作成日:
2026年2月2日
更新日:
2026年2月5日

身体障害者の仕事探しガイド|働きやすい職種と就職成功のポイント

▼この記事の3つのポイント

  • 身体障害があっても、配慮や環境調整によって無理なく働ける職場は増えており、選択肢は確実に広がっている
  • 障害の種類や状態によって、働きやすさのポイントは異なるため、「仕事内容」だけでなく「配慮や環境」を具体的に確認することが重要
  • ひとりで抱え込まず、支援機関やサービスを活用しながら、自分に合ったペースで就職・転職活動を進めることが長く働くための鍵になる

身体障害を抱えながら、無理なく働ける環境ってある…?

クエスチョンマーク
出典:photoAC

身体障害があると「自分に合う仕事はあるのだろうか」「無理なく働き続けられる職場は見つかるのか」と不安を感じる方も少なくありません。しかし実際には、障害の特性に合わせて働き方や環境を調整できる職場は少しずつ増えています。

大切なのは、できないことだけに目を向けるのではなく、環境や配慮によって発揮できる力に目を向けることです。自分に合った働き方を知ることで、選択肢は確実に広がっていきます。

身体障害を抱える方の就労の現状

オフィスビル
出典:photoAC

身体障害を抱える方の就労状況を見ると、仕事のチャンスは年々広がっています。厚生労働省の最新データによれば、令和7年の障害者雇用状況では、民間企業で約70万4,600人の障害者が雇用されており、過去最高を記録しました。

全体の実雇用率も2.41%前後と伸びており、企業の障害者採用が進んでいることがわかります。

(※実雇用率:企業で働く100人のうち、どれくらいの割合が障害のある方かを示す指標)

身体障害を持つ方もこの中で多くの方が働いており、雇用数は増加傾向です。こうした動きは「障害があっても働ける場所が確かにある」という前向きな環境の変化のあらわれでしょう。

参考:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」
   令和7年 障害者雇用状況の集計結果|厚生労働省

【障害の種類別】自分に合った仕事を見つけるヒント

スーツ姿の女性
出典:photoAC

身体障害の種類や程度によって、働きやすさのポイントは大きく異なります。仕事選びでは職種名だけでなく「どんな配慮があれば続けやすいか」を具体的に整理することが大切です。次の項目を参考に、自分に合う環境を考えてみましょう。

肢体不自由のある方

肢体不自由のある方は仕事内容そのものだけでなく、移動や姿勢、作業環境の影響を受けやすい傾向です。

立ち仕事や頻繁な移動が求められる職場では負担が大きくなりやすい一方、座ってできる業務や在宅勤務が可能な環境では、無理なく働けたという声も多く見られます。では、実際にどのようなポイントを確認すればいいかみてみましょう。

  • 通勤方法や社内移動に負担がかからないか
  • 長時間同じ姿勢を求められないか
  • デスクや通路に十分なスペースがあるか
  • 在宅勤務や業務内容が調整できるか
  • トイレや出入口などの動線に配慮があるか

こうした点を事前に確認しておくことで、働き始めてからの戸惑いや無理がなくなります。仕事内容だけでなく、日々の動きやすさにも目を向けて職場を選ぶことが重要です。

視覚障害のある方

視覚障害のある方は業務内容だけでなく、情報の伝え方や職場環境によって働きやすさが大きく変わります。確認したい項目の具体例は次の通りです。

  • パソコンや業務システムの読み上げ・拡大表示に対応しているか
  • 資料がデータで共有され、形式に柔軟性があるか
  • 職場内の動線や配置がわかりやすいか
  • 周囲に質問・確認しやすい雰囲気があるか
  • 業務手順を口頭や文章で丁寧に共有してもらえるか

文字情報が中心の職場でも、読み上げソフトや拡大表示などの工夫があれば、無理なく業務を続けやすくなります。一方で「資料が紙のみで共有されて困った」「口頭説明が少なく不安だった」といった体験談も見られ、配慮の有無が負担の差につながりやすいようです。

事前にチェックポイントを確認しておくことで、業務上の不安やストレスを減らしやすくなります。見えにくさそのものよりも情報共有の方法や職場の理解が、働きやすさを左右するポイントになりやすいといえるでしょう。

聴覚障害のある方

聴覚障害のある方は、仕事内容よりもコミュニケーションの方法によって働きやすさが左右されることが多い傾向です。電話対応や口頭指示が中心の職場では負担を感じやすい一方、チャットやメールなど文字でのやり取りが基本の環境では働きやすい可能性があります。

あらかじめチェックしておきたいポイントは次の通りです。

  • 業務連絡がチャットやメールなど文字で共有されるか
  • 会議内容を議事録や資料で確認できるか
  • 電話対応が必須ではないか、代替手段があるか
  • 周囲が筆談やツールの使用に理解があるか
  • 緊急時の連絡方法が明確に決まっているか

これらを事前に確認することで、情報の行き違いや不安を減らしやすくなります。

心臓・腎臓・呼吸器などの障害がある方(内部障害)

内部障害のある方は、外見からはわかりづらいものです。体調の波や疲れやすさを理解してもらえず、無理してしまうケースも少なくありません。

その結果「周囲に気づかれず、休憩を取りにくかった」「体調の変化を伝えづらかった」と感じる可能性があるため、注意が必要です。

ではどのようなポイントを事前に把握すればいいかみてみましょう。

  • 勤務時間や休憩時間を柔軟に調整できるか
  • 通院や治療と仕事を両立しやすいか
  • 体調不良時に業務量について相談できるか
  • 無理のない業務ペースが保たれているか
  • 上司や同僚に体調面について相談しやすいか

見えにくい障害だからこそ、自分の体調に合わせて柔軟に対応してもらえるかどうかを確認してみてください。

複数の障害がある方

複数の障害がある方は一つひとつの困り事が重なり合い、働くうえでの負担が想像以上に大きくなることがあります。肢体不自由と内部障害、視覚障害と聴覚障害など、組み合わせによって必要な配慮も変わります。

そのため仕事を探す際は、次のような点に対応できるかどうかを確認してみましょう。

  • 複数の配慮を組み合わせて相談できる環境か
  • 状況に応じて業務内容を調整してもらえるか
  • 体調や状態の変化を伝えやすい雰囲気があるか
  • 一度決めた配慮を見直す余地があるか
  • 支援機関や外部サービスと連携できるか

これらを確認することで、無理のない働き方を選びやすくなります。最初から完璧を目指すのではなく、状況に応じて話し合いながら調整できる職場かどうかが、長く働き続けるための重要な視点です。

身体障害を抱える方の就職・転職活動の進め方

デジタルデバイス
出典:photoAC

身体障害を抱える方の就職・転職活動では、焦って仕事を決めるのではなく、自分の障害特性や働きやすさの条件を整理することが大切です。情報収集や相談を重ねながら、無理のないペースで進めていきましょう。

自分の障害特性と希望条件を整理

仕事を探す前に、自分の障害特性や体調の傾向、負担になりやすい場面を整理しておくことが大切です。あわせて、勤務時間や通勤方法、業務内容など、譲れない条件と調整できる条件を分けて考えてみましょう。

「どんな配慮があれば働きやすいか」「どんな環境だと無理しやすいか」を言葉にしておくことで、求人選びや面接時の相談もしやすくなります。自分を守るための準備として、丁寧に向き合うことが大切です。

自分に合った求人はどう探す?

自分に合った求人を探すためには、求人情報をただ見るのではなく、条件や環境面にも目を向けることが大切です。障害の有無だけで判断せず、次のようなポイントをもとに、働きやすい環境かどうかを具体的に確認していきましょう。

  • 障害者雇用枠と一般枠の違いを理解して探す
  • 勤務時間や在宅勤務の可否など条件面を確認する
  • 業務内容に無理がないかを具体的にイメージする
  • 配慮やサポート体制について記載があるかを見る

これらを意識することで、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。自分に合う環境を基準に、求人を選ぶ視点を持つことが大切です。

面接での伝え方と確認すべきこと

面接ではできないことを並べるのではなく、どのような配慮があれば働きやすいかを具体的に伝えることがポイントです。あわせて、入社後の働き方をイメージするために、環境面についても確認しておきましょう。

  • 業務上配慮してほしい点や工夫していることを伝える
  • 勤務時間や業務量の調整が可能か確認する
  • 配慮について相談できる窓口や担当者がいるか聞く

事前に伝える内容を整理しておくことで、無理のない働き方につながりやすくなります。

身体障害を抱える方が活用できる支援機関

ワーキングスペース
出典:photoAC

身体障害を抱える方の仕事探しでは一人で抱え込まず、支援機関を活用することも大切です。就職や職場定着に関する相談、配慮の整理、求人紹介などを通して、自分に合った働き方を一緒に考えてもらえます。

ハローワーク(専門援助部門)

ハローワークには、身体障害を含む障害のある方を対象とした「専門援助部門」が設けられています。ここでは一般的な求人紹介だけでなく、障害特性や体調面を踏まえた仕事探しについて相談できるのが特徴です。

担当者が付き、これまでの職歴や不安点を整理しながら無理のない働き方を一緒に考えてもらえます。障害者雇用枠の求人紹介に加え、応募書類の作成や面接時の伝え方についてのアドバイスを受けられる場合もあります。

「どこまで配慮を伝えてよいかわからない」「自分に合う仕事が想像できない」と感じている方にとって、相談の入り口として利用しやすい支援機関です。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある方の就職や職場定着を専門的に支援する機関です。自治体によって名称や設置形態が異なる場合もありますが「障害者の就労を専門に支援する窓口」として案内されることが多く、詳しくはお住まいの自治体に確認すると案内してもらえます。

ここでは、職業評価を通じて自分の得意なことや負担になりやすい点を整理したり、就職に向けた準備や職場での配慮について具体的なアドバイスを受けたりできます。

企業側への助言や職場を訪問できるケースもあり「働き始めたあとが不安」という方にも心強い存在です。自分の特性を客観的に整理したい方や、より専門的な支援を受けたい方に向いている支援機関といえるでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、仕事と日常生活の両面から支援する機関です。自治体によっては名称や運営主体が異なる場合もありますが、障害のある方の就労と生活を一体的に支援する窓口として設置されています。詳しい名称や相談先は、お住まいの自治体に問い合わせると案内してもらえます。

就職活動の相談だけでなく、生活リズムや体調管理、職場での困り事なども含めて相談できる点が特徴です。就職前の準備から就職後まで継続して関わってもらえるため、仕事だけでなく暮らし全体を整えながら働きたい方にとって、安心して頼れる相談先です。

段階を踏んで就職したいなら|就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、すぐに就職することに不安がある方や体調や生活リズムを整えながら働く準備を進めたい方を対象とした支援サービスです。働く前の準備期間として利用でき、以下のように就職に向けて段階的に基礎を作れます。

  • ビジネスマナーやパソコン操作などの就労訓練
  • 障害特性や希望条件の整理サポート
  • 職場を想定した訓練や企業実習
  • 就職活動に向けた準備や相談

いきなり働き始めるのではなく実践に近い形で経験を積めるため、就職への不安を和らげやすくなります。自分のペースを大切にしながら、無理のない形で就職を目指したい方に向いている支援のひとつです。

就職する前に知っておきたい合理的配慮とは?

CHECK
出典:photoAC

合理的配慮とは、障害のある方がほかの人と同じように働けるよう、業務や環境を調整する取り組みを指します。特別な優遇ではなく、働くうえで生じる困り事を減らすための配慮です。

次のように仕事内容そのものだけでなく、働き方や職場環境に関する調整も含まれます。

  • 勤務時間や休憩時間の調整
  • 業務内容や担当範囲の工夫
  • 通勤方法や在宅勤務への配慮
  • 設備や備品、情報共有方法の調整

事前に合理的配慮について知っておくことで「どこまで相談してよいのか」「何を伝えればよいのか」が整理しやすくなります。自分に必要な配慮を考えることは、無理なく働き続けるための大切な準備です。

働きやすい職場を見極めるポイント

チェックリスト
出典:photoAC

働きやすい職場かどうかは、求人情報や面接時のやり取りからある程度見極めることができます。次の項目では、求人票のどこに注目すればよいのか、実際の見学で確認することを具体的に見ていきます。

求人票でチェックすべき項目

求人票を見る際は、職種名や給与だけで判断せず、働きやすさに関わる情報にも目を向けることが大切です。記載内容から、次のような働き方や配慮を読み取っていきましょう。

  • 勤務時間や勤務日数、残業の有無
  • 在宅勤務や時差出勤ができるか
  • 業務内容が具体的に書かれているか
  • 障害への配慮やサポート体制の記載があるか

これらを確認することで、入社後のギャップを減らしやすくなります。求人票に書かれていない点は、次の面接や見学で確認することも大切です。

面接・職場見学で確認すること

面接や職場見学は、実際の働きやすさを確認できる大切な機会です。遠慮せず、自分にとって必要な情報を確認しておきましょう。確認したい項目の具体例は以下の通りです。

  • 業務の進め方や一日の流れ
  • 配慮について相談できる相手や窓口
  • 休憩の取り方や体調不良時の対応
  • 職場の雰囲気やコミュニケーションの方法

実際に足を運ぶことで、求人票だけではわからない点に気づくこともあります。入社後の生活を具体的にイメージしながら確認してみましょう。

仕事を探す際に注意したいポイント

考える人
出典:photoAC

仕事探しでは条件だけで判断せず、自分の体調や負担のかかり方にも目を向けることが重要です。ここで、就職活動を進めるうえで意識しておきたいポイントを整理します。

焦らず、自分に合った方法で進めることが大切

就職や転職を考えると「早く決めなければ」と焦ってしまうこともあるでしょう。自分の状況に合わないまま進めてしまうと、負担が大きくなりやすくなります。体調や生活リズム、障害特性は人それぞれ異なるため、周囲と比べる必要はありません。

立ち止まりながら考えたり相談しながら進めたりすることも、仕事探しの進め方のひとつです。無理のないペースで取り組むことで、結果的に長く続けられる働き方につながります。

違和感は放置せず、しっかりと確認する

就職活動の中で感じる小さな違和感は、そのままにしておくと後々の負担につながることがあります。気になる点があれば早めに確認しておくことで、安心して次のステップに進みやすくなります。

特に確認したいポイントをみてみましょう。

  • 求人票の内容と説明に食い違いがないか
  • 配慮についての説明があいまいではないか
  • 質問に対して誠実に対応してもらえているか
  • 無理を前提とした働き方になっていないか

こうした点を一つずつ確認していくことで、入社後のギャップを防ぎやすくなります。遠慮せず確認するのは、自分を守ることにもつながります。

相談したり、サービスを活用したりするのもおすすめ

仕事探しを一人で進めていると、判断に迷ったり不安を抱え込んでしまったりすることがあります。そのようなときは、支援機関やサービスを活用するのもひとつの選択肢です。

第三者の視点を取り入れることで、自分では気づきにくかった働き方や配慮の整理につながることもあります。相談することは甘えではなく、より自分に合った環境を見つけるための手段です。無理を抱え込まず、頼れるところを上手に使いながら進めていきましょう。

無理なく働き続けるために、自分に合った職場を見極めよう

スーツ姿の女性
出典:photoAC

無理なく働き続けるためには、今の自分に合った職場かどうかを見極める視点が欠かせません。仕事内容だけでなく、体調や障害特性に配慮した働き方ができるか、相談しやすい環境があるかも確認しておきたいところです。

自分の状態や希望は、時間とともに変わることもあります。その変化に合わせて調整できる余地がある職場であれば、安心して働き続けやすくなるでしょう。焦らず、自分に合う環境を選ぶことが、長く働くために大切です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や診断を推奨するものではありません。症状にお悩みの方は、必ず医師などの専門機関にご相談ください。

[ライター]コニーリー 麻弥(看護師 / 保健師)

看護師・保健師資格保有。大学卒業後、大学病院集中治療室で7年勤務し、新生児から老年期まで幅広い患者の急性期ケアを経験。保健師として活動し、看護大学非常勤講師も務める。その後、高齢者施設や看護小規模多機能施設に従事し、老年期医療に携わる。急性期から慢性期まで、幅広い年齢層の患者ケアに携わる。現在は臨床経験を活かし、認知症や介護に関する記事、クリニックのコラムなど医療情報の執筆活動も行っている。

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