精神疾患で障害年金はもらえる?障害者年金の受給条件や基礎知識を解説

デコボコベース株式会社 最高品質責任者(CQO)
東京大学大学院 教育学研究科
博士課程 単位取得満期退学
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導 講師を経て、現在は療育プログラムの開発、保護者や支援者向けの研修を実施
▼この記事の3つのポイント
- うつ病や統合失調症、発達障害などの精神疾患でも、一定の条件を満たせば障害年金を受け取れる可能性があります
- 障害年金は障害者手帳がなくても申請でき、生活の安定や療養のための大切な支援制度です
- 申請には初診日や診断書などが必要ですが、支援窓口や主治医と連携すれば一つずつ丁寧に進められます
精神疾患を抱えているけれど、障害年金はもらえるの…?
精神疾患を抱えている人は、さまざまな福祉サポートや制度を活用できます。たとえば精神科デイケアや訪問看護サービス、精神障害者保健福祉手帳などが代表的です。多くの制度のなかでも、安定した生活を維持するために活用できる仕組みの一つが、障害年金です。
今回は、精神疾患における障害年金の知識や実際に申請する際の方法などをご紹介します。障害年金は、障害者手帳を所持していなくても受給できるお金です。具体的な対象範囲や方法などを調べ、経済的に落ち着いた状態で療養や治療に専念できる環境を目指しましょう。
そもそも、障害年金とは?
障害年金とは、病気や障害によって日常生活や社会生活が制限されるようになった際に、年金世代ではない世代でも年金を受け取れる制度です。
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」に大別されます。該当する障害で初めて医師の診療を受けた際に、国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金に当てはまります。
そもそも年金制度とは、高齢者だけのものではありません。労働による収入を得ることが困難になった際に、所得を保障できる制度が年金です。障害年金は現役世代も受給できる年金であり、20歳から65歳まで請求できます。
精神疾患で障害年金をもらえる可能性はある!
ここでは、障害年金の対象となる精神疾患や障害年金の受給条件についてご紹介します。老齢年金や遺族年金と同様に、健全な生活を維持するために欠かせない障害年金。制度の詳細や条件などを調べ、自身が活用する際の参考にしていきましょう。
対象となる精神疾患
障害年金の対象となる精神疾患は、おもに統合失調症・双極性障害・認知障害・てんかん・知的障害・発達障害などです。上記以外の疾患でも、日常生活・社会生活を送ることが困難だと判断された場合は、神経症を除いて障害年金の対象になります。
知的障害の認定では知能指数のみで判断せず、生活におけるさまざまなシーンによる援助の必要度を加味し、総合的に判断されます。詳しくは、日本年金機構が公表する障害認定基準を参考にしてください。日本年金機構の資料では、疾患ごとの等級の判断基準についても記載されています。
受給条件について
障害年金を受給する際は、以下の3つの条件をすべて満たしていることが求められます。
1. 障害に関連して受診する際「初診日」に年金制度に加入している
2. 初診日の前日までに、保険料の納付済期間・免除期間などが一定以上ある
3. 障害の程度が定められた基準に該当している
とくに気をつけたいのが「初診日」の考え方です。初診日とは、病名が確定した日ではなく、障害年金にかかわる障害・疾患において、初めて診療を受けた日のことです。
たとえば「鬱病の治療としてA病院に通院していたが、次にB病院を受診して検査した際に発達障害であることが発覚した」という場合。このケースでは、発達障害が明らかになったB病院ではなく、初診のA病院が対象になります。
障害年金における初診日は、疾患の種類によって細分化されるため、非専門の患者にとってはやや複雑なものです。不安な際は自己判断せずに、主治医や役所に相談しましょう。
障害年金の等級と支給額
ここでは、障害年金の等級と支給額の関係性についてご紹介します。年金制度は「労働による収入を得ることが難しい人のための制度」であるため、障害の程度によって貰える支給額も異なります。自身の疾患や状態と照らし合わせながら、実際に受け取れる年金額について調べてみましょう。
障害年金の等級について
障害年金の等級は、1〜3級の3つに分かれています。以下にそれぞれの等級の目安を記載します。
- 1級……1人で日常生活を送れない状態。入院や在宅介護など、他人の介助を必要としている。活動可能範囲がベッドもしくはベッド周辺のみ。
- 2級……他人の介助がなくても一定条件下で生活ができるが、働くことはほぼ不可能。活動可能範囲が家もしくは病院内のみ。
- 3級……日常生活における支障は少ないが、働くことは困難もしくは制限を受けている。
上記以外でも「働くことに制限を受けており、症状が固定している状態」の場合は、一時金として障害厚生年金の対象となります。
支給額はどれくらい?
障害基礎年金の支給額は、等級や年度ごとに異なります。1級の場合は年間約100万円、2級の場合は約80万円が対象です。また障害年金を受給する際に「18歳になる年度末までの子ども」がいる場合は、2人目までは「1人につき約23万円」、3人目からは「1人につき約8万円」が加算されます。
障害厚生年金の支給額は、一人ひとり異なります。そのため、等級によって明確に定められているわけではありません。基本的には「給与が高く、企業に務めている年数が多い人」ほど、年金額も増加します。
障害年金の申請について
ここでは、実際に障害年金を申請する際の流れや方法をご紹介します。疾患や障害に悩まされる日々のなかでは、事務作業の一つひとつが億劫になるものです。まずは全体の流れを把握しつつ、今から自分がするべきタスクを整理整頓し、無理のないペースで進めていきましょう。
必要書類
以下に、障害基礎年金と障害厚生年金における、各種必要書類を記載します。
- 年金請求書
- 基礎年金番号通知書(または基礎年金番号を明らかにできる書類)
- 本人の生年月日を明らかにできる書類
- 医師の診断書
- 病歴・就労状況等申立書
- 本人名義の受取先金融機関の通帳等
障害厚生年金では、上記に加えて「受診状況等証明書」が必要です。また生年月日を明らかにできる書類は、戸籍謄本・戸籍抄本・住民票などが含まれます。
障害の原因が第三者行為の場合は、第三者行為事故状況届・確認書・事故が確認できる書類・損害賠償金の算定書・損害保険会社への照会にかかわる同意書などが必要です。詳しくは、日本年金機構の情報をご確認ください。
申請の流れ
障害年金を請求する前には、約2~3カ月ほどの期間が必要です。原則として、障害年金は初診から1年6カ月以降に請求できます。まずは初診日を調べ、当時どの年金に加入していたのかを調べましょう。
初診日と年金の種類が判明したら、年金事務所や年金相談センターなどで「保険料納付要件」を満たしているかどうかを確認してください。確認できたら、該当の窓口で請求に必要な書類を受け取ります。
資料に情報を記載した後に医師に診断書を書いてもらい「病歴・就労状況等申立書」を作成します。そのほかの必要書類を揃えたら請求書類を提出しましょう。また後から書類を確認できるように、請求時には必ずコピーを取ってください。
申請する際の注意点
障害年金の申請では、病歴・就労状況等申立書をできる限り具体的に記載するように心がけましょう。なぜなら病歴・就労状況等申立書は、自分自身で障害の状態や日常生活の状態を訴えられる唯一の資料といえるからです。
必要以上に誇張する必要はありませんが、困っていることを自分の言葉で詳細に記載し、疾患・障害の重要性が伝わるように表現しましょう。
障害年金の申請は、一度出された結果を後からくつがえすことが困難な傾向にあります。申請の一つひとつの段階を丁寧に検討しつつ、状況によっては障害年金にかかわる相談センターも活用していきましょう。
障害年金がもらえないケースはある?
精神疾患を患って生活に支障が出ている場合も、受給要件を満たしていなければ障害年金はもらえません。以下に、障害年金がもらえないケースと概要を簡潔に記載します。
- 障害の程度が基準に達していない……障害認定の基準は、各障害によって細かく定められているため。
- 20歳前傷病かつ一定以上の年収がある……前年の所得額が472万1,000円を超える場合、年金の全額が支給停止になるため。
- 保険料納付要件を満たしていない……「初診日の月の前々月までの直近1年間において納付要件を満たしていない」かつ「国民年金の加入義務が生じる20歳から初診日の前々月までの期間において納付要件を満たしていない」場合は利用できないため。
- 20歳未満である……障害基礎年金は20歳未満では受給不可であるため。
- 神経症である……神経症は障害年金の対象外であるため。
- 初診日から1年6カ月経過していない……障害年金の受給では、障害認定日における障害の状態が基準に該当している必要があるため。
- 65歳以上である……障害年金が受け取れるのは65歳になるまでの年齢に限るため。
上記の条件について、詳しくは年金サポートセンターの情報をご確認ください。
参考:全国障害年金サポートセンター「『障害年金をもらえない人』をわかりやすくご説明します」
障害年金の受給条件を確認して、うまく活用しよう!
今回は障害年金の目的や概要、受給条件、申請方法などをご紹介しました。
記事内でも記載したように、鬱病や統合失調症、双極性障害などは障害年金の対象です。しかしパニック障害や強迫性障害などに代表される神経症は、支給対象外となってしまいます。
障害年金を適切に受け取るためには、自身の障害への理解と丁寧な申請が大切です。精神障害が原因で社会生活や日々の生活に困難を抱えている人は、障害年金の活用を前向きに検討しましょう。

2017年にWebライターとして活動を開始し、数多くのメディアでライターとして活動。年間1,000本以上記事を制作する専門ライター。子ども教育やメンタルヘルス関連のメディアでの活動実績が多い。


