことになります。
あわせて読みたい ▼ 退職後に受け取れる傷病手当金について
失業手当(失業保険)のよくある質問【Q&A】

ここでは、申請を進めるなかで生じやすい疑問をまとめます。制度の名前は知っていても、いざ自分のことになると不安は尽きないものです。一つずつ解消していきましょう。
Q. 退職した会社から離職票がなかなか送られてきません。
A. まず会社へ問い合わせ、それでも届かなければハローワークへ相談する方法があります。
離職票の交付は法律で定められています。会社へ催促しても進まない場合、ハローワークから会社へ働きかけてもらえることがあり、相談によって解決へ向かう傾向があります。
Q. 正社員ではなくアルバイトやパートでしたが、失業手当はもらえますか。
A. 雇用保険に加入していれば、アルバイトやパートでも受給できます。
条件は正社員と同じで、働く意思と能力があり、求職活動をしていることが求められます。受給中にアルバイトをする場合は、必ずハローワークへ申告してください。申告を怠ると不正受給とみなされることがあります。
Q. 失業手当を受け取っている途中で再就職が決まったら、どうすればよいですか。
A. 速やかにハローワークへ報告し、受給停止の手続きを行います。
一定の条件を満たせば「再就職手当」を受け取れる場合があります。早く再就職するほど、残りの支給日数に応じて受け取れる仕組みです。受給停止の手続きとあわせて、ハローワークで相談するのがおすすめです。
Q. 失業手当を受け取っている間、健康保険や年金の支払いはどうなりますか。
A. 健康保険は加入先を選び直し、年金は免除制度を利用できる場合があります。
退職後は、国民健康保険に加入するか、前職の健康保険を任意継続するか、家族の扶養に入るかのいずれかになります。
会社都合などで特定受給資格者に認定されると、国民健康保険料が軽減される場合があります。年金は、収入が減ったときに保険料の免除制度を利用できる場合があります。
Q. もし失業手当を不正に受給してしまうと、どうなりますか。
A. その後の支給を受ける権利を失い、受け取った金額の返還が求められます。
実際には働いているのに申告しないなど、不正に受給したと判明した場合が対象です。
返還に加え、悪質な場合は最大で受給額の2倍にあたる金額の納付が求められることもあります。申告は正直に行うことが大切です。
失業手当を受け取り、落ち着いて次の一歩を

失業手当は、再就職までの生活を支え、焦らず仕事を探すための制度です。
受け取るには、働く意思と能力があり求職活動をしていることなど、3つの条件を満たす必要があります。
金額や期間は退職前の賃金・年齢・退職理由で変わり、2025年4月の改正で自己都合の給付制限は1か月に短縮されました。退職の経緯が一般的でなくても、受給期間の延長や就職困難者への配慮など、利用できる選択肢があります。
まずは自分の離職理由を確認し、管轄のハローワークへ相談するところから始めてみてください。
デコボコエージェントでは、障害のある方が自分らしく働くための就職・転職をサポートしています。特性に合った求人を探したり、企業からのスカウトを受け取ったりと、自分のペースで気になる企業とつながれます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。

2017年にWebライターとして活動を開始し、数多くのメディアでライターとして活動。年間1,000本以上記事を制作する専門ライター。子ども教育やメンタルヘルス関連のメディアでの活動実績が多い。


